伯父のはなし
伯父が亡くなった。79歳だった。終戦直前の生まれだ。晩年、難病にかかってみるみる衰弱し、母は大層心配していた。あまりに電話するので、伯母がよく思わないんじゃと私も心配した。
伯父は母の長兄だ。母にも父にも兄弟は何人かいるが、みな仲が悪いか疎遠かで(父に至っては最近まで行方不明者がいた)、一番頼りにしていたし付き合いがあるのがこの長兄夫婦だった。夫婦は結婚が遅かったからか、子供もいない。だから私たち姉妹はとても良くしてもらった。小さい頃から可愛がってもらったし、姉の結婚式でも、お色直し後のエスコートは伯父がやった。
この伯父、絵に描いたような「昭和の田舎でのびのび育った長兄」と言うような感じでとても穏やかで口数少なく不器用だけど寛容、と言う印象。私はいつも大木みたいな人だなぁと思っていた。とても訛っていて、時々くすりとなったりしたほどだった。小さい頃チョコレートをいつもくれたので、チョコレートおじさんと呼んでいた。
思い出すとたくさんの思い出がよみがえってくる。母がよく話していたこと、母が東京で一人暮らししていたとき、母を訪ねてはいつも家電を一個置いて行ったとか、晩年毎年父母伯父伯母四人で行ってた旅行の話とか。
私は祖父が2007年に祖母が2010年に亡くなっていて、もう順番は伯父。怖いと思う。伯父は私が結婚しないことを結構心配していたらしい。伯父の姪甥で結婚してないのは私だけだ。自分を歯痒く思う。
人は誰も死ぬ。大体は順番だが吹っ飛ばすこともある(若くして亡くなることもあると言うこと)。ますます、人付き合いを、人と過ごすことを、大事にしなきゃと思う。ああしておけば、と言うことは少ない方が良い。
今日告別式。寂しいし、悲しい。でもたくさんありがとう、お世話になりました、そしてご冥福を祈りたいと思う。多分あの世の空はとても青く美しい。どうかそれを見て穏やかな気持ちになりますように。
伯父さん、ありがとう。