最新の成立法律や法改正の情報をお届け!『法律の動向』Vol.6
『法律の動向』では、法律実務家向けの隔月刊誌「法律のひろば」や、自治体職員向けの月刊誌「地方財務」の掲載記事から、最新の成立法律や法改正に関する情報を厳選してお届けします!
※本記事は、「法律のひろば2023年8月号」の「ひろば法律速報」に掲載のものです。
地方自治法の一部を改正する法律
① 地方議会の役割及び議員の職務等に関し、議事機関として住民が選挙した議員をもって組織されるという議会の位置付けのほか、議会は、地方自治法の定めるところにより、地方公共団体の重要な意思決定に関する事件を議決する等の権限を行使すること、また、議員は、議会の権限の適切な行使に資するため、住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならないことを法律上明確化する。
② 住民から議会への請願書の提出や議会から国会への意見書の提出等、議会が関わる法令上の手続で書面により行うことが求められているものについて、オンラインにより行うことができることとする。
③ 地方公共団体は、会計年度任用職員に対し、国の非常勤職員の取扱いとの均衡及び適正な処遇の確保の観点から、勤勉手当を支給することができることとする。
④ 原則として全ての歳入等の収納事務について、地方公共団体の長の判断により、私人への委託を可能とするとともに、適正な公金の取扱いを確保するため、地方公共団体から公金事務の委託を受けた者に対する監督、再委託の場合のルール等に係る規定を整備する。
私立学校法の一部を改正する法律
① 理事選任機関を寄附行為で定めることとする。理事の選任に当たって、理事選任機関はあらかじめ評議員会の意見を聴かなければならないこととする。理事長の選定は理事会で行うこととする。
② 監事の選解任は評議員会の決議によって行い、役員(理事及び監事をいう。以下同じ。)又は2人以上の評議員と特別利害関係(一方の者が他方の者の配偶者又は3親等以内の親族である関係等をいう。以下同じ。)を有する者等の就任を禁止する。
③ 理事と評議員の兼職を禁止し、評議員の定数は、理事の定数を超える数でなければならないこととする。評議員の総数に占める職員の割合、理事・理事会により選任される評議員の割合及び役員又は他の評議員のいずれかと特別利害関係を有する者等の割合に一定の上限を設ける。評議員会は、理事の解任を理事選任機関に求めたり、理事の行為の差止請求・責任追及を監事に求めたりすることができることとする。
④ 文部科学大臣所轄学校法人等では、会計監査人を置かなければならないこととする。また、会計監査人の選解任の手続や欠格要件等を定めることとする。
⑤ 文部科学大臣所轄学校法人等においては、学校法人の任意解散・合併及び寄附行為の変更(軽微な変更を除く。)について、理事会の決定に加えて評議員会の決議を要することとする。
⑥ 監事・会計監査人に子法人(学校法人がその経営を支配している法人をいう。)の調査権限を付与する。
⑦ 会計、情報公開、訴訟等に関する規定を整備する。
⑧ 役員等による特別背任、贈収賄、目的外の投機取引及び不正手段での認可取得についての罰則を整備する。
海上運送法等の一部を改正する法律
① 国土交通大臣は、一般旅客定期航路事業の許可を受けようとする者が、1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過していない者である場合等には、許可をしてはならないこととする。
② 一般旅客定期航路事業者は、安全統括管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、安全統括管理者1人を選任しなければならないこととするとともに、運航管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、船舶ごとに運航管理者を選任しなければならないこととする。
③ 小型船舶のみをその用に供する旅客不定期航路事業の許可を受けようとする者は、事業計画等を記載し、資金計画等を記載した書類及び安全人材確保計画を添付した申請書を国土交通大臣に提出しなければならないこととする。
④ ③の許可は、5年ごとに更新を受けなければ、その期間の経過によってその効力を失うこととする。
⑤ 対外船舶貸渡業者等は、単独で又は共同で、外航船舶確保等計画を作成して、国土交通大臣の認定を申請することができることとする。
⑥ 船舶所有者は、国土交通省令で定める旅客の輸送の用に供する小型船舶の乗組員について、船舶が航行する海域の特性に応じた操船に関する教育訓練等を実施しなければならないこととする。
⑦ 特定操縦免許は、国土交通大臣が行う一級小型船舶操縦士又は二級小型船舶操縦士の資格に係る小型船舶操縦士国家試験に合格し、かつ、人命救助等に関する知識及び能力を習得させるための講習であって同大臣の登録を受けた者が行うものの課程を修了した者等について行うこととする。
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律
① 政府は、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略を定めなければならないこととする。
② 政府は、令和5年度から令和14年度までの各年度に限り、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策に要する費用の財源について、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、エネルギー対策特別会計の負担において、脱炭素成長型経済構造移行債を発行することができる。
③ 脱炭素成長型経済構造移行債及びその借換国債については、化石燃料賦課金及び特定事業者負担金の収入により、令和32年度までの間に償還するものとする。
④ 経済産業大臣は、令和10年度から、化石燃料の輸入事業者等から化石燃料賦課金を徴収する。
⑤ 経済産業大臣は、令和15年度から、一定の発電事業者から特定事業者負担金を徴収する。
⑥ 脱炭素成長型経済構造移行推進機構は、化石燃料賦課金及び特定事業者負担金の徴収に係る事務、特定事業者排出枠の割当て及び入札の実施に関する業務、債務保証その他の支援等を行う。
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