弁護士の交渉学【不貞をした配偶者との交渉編②】
新刊書籍『弁護士の交渉学―事例にみる実践的交渉スキル―』の一部を抜粋してお届け!
第1弾は「第2章 離婚事件の交渉学」の「不貞をした配偶者との交渉」から、Scene1・3・6を特別公開します!
▶Scene1は、こちらから
S c e n e 3 相手方に不貞行為の有無を確認する
その後、A弁護士は、Yと対面した。
A わざわざお越しいただき恐縮です。早速ですが、奥様のXさんから、あなたの不貞行為に関する相談がありました。
Y 身に覚えがありませんが。
A この写真に写っているのは、Yさんではありませんか。
Y よく似ているけれど、私ではないように思いますね。
A 一緒に写っているのは、同じ会社に勤務しているCさんではありませんか。
Y 知りません。そもそも他人のプライバシーを侵害してこっそりと写真を 撮ることは許されるんですか。違法だと思いますが。
A それは、見解の相違です。家庭裁判所の離婚訴訟では、このような写真や調査会社の調査報告書が不貞の証拠としてかなり提出されていますが、裁判官は、違法とは言いません。写真に写っているのはYさんではない、したがって、不倫をしたことはないということですか。
Y 私は、そこまでは言ってません。
A 仮に、写真に写っているのがYさんだとしたら、奥様との結婚はどうするつもりですか。
Y 仮定の質問には答えられませんね。むしろ、妻は何といっているのですか。
A 奥様は、夫であるYさんの考えをまず聞きたいといっています。それいかんによって自分の考えをまとめるといっています。
Y 少し考える時間をもらえますか。
A いいですよ。自宅に帰られると、奥様と顔を合わせることになりますが、離婚するかどうかの話は直接奥様としないでもらえませんか。私からも、Yさんと離婚に関する話はしないように電話しておきます。
次に会うのは、いつにしましょうか。
Y 私の方から電話を入れるようにします。
A 分かりました。ただ、あまり時間を空けると、こちらの方からアクションを起こすことがありますから、ご了解ください。
Y 分かりました。
▶Scene6は、こちらから
※本文中に登場する事例は筆者らの創作によるものです。実在する事例とは一切関係がありません。
不貞をした配偶者との交渉のポイントは、書籍にて解説!
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