最新の成立法律や法改正の情報をお届け!『法律の動向』Vol.20
『法律の動向』では、法律実務家向けの隔月刊誌「法律のひろば」や、自治体職員向けの月刊誌「地方財務」の掲載記事から、最新の成立法律や法改正に関する情報を厳選してお届けします!
※本記事は、「法律のひろば2024年10月号」の「法律速報」に掲載のものです。
雇用保険法等の一部を改正する法律
① 1週間の所定労働時間が10時間未満である者について、雇用保険法の適用除外とする。
② 雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な教育訓練を受ける受給資格者(正当な理由がなく自己の都合によって退職した者に限る。)にあっては、当該教育訓練を受ける日以降(離職日前1年以内に当該教育訓練を受けたことがある者にあっては、待期期間の満了後)、失業している日について、基本手当を支給する。
③ 教育訓練給付金の額について、一般被保険者又は一般被保険者であった者等が教育訓練の受講のために支払った費用の額に100分の20以上100分の80以下の範囲内において厚生労働省令で定める率を乗じて得た額とする。
④ 自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設する。
⑤ 育児休業給付に要する費用に係る国庫の負担額について、暫定措置を廃止し、国庫は、育児休業給付に要する費用の8分の1を負担するものとする。
⑥ 育児休業給付に要する費用に対応する部分の雇用保険率を、1000分の5とする。厚生労働大臣は、雇用保険財政の状況に応じて、必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、1年以内の期間を定め、育児休業給付に要する費用に対応する部分の雇用保険率を1000分の4とすることができる。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律
① 公益法人は、公益目的事業の質の向上を図るため、運営体制の充実を図るとともに、財務に関する情報の開示その他のその運営における透明性の向上を図るよう努めなければならない。
② 公益認定の基準として、各理事について、監事(監事が2人以上ある場合にあっては、各監事)と特別利害関係を有しないものであること、理事のうち1人以上が、当該法人又はその子法人の業務執行理事又は使用人でなく、かつ、その就任の前10年間当該法人又はその子法人の業務執行理事又は使用人であったことがない者であること、監事(監事が2人以上ある場合にあっては、監事のうち1人以上)が、その就任の前10年間当該法人又はその子法人の理事又は使用人であったことがない者であること等を定める。
③ 収益事業等の内容の変更については行政庁の認定を要しないものとし、当該変更があった場合には行政庁に届け出るものとする。
④ 公益法人は、公益目的事業を行うに当たっては、当該事業に係る収入をその実施に要する適正な費用(当該事業を充実させるため将来において必要となる資金として積み立てる資金を含む。)に充てることにより、内閣府令で定める期間において、その収支の均衡が図られるようにしなければならない。
⑤ 遊休財産額の名称を使途不特定財産額と改め、使途不特定財産額の算定対象から公益目的事業継続予備財産(災害その他の予見し難い事由が発生した場合においても公益目的事業を継続的に行うために必要な限度において保有する必要があるものとして内閣府令で定める要件に該当する公益目的事業財産)を除外する。公益法人は、毎事業年度の末日において公益目的事業継続予備財産を保有している場合には、翌事業年度開始後速やかに、当該財産を保有する理由及びその額等を公表しなければならない。
⑥ 公益法人は、公益目的事業に係る経理、収益事業等に係る経理及び法人の運営に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。ただし、収益事業等を行わない公益法人であって、内閣府令で定める要件に該当するものについては、この限りでない。
⑦ 公益法人は、事業報告に、適正な運営を確保するために必要な事項を記載しなければならない。
⑧ 行政庁は、この法律等の規定により公益法人から提出を受けた財産目録等を公表するものとする。
金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律
1.金融商品取引法の一部改正
① 取引所における競売買の方法による取引を公開買付規制の対象に追加する。
② 公開買付けの実施が義務付けられる議決権割合を3分の1から100分の30に引き下げる。
③ 大量保有報告制度において保有割合の合算が求められる者の範囲に関し、金融商品取引業者等が経営に対して重要な影響を及ぼす行為を行うことを目的とせずに、株主としての権利を共同して行使する場合については、保有割合の合算が求められないこととする。
④ 投資運用関係業務受託業を行う者は、内閣総理大臣の登録を受けることができることとする。
⑤ 投資運用関係業務受託業者について、誠実義務、忠実義務、業務管理体制の整備義務、禁止行為その他の業務に関する規定及び業務改善命令、業務停止命令、登録取消処分、報告徴取及び検査その他の監督に関する規定を整備することとする。
⑥ 投資運用業者が運用を行う権限を委託する場合に、運用の対象及び方針を決定する権限を委託してはならないこととし、それ以外の運用を行う権限の全部を委託できることとする。
⑦ 特定投資家等を対象とした非上場有価証券の仲介等の業務のみを行う第一種金融商品取引業者について、自己資本規制比率に関する規制等の適用を除外する。
⑧ 流動性の低い非上場有価証券のみを取り扱い、かつ、取引規模が限定的である私設取引システム運営業務については、認可を要さないこととし、第一種金融商品取引業の登録により行えることとする。
2.投資信託及び投資法人に関する法律の一部改正
① 投資信託委託会社及び投資法人の資産運用会社の運用の委託に関し、所要の規定の整備を行う。
放送法の一部を改正する法律
① 原則として全てのNHKの放送番組について、同時配信及び見逃し配信をNHKの必須業務とする。また、NHKの放送番組の内容がその視聴の環境に適した形態で配信されるよう、放送番組と密接な関連を有する情報であって、放送番組の編集上必要な資料により構成される番組関連情報の配信についても、NHKの必須業務とする。
② 番組関連情報の配信を行う業務をNHK自らの判断と責任において適正に遂行するため、NHKに対して業務規程の策定、公表等を義務付けるとともに、その実施状況を定期的に評価すること等を義務付ける。
③ NHKの受信料の公平な負担を図るため、テレビ等の放送の受信設備を設置した者と同等の受信環境にある者として、通信端末機器の操作等を経て、NHKが必須業務として行う放送番組等の配信の受信を開始した者を、受信契約の締結義務の対象とする。
④ 民間放送事業者が講じる難視聴解消措置について、民間放送事業者から、NHKが行う協力の具体的な内容に関する協議の求めがあったときは、NHKに対し、当該協議に応じることを義務付ける。
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律
① 「低炭素水素等」とは、水素等であって、その製造に伴って排出される二酸化炭素の量が一定の値以下であること等の経済産業省令で定める要件に該当するものをいう。
② 主務大臣は、環境大臣その他関係行政機関の長に協議した上で、低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する基本的な方針を定めるものとする。
③ 低炭素水素等供給事業者又は低炭素水素等利用事業者は、単独で又は共同して、低炭素水素等供給等事業計画を作成し、主務大臣に提出して、その認定を受けることができる。
④ 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構は、認定供給等事業者が、低炭素水素等を継続的に供給するために必要な資金や、共同して使用する施設の整備に必要な資金に充てるための助成金を交付する。また、認定供給等事業計画に基づく高圧低炭素水素等ガスの製造について、製造開始から3年間、経済産業大臣が保安の確保のための検査を行うことができることとする等の高圧ガス保安法の特例等を創設する。
⑤ 経済産業大臣は、水素等供給事業者の判断の基準となるべき事項を定めるものとする。
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