最新の成立法律や法改正の情報をお届け!『法律の動向』Vol.1
『法律の動向』では、法律実務家向けの隔月刊誌「法律のひろば」や、自治体職員向けの月刊誌「地方財務」の掲載記事から、最新の成立法律や法改正に関する情報を厳選してお届けします!
※本記事は、「法律のひろば2023年4月号」の「ひろば法律速報」に掲載されたものです。
「ひろば法律速報」は国会で成立した近時の法律を紹介する記事です。
消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律
① 意思表示を取り消すことができる不当な勧誘行為の類型を改正し、事業者が消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、当該消費者又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、又はそのような不安を抱いていることに乗じて、その重大な不利益を回避するためには、当該消費者契約を締結することが必要不可欠である旨を告げるものとする。
② ①の不当な勧誘行為に係る取消権の行使期間を、追認をすることができる時から3年間、消費者契約の締結の時から10年間に、それぞれ伸長する。
③ 独立行政法人国民生活センター(以下「センター」という。)の業務に、適格消費者団体が行う差止請求関係業務の円滑な実施のために必要な援助を行うことを追加する。
④ センターの紛争解決委員会は、適正かつ迅速な審理を実現するため、和解仲介手続及び仲裁の手続を計画的に実施しなければならないものとするとともに、当事者は、適正かつ迅速な審理を実現するため、紛争解決委員会による和解仲介手続及び仲裁の手続の計画的な実施に協力するものとする。
⑤ センターは、消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益を保護するため特に必要があると認めるときは、消費者紛争の当事者である事業者の名称等を公表することができるものとする。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律
① 特定事業の対象となる公共施設等にスポーツ施設及び集会施設を追加する。
② 公共施設等運営権者は、国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供のために公共施設等運営権に係る公共施設等について維持管理としての工事を行おうとする場合において、当該公共施設等運営権に関する実施方針の公共施設等の規模又は配置に関する事項の変更が必要であると認めるときは、公共施設等の管理者等に対し、当該事項の変更についての提案(以下「変更提案」という。)をすることができる。
③ 変更提案を受けた公共施設等の管理者等は、遅滞なく、当該変更提案について検討を加え、当該変更提案に係る公共施設等の工事が公共施設等運営事業の適正かつ確実な実施の確保に支障を及ぼすおそれがなく、かつ、国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供のため必要があると認めるときは、当該変更提案に係る実施方針の変更の案の内容をその内容とする実施方針の変更をすることができる。
④ 株式会社民間資金等活用事業推進機構(以下「機構」という。)の業務に、次に掲げる業務を追加する。
㋐ 特定選定事業を支援する事業を実施する民間事業者に対する専門家の派遣
㋑ 特定選定事業を支援する事業を実施する民間事業者に対する助言
㋒ 特定事業を推進するために必要な調査及び情報の提供
⑤ 機構は、令和10年3月31日までにその保有する株式等の処分を行うよう努めなければならないこととされているところ、当該期限を令和15年3月31日まで延長する。
民法等の一部を改正する法律
① 女性が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものは夫の子と推定する旨の規定を設けるとともに、子を懐胎した時から子の出生の時までの間に複数の婚姻をしていたときは、子の出生の直近の婚姻における夫の子と推定する旨の規定を設ける。
② 女性に係る再婚禁止期間に関する規定を削除する。
③ 父による嫡出否認の訴えの出訴期間を父が子の出生を知った時から3年に伸長するとともに、嫡出推定の否認権者を子及び母に拡大し、母の前夫の否認権を新設するほか、子が自ら否認権を行使するための出訴期間の特則を設ける。
④ 事実に反する認知について、争うことができる期間等に関する規定を設ける。
⑤ 親権者の懲戒権に関する規定を削除するとともに、子に対する監護及び教育における子の人格を尊重する義務や体罰等の禁止等に関する規定を設ける。
⑥ 事実に反する認知によっては日本国籍を取得できないものとする規定を設ける。
⑦ 子の出生の直近の婚姻の夫の子との推定が否認された場合等に裁判所が判決又は審判の内容を前夫に通知する旨の規定等を設ける。
⑧ 第三者の精子を用いた生殖補助医療により出生した子について、妻及び子の嫡出否認権を制限する規定を設ける。
⑨ 親権者や児童相談所長等が児童に対して行う監護、教育及び懲戒に関する必要な措置について、⑤と同様の見直しを行う規定を設ける。
法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律
① 法人等は、寄附の勧誘を行うに当たり、寄附の勧誘が個人の自由な意思を抑圧し、その勧誘を受ける個人が寄附をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすることなど、十分に配慮しなければならない事項を規定するとともに、寄附の勧誘に関する禁止行為として、不当な勧誘により寄附の勧誘を受ける個人を困惑させてはならないこと及び借入れ等による資金調達を要求してはならないことを規定する。
② 法人等が①に違反した場合の勧告、正当な理由がなくて勧告(①の禁止行為に係るものに限る。)に係る措置をとらなかった場合の命令等の行政上の措置等について規定するとともに、当該命令違反等に係る罰則について規定する。
③ 不当な勧誘により個人が困惑して寄附を行った場合における意思表示の取消しについて規定するとともに、扶養義務等に係る定期金債権について、確定期限の到来していない部分を保全するための債権者代位権の行使に係る特例を設ける。
④ 国は、法人等の不当な勧誘により寄附をした者等が権利の適切な行使により被害の回復等を図ることができるようにするため、日本司法支援センターと関係機関及び関係団体等との連携の強化を図り、利用しやすい相談体制を整備する等必要な支援に関する施策を講ずるよう努めなければならないものとする。
⑤ この法律の運用に当たっては、法人等の活動において寄附が果たす役割の重要性に留意しつつ、個人及び法人等の学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由に十分配慮しなければならないものとする。
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