予定より遅く帰ってしまったひ
バイトが2時間ほど長引いて、家に着くのが予定より2時間ほどおそくなった。
「予定」といっても、どこかへいくとかを約束していたわけじゃなく、朝家を出るとき、「夕飯どきには帰ってくるんだもんね〜」といいながらお母さんに見送られたことが気がかりだった。
いつも帰れているじかんに帰れないことはバイト先にいる時点でわかっていた。
「あ、遅れるな」とおもったと同時に、朝のお母さんのことばを思い出した。
「まあ、でも、おにいちゃんも家にいるだろうし、ごはんは先に食べてるからだいじょうぶだろう」とおもって、連絡をしなかった。
バイトがおわって家にかえった。
部屋にはいると、まだ手をつけてない状態の鍋の用意がめにはいった。
「しまった」とおもった。
お母さんは「遅かったんだね〜、もしかしてもう夕飯たべちゃった?」ときいてきた。すぐに、「たべてない!たべる!」といった。
バイトが忙しかったからバイトで出るまかないを食べたのは17じくらいだった。お腹はぜんぜん空いてないけど、「たべたい!」とつよくおもった。
ちょっといいお肉が用意してあったり、お母さんがパン屋さんでかってきたおいしいパンをはんぶんこしてたべたりしながら、「このひとはわたしとたべるごはんをたのしんでいる」とおもったとき、もっとごはんがおいしくなった。
毎日のごはん、繰り返しのことだからすぐに忘れてしまうけど、たいせつなひととのごはんって、とてもいとおしいものだ。
元日にテレビ東京でやっていた「きのう、何食べた?」のドラマでも、仕事が忙しくてなかなかいっしょにごはんが食べれなくて、さみしいきもちになるシーンがあった。
たべれるかも!とおもって張り切っている最中、「ごめんやっぱり忙しくなってしまった」と連絡が入ったときの悲しい表情をすぐに思い出せる。
お母さんはきょう、どんなきもちで待っていたのかな、と考えると、連絡の一本はだいじさを噛みしめてしまう。
おいしそうなお肉やパンを買うとき、わたしの顔がよぎっていること、ほんとうにうれしいな。そのきもちを抱きしめるように、ごはんをたべたいな。
ドラマの中でこんなセリフを言っていた。
「食べさせたいと思う相手が心の中にいる人は何があってもやり直せます」