鍼灸大成 巻一 鍼灸直指 鳳凰堂流解釈⑪
原文
肝熱病者,左頰先赤,
心熱病病者,顏先赤
脾熱病者,鼻先赤
肺熱病者,右頰先赤
腎熱病者,頤先赤。
病雖未發,見赤色者刺之,名曰治未病。
熱病從部所起者,至期而已期為大汗之日,
如肝甲乙,其刺之反者,三周而已反謂反取其氣也,如肝病刺脾,脾刺腎,腎刺心,心刺肺,肺刺肝。
三周,謂三周於三陰、三陽之脈狀也。如太陽病,而刺瀉陽明也,重逆則死。
諸當汗者,至其所勝日汗大出也。
鳳凰堂流意訳
肝の熱病は左頰が先ず赤くなり、心の熱病は顏が先ず赤くなり、脾の熱病は鼻がまず赤くなり、肺の熱病は右頰が先ず赤くなり、腎の熱病は顎が先ず赤くなる。
病が発症していなくとも赤色が見えれば鍼治する。これが治未病である。
熱病で一部から起こる場合は、その期を大汗の日にとる。例えば肝であれば甲乙の日。これに反して鍼治すると三周して反ってその氣をとってしまう。例えば肝病で脾に刺す、脾病で腎に刺す、腎病で心に刺す、心病で肺に刺す、肺病で肝に刺すなど。
三周とは三陰、三陽の脈狀を三週すること。例えば、太陽病で陽明を瀉すと、重逆すれば死ぬ。
汗は勝つところの日に汗大が出ること。
鳳凰堂流解釈
勝つところの日に関して。
太陽病なのに陽明に刺すと気逆が重なって死ぬとあるが、補泻によっては健康を回復する。
実証かどうかが先ずは大切で、施鍼後の脈や数日後の状態が分かればこの論を覆すのは難しくない。
しかしながら指標の一つとしては有用だと考える。