老子道徳経と中医学的身体観㉖
副題 重徳
重ものは下へ、軽いものは上へ。
表面に現れるのは軽いもの
エネルギーの原初は奥深くにあります。
周易では火水未済、水火既済(心腎相交)で例えられるように、先ず初めの位置は重いものが下、軽いものが上。
本当は天の徳、天一生水が下へ降りる事で実際のものが生成され、現象が起こります。
中医学的身体観では、天の徳は重力
地の縁は重力の反動となる抗力
この二つは柔能制剛(柔よく剛を制する)であり、又剛能断柔(剛よく柔を断つ)と言う陰陽の関係にあります。
直訳
重は軽の根(こん)たり、静は躁(そう)の君たり。
ここをもって聖人は、終日行けども輜重(しちょう)を離れず。栄観ありといえども、燕処(えんしょ)して超然たり。いかんぞ万乗
(ばんじょう)の主にして、身をもって天下より軽んぜん。軽ければすなわち臣(しん)
を失い、躁なればすなわち君を失う。
原文
重徳第二十六
重爲輕根、靜爲躁君。是以聖人、終日行不離輜重。雖有榮觀、燕處超然。奈何萬乘之主、而以身輕天下。輕則失臣、躁則失君。
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