医心方 治湯火燒灼方第一②
鳳凰堂解釈
≪葛氏方≫は冷たい灰と水を混ぜると書いてあるが、千金方等に冷やすなと書いてある事を鑑みると、救急対処では冷やさず落ち着いてから、瘡がない程度なら冷やすのかとも思ったが、そもそも冷やすと気血は停滞し、孫絡から経絡、臓腑へと伝播する旨の文章がある事からも、この頃から現代の処置へと変化したのであれば、≪葛氏方≫自体を疑ってかかる必要があると考える。
また、新牛屎や新尿、その他入手しにくいものは除外して救急用に準備して置くと良い。
鳳凰堂流意訳
≪葛氏方≫
火傷して未だ瘡がない場合の処方
冷たい灰と水を混ぜて、そこに漬ける。
別方
鶏の卵白を塗る。
別方
豆醤を塗る。
この三薬は全て鎮痛、瘡を作らない事に役立つ。
別方
石膏の粉末を塗るとすぐに治癒する。
既に瘡ができている場合の処方
白蜜を塗り、竹の薄皮を貼る、一日三回。
別方
大豆を煮て煎じた汁を貼る。
別方
猪膏と米粉を塗る、一日五〜六回。
別方
上質の酒で洗って漬ける。
≪拯要方≫
火傷で糜爛がある場合の処方
梨を削って貼る、糜爛がなければ治愈しやすい。
別方
猪膏で柳白皮を煎じて塗る。
既に瘡ができた場合の処方
柳皮を焼いて粉末にしてつける。
≪医門方≫には、火傷して敷膏散を塗る場合、先ず大豆煮て、汁が濃くなるのを待ってから瘡を洗う。その後塗膏散を塗ると極めて良い。鎮痛ができ瘢も作らない、と書かれている。
膏脂の熱湯で火傷し瘡痛が耐えられない場合の処方
犬の毛を細く切り、糊と混ぜて塗る。痂が落ちて痛まないので神秘的な効果あり。
≪僧深方≫火傷の処方
清らかな醤油と蜜を混ぜる。一分醤、二分蜜で配合して混ぜる。
別方
猪膏で柏皮を煮て
≪千金方≫治火燒方
丹参无多少,以羊脂煎塗之,神良。今按、无羊脂用猪脂。
又方
死鼠一頭を猪膏で煎じて形がなくなったら貼付すれば直ぐに治癒する。神効あり。
又方
楡白皮を咀嚼し貼付する。
≪龍門方≫火傷瘡方
新しく出た牛屎を塗れば治癒する。
別方
桑柴の灰と水を混ぜて貼付すれば治癒する。
別方
梔子二七枚を蜜三合に漬けて貼付する。一日三回。
≪新録方≫
燃やした草を搗いて塗布する。
≪録験方≫
石灰を篩にかけ、水と混ぜて塗布する。
≪範汪方≫火傷の糜爛や瘡に対する蜜膏方
食蜜一両、烏賊魚骨二銖
上記二物、烏賊魚骨は篩にかけ、蜜中に入れて攪拌し馴染んだら、瘡上に薄く塗布する。一日二回。
≪耆婆方≫治人火灼爛長毛髪方
柏白皮を粉末にし、 猪脂と混ぜて貼付する。良効あり。煮汁で洗う。
≪刪繁方≫火傷瘡、灸瘡等の膏方
柏樹白皮五兩、甘草一両、甘草一両、竹葉三両、生地黄五兩
上記四物を切り、裏漉しし、苦酒五合に一晩漬ける。猪膏一升で煎じて竹葉が黄色になれば滓を取り去り、瘡にこすりつける。
原文
≪葛氏方≫
治湯火所灼,未成瘡者方
取冷灰,以水和,沓沓尓以漬之。
又方
破鶏子白塗之。
又方
以豆醤塗之。
此三藥皆能不痛、不成瘡。
又方
末石膏塗之,立愈。
若已成瘡者方
以白蜜塗之,竹中幕貼上,日三。
又方
煮大豆,煎其汁以敷之。
又方
猪膏和米粉塗,日五、六。
又方
以好酒洗漬之。
≪拯要方≫
療湯火燒灼爛方
削梨,貼,不爛易愈。
又方
猪膏煎柳白皮,塗上。
已成瘡方
柳皮,燒作末,粉之。
≪医門方≫云、凡療湯火瘡、欲塗敷膏散、先取大豆煮,令汁濃,待洗瘡。然後塗膏散,極佳,止痛无瘢。
療熱湯膏脂,火燒瘡痛不忍方
狗毛細剪,烊胶和毛塗上,痂落不痛,神秘。
≪僧深方≫治火瘡方
醤清和蜜塗,良。一分醤,二分蜜合和。
又方
猪膏煮柏皮敷之。
≪千金方≫治火燒方
丹参无多少,以羊脂煎塗之,神良。今按、无羊脂用猪脂。
又方
死鼠一頭,猪膏煎,令消尽,以敷即瘥,不作瘢。神妙。
又方
楡白皮,嚼,塗之。
≪龍門方≫火燒瘡方
新出牛屎,塗,瘥。
又方
桑柴灰和水敷,瘥。
又方
梔子二七枚,蜜三合,漬塗,日三。
≪新録方≫
搗慎火草塗之。
≪録験方≫
石灰下篩,水和塗之。
≪範汪方≫治火爛瘡蜜膏方
食蜜一両、烏賊魚骨二銖
凡二物,冶,烏賊魚骨下篩,納蜜中,攪令相得,薄塗瘡上,日二。
≪耆婆方≫治人火灼爛長毛髪方
取柏白皮作末,和猪脂敷之,良。煮汁洗之。
≪刪繁方≫治火瘡、灸瘡等膏方
柏樹白皮五兩、甘草一両、甘草一両、竹葉三両、生地黄五兩
凡四物,切,綿裏,苦酒五合,淹漬一宿。用猪膏一升,煎取竹葉黄為度,去滓,摩敷瘡。
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