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老子道徳経と中医学的身体観㊴
副題 法本
中医学的身体観としては、
精気神学説も気一元から始まる事を示しています。
気を意識(無意識も含め)とすると、気が先に走った後に行動へ繋がる。
気を巡らせる範囲によって思考できる範囲が異なり、受信も発信も変化する。
例えば、気血の範囲であれば五臓六腑だが、気全般となると、宇宙、自然、社会、人体全てを包含する目線が必要になる。
鳳凰堂流解釈
天一水を生み、地二火を生む、、、
あらゆるものは渾沌から湧き出す気
気があらゆるものへ宿っていく。
気は意識であり、あらゆるものの基礎になる。
鳳凰堂流意訳
道から気のようなものが生まれた。
天はこれを得て清く、地はこれを得て安定し、神はこれを得て霊妙 になり、谷はこれを得て充実し、万物はこれを得て生き、王侯はこれを得て天下の頭になった。
天が清くなければ、恐らく避けてしまう。 地が安定してなければ、やがて崩れてしまう。 神が霊妙でなければ、恐らく力を失う。 谷が水で満たされなければ、すべてが枯渇してしまう。 万物が生育できなければ、あらゆるものが死滅する。
王侯が最高の地位を保てなければ、国は滅びてしまう。
身分の高い人、地位の高い人、つまり貴族や高官にとって身分の低い、卑しい庶民は彼らの根本であり、高さは低きをもって基礎とする。
ここから王侯は古代より自分の事を『孤』(孤児)、『寡』(独り者)、『不穀』 (不幸)と自虐的に称したがこれは貴さは卑しさをもって根本となすという考えからではなかろうか。
従って多くの栄誉を求めると、かえって栄誉はなくなる。
高貴な美玉になろうとは望まない。つまらない普通の石でよいのだ。
直訳
昔(はじめ)の一を得たるもの。
天は一を得てもって清く、
地は一を得てもって寧(やす)く、
神は一を得てもって霊に、
谷は一を得てもって盈(み)ち、
万物は一を得てもって生じ、
侯王(こうおう)は一を得てもって天下の貞(てい)たり。
そのこれを致すは、一なればなり。
天もって清きことなければはた恐らくは裂けん。
地もって寧(やす)きことなければはた恐らくは発(ひら)かん。
神もって霊なることなければはた恐らくは歇(や)まん。
谷もって盈つることなければはた恐らくは竭きん。
万物もって生ずることなければはた恐らくは滅びん。
侯王もって貴高(きこう)なることなければはた恐らくは蹶(たお)れん。
故に貴は賤をもって本となし、高はかならず下をもって基となす。
ここをもって侯王は自ら孤・寡・不穀(ふこく)と謂う。
これ賤をもって本となすにあらずや。あらざるか。
故に誉(よ)を数うるを致せば誉(ほまれ)なし。
琭琭(ろくろく)として玉のごとく、落落(らくらく)として石のごときを欲せず。
原文
昔之得一者。天得一以清、地得一以寧、神得一以靈、谷得一以盈、萬物得一以生、侯王得一以爲天下貞。其致之、一也。天無以清將恐裂。地無以寧將恐廢。神無以靈將恐歇。谷無以盈將恐竭。萬物無以生將恐滅。侯王無以貴髙將恐蹷。故貴以賤爲本、髙必以下爲基。是以侯王自謂孤寡不轂。此非以賤爲本耶。非乎。故致數譽無譽。不欲琭琭如玉、落落如石。