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099_『螺旋銀河』 / 草野なつか
大切な人に宛てた手紙が、ある日、自分に宛てた手紙として届く。
手紙を書くということは、たしかに、相手に宛てているものの、同時に自分に対して語りかけているようなところもあって、筆を走らせながらも自分と対話しているような感覚がある。
時に筆を止めて、息を吐き、目線を机の上から外す。その時に心に浮かぶ情景は、誰のためでもなく、自分のためにある。
そして、その情景を誰かと分かち合いたいと思ってしまうのが人間。
AntonymとSynonym。対義と同義。
同じビルで働く二人が偶然に知り合う。一人は、夜間のラジオのシナリオコースに通いながらも、自分の世界だけしか見えず、シナリオ制作に行き詰まる。一方の一人は、地味な生活を送りながらも、ふとしたきっかけからこのシナリオ制作を手伝うことになり、人生に急に訪れた華やかな時間を喜ぶ。
自分にないものを相手の中に見つける二人の女性の物語。時には惹かれ合い、時には反発し合いながらも、最後にはラジオのシナリオという架空の世界で向き合うことになる二人。
最後の一瞬がとても印象的に残る作品。
螺旋銀河
監督・脚本:草野なつか
脚本:高橋知由
出演:石坂友里、澁谷麻美、中村邦晃ほか
制作年:2014年
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