062_『高架線』 / 滝口悠生
作家の小説作品を読むのは、この作品が初。
エッセイを読む限りは、語り口に冗長なところがあって、少し苦手かなと思い読み始めてみると、その特有の語り口がとても魅力的に登場人物を隅々まで描いており、何もない(何もなくはないが)日常がとても日常に寄り添っているというか、簡単に言うと、想像できる。
バトンのように紡がれていく、モノローグの連続というスタイルも、とても効果的で、ある人物を様々な角度で見て、その語られる人物像が一つに集結していく様を見るのはとてもエキサイティングにも感じられるくらい。
最後に、とある有名映画のエピソードを挿れてくるところも非常に妙味があり、とても上手い。
ふと気がつくと、最終ページまで、辿り着いてしまう、そんな作品でした。