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001 さいたま市民会館うらわ(閉館済み)

※本記事の写真はすべて市民会館うらわ様の撮影・掲載許可を頂いているものです。

コロナ禍で緊急事態宣言が出たり解除されたりと、日々落ち着きの無い空気の漂っていたこの時。市民会館うらわの閉館というニュースが目に飛び込んできた。
古い建物に関心を持って歩いている身のため、こちらの会館もこの近辺で何かと用事があれば、外壁の丸タイルの1枚1枚の濃淡を眺めたり、触ってみたり、特に公演を観る予定が無くとも、中のロビーの雰囲気を味わったりしにきていた。

その為、閉館のニュースを聞いたときは「とうとうその時が来てしまったか」と、どこか心の片隅で気づかないようにしていた別れのさびしさがはっきりと姿を現してしまった、そんな気持ちになった。
ただ、それはここに限らず、どこの古い建物にもその気持ちは常に抱いており。

いよいよ訪れてしまった別れの期限、後悔しないようにと、最後にその佇まいをカメラにしっかり収めようと、訪れ、その時の記録です。

なお、専門家では無いため、言い表す語句の表現が足りていない場合があります。ご容赦ください。

外観

中に結婚披露宴用の部屋や和室、会議室などがあった。8階建て。
大ホール外観。すべて丸いタイル貼りになっていて、光が当たると光沢が美しかった。
大ホール出入口。搬入などに使われていたのか。ドア回りをホール外壁へと繋ぐカーブに見とれる。
一枚一枚発色の異なる茶色いタイル。

エントランス周り

エントランス周りはメタリックでどこか近未来的である一方、ドアハンドルは木材でできており、その対比が新鮮であった。

待合室?そしてロビー

入館した右側にあった待合のようなスペース(おそらく結婚披露宴関係)の天井は、この年代の建築でみかけるワッフルスラブ(しかもペールグリーン)であった。
朧げな記憶では、この角丸の什器には、婚礼用品の見本やカタログが収められていたような。
角丸什器の上には、婚礼のお祝いムードに華を添えていたであろうかわいらしい照明が吊り下げられていた。
閉館日が迫っていた時に撮影した写真のため、使わなくなった什器は端へと片付けられていた。カーブの美しい受付用?テーブル。


エントランス奥にはこのようなロビー。外壁にも使われていた丸タイルがロビー内装の壁面にも使われており、外と中が分断されずそのままつながっているような印象を受ける。窓から差し込む光が内壁を照らす様子も美しかった。

エレベーター・階段

会議室

この部屋を係の方に案内して頂き、整然と並べられたこれらのチェアを見てくらりと来てしまった。レトロフューチャー・レトロモダンなどが好きな方は皆これを見て何も思わないはずがないと思う。

結婚披露宴(に使っていたであろう)会場

何度この鍵盤で結婚行進曲が奏でられたのだろう。

展示会場のような部屋

絵画などの展示に使われていたのかなというスペース。中2階のような感じで、右奥から、1階婚礼打ち合わせ用スペースを見下ろすことができた。


おそらく展示物などを照らすための照明なのだろうけれど、この球体照明がいくつも天井からぶら下がる様子はなんともスペイシーでかわいらしかった。

中庭

ホールの外壁を這う白い階段。

混乱のさなか、静かに幕を閉じた会館

コロナ禍が無ければ、いつものビルメンバーみんなと、もっとワイワイあれこれ質問などさせて頂きながら見たかもしれないけど、それをするには世の中の緊迫感が強く、重く、この写真と文章を書きながらも、そんな事を思い出して、感想をまとめることとなった。

コロナ騒動は収束し(コロナ自体は残っているが。)、世の中もコロナ以前に戻ろうとしながらも、街は絶えず変化していく。私はたぶんそれをじっと見守り、ここにこんなものがあった、という記録を書いていくのだと思う。


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