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「ほっかほっか電信」 第4回 永井ミキジ


かれこれ「ベンチウォーマーズのほっかほっか通信」を連載させてもらってから数年。毎号誌面ではお届けできなかった裏話をメンバーの永井ミキジがこちらで書かせていただきます。


今号(108号)は「祝還暦 能理子ちゃんサプライズミッション」と題して昨年10月に還暦を迎えた青林工藝舎の手塚能理子編集長をお祝いするためにおこなわれたサプライズの裏舞台を書かせてもらいました。

手塚さんがあまりサプライズみたいな、こそばゆいのが嫌いな方らしく怒られたらどうする? と、みんなでワナワナしていましたが、かわいい作家達が60歳の祝いをするんだから決して断れないだろうと、どうせなら“赤いちゃんちゃんこ”を着てもらって「HAPPY BIRTHDAY」のサングラスとかかけてもらって、大きなケーキでローソクを消してもらって、みんなでバースデーソングを歌って、ずっと嫌がらせに近いことをしたあと、その場でグレー背景を敷いて、手塚さんのソロ写真をベンチメンバーの成田君に撮影してもらって、手塚さんが気づく前にそそくさと帰り、すぐ印刷して見合い用の写真ケースにいれたり、特大ポスターにしたり、青林工藝舎の年賀状として勝手に作って送りつけるのが当初の予定でした。ただ年末のアックス忘年会は手塚さんの還暦をメインに進行すると幹事の中野シズカさん、田中六大さん、小口十四子さんから聞いていたので邪魔しちゃ悪いと誕生日は軽いジャブ程度に内容を変更、ケーキと“赤いちゃんちゃんこ”のみを用意することにしました。

還暦といえば“赤いちゃんちゃんこ”。

“赤いちゃんちゃんこ”ってどれくらいするもんなんだろうか……と、まず調査のために巣鴨の元祖赤パンツの店マルジに行くと[ちゃんちゃんこ、大黒頭巾、扇子]の3セットで12800円!うっ、高い! えっこんなにするの!? とげ抜き地蔵尊の前で途方に暮れていると境内にある手作り巾着の露店が目に入ってきた。

あっそうだ……作ればいいのか。その場から裁縫が得意なマンガ家こと齋藤(裕之介)さんに電話すると「あっはい! 余裕です。2000円ぐらいもらえれば作れますよ。なんなら刺繍とかもできますよ!裏地も金にしちゃいますか!」という心強い返事が!

齋藤裕之介カッコイイ!
頼りになる男、齋藤裕之介!
齋藤裕之介バンザイ!

僕は気分が高揚して背中には「ババア!」と刺繍をいれてくれと頼むと
「それは怖いからイヤだ」と断られました。

この電話をしたのがサプライズ2ヶ月前。
布を買ったり、縫ったり、作り慣れてないものだからと思い、早めにお願いしたんだけど、齋藤さんはすぐできるだろうとたかをくくってサプライズ1週間前まで何もしなかったらしく、ちゃんちゃんこの仕上げも途中で止め、刺繍も大黒頭巾も間に合わず、中途半端な“赤いちゃんちゃんこ”を持って会場に来たのでした。

それでも手作りの“赤いちゃんちゃんこ”を見た作家達からすごいすごい! と齋藤さんのがんばりを褒め称える声があがってました。
作ってもらっておいてなんですが、僕だけは鋭い目つきで彼をにらんでました。
中途半端な“赤いちゃんちゃんこ”でしたが随所に齋藤裕之介らしさがでててお世辞ぬきで本当に素晴らしかったです。

フォローするわけではないけど、そこから2ヶ月後のアックス忘年会には作家さん達の前で全て揃えた還暦セットを作って手塚さんに渡してました。齋藤さん忙しいなか作ってくれてありがとう。お疲れ様でした。

齋藤さんの赤いちゃんちゃんこを羽織る手塚編集長。
右にクラッカーの音でビックリしてブルーになってるラッキーが。

次はケーキです。ケーキは中野シズカさんの得意分野なので全部任せました。一番安くてパティシエのクセが凄いところを何店舗か候補にだしてくれたのですが、店選びも任せました。

唯一、ケーキに「ババア!」と大きく入れてくれとお願いしたのですが
「それは怖いからイヤだ」と断られました。

途中、手塚さんのくわえタバコの絵にしようと思うのだがタバコの火の所をジャムにしたいなど、よくわからない連絡が来ましたが自由にしてもらいました。

似顔絵用の手塚さんの写真は青林工藝舎の高市さんがこっそり用意してくれました。高市さんは今回のミッションでは青林工藝舎のスパイとしてサプライズがバレないように手塚さんの動向を報告するなど、重要なポジションを担当してもらい大変助かりました。途中、ツライ! と弱音を吐いてましたが、甘いお菓子をあげたりパンダの絵が付いたモノをあげるとニコニコ喜んでいたのでチョロいもんです。

結果、当日は予算内で大きくて素晴らしい完成度のケーキができました。ケーキ屋さんでも好評だったようです。中野さん忙しいところ無茶ブリしてすみません。お疲れ様でした。

中野さんの似顔絵ケーキ。あれ? おかしかところが……、答えは誌面にて。

サプライズパーティまでの秘話は今号のほっかほっか通信で齋藤さんと中野さんにマンガで描いてもらいましたのでぜひ気になる方は読んで下さい。
サプライズパーティは僕が連絡先のわかる同世代に声をかけたぐらいで3、4人集まれればと思ってたのですが、ベンチメンバーの堀道広さん、齋藤裕之介さんをはじめ中野シズカさん、後藤友香さん、鈴木詩子さん、筒井ヒロミさん、磋藤にゅすけさん 、小口十四子さん、デザイナーの佃美奈江さん、編集の志村さん、高市さんも集まってくれて見事成功、手塚さんも喜んでくれました。参加してくださった皆さまありがとうございました。お疲れ様でした。
本番の忘年会はというと、幹事(中野シズカさん、田中六大さん、小口十四子さん)さんらが大奮闘。幹事たちと協力してアックス作家の筒井ヒロミさん、齋藤裕之介さん、堀道広さん、鈴木詩子さん、三本美春さん、磋藤にゅすけさん、藤枝奈己絵さん、島田虎之介さん、後藤友香さん、そして最後の最後で根本敬さんが描いた最高のオチまでついたサプライズ紙芝居[手塚能理子物語~困難を能理子えて~]を披露。紙-1主催者でもある三本美春さんが代表して読みきった感動的な内容に手塚さんも大喜びでした。


紙芝居のタイトルは幹事の田中六大さん。
今年のアックス忘年会メインビジュアルはベンチメンバーの菱沼彩子でした。
本人は当日風邪で欠席。
赤いちゃんちゃんこの内側に作家にサインを入れてもらいました。 まだ書いてない方は青林工藝舎に行った際に書いて下さいね。

そしてそして毎年アックスを盛り上げようと有志達で開催してる恒例の忘年会ですが今年は12月17日(土)ともう日程は決まっています。アックス関係者の皆さま、今から予定を空けておいて下さい。今年の幹事は齋藤裕之介と新人作家の大山海さん、てらだこうじさん、モリノダイチさんです。

去年と今年の幹事引き継ぎを兼ねた食事会、てらだこうじさん、モリノダイチさん、大山海さん、 齋藤裕之介さん、田中六大さん。小口十四子さんはいつものお面を忘れたので写ってません。

あっ! あと訂正があります!!

今号のほっかほっか通信で手塚さんとのインタビューにて青林工藝舎が来年で20周年だという話でキレイに終わってますが正確に調べると19周年でした。なんだよ! 手塚さんに間違ってますよ! というと「そうだっけ? ガハハ!」と笑ってました。気づかなかったら19周年なのに記念パーティとかやってたのかな……、危ない!

次号(109号)はベンチウォーマーズのほっかほっか通信をお休みをさせてもらいます。

次々号(110号)から大型企画「ベンチウォーマーズ流 仁義なき戦い ~俺たちが賭けた熱いもの~」がスタートする予定ですのでお楽しみに!

(続く)

永井ミキジ プロフィール

グラフィックデザイナー・アートディレクター
http://www.mikiji.tv/

あらゆるジャンルが集まった集団ベンチウォーマーズのデザイン担当。メンバーは永井ミキジをはじめアックス作家の堀道広、齋藤裕之介、イラストレーターの菱沼彩子、ライターでありカメラマンの成田敏史、編集担当のビキニライン、カレー担当の島田真人の7人で構成。

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