ロケッツのドラフトについて③クリンガン指名はありえるか

クリンガンの指名はありえるのか

前回のnoteで多くのロケッツファンがシェパードを欲しがっており、実際ロケッツとシェパードは相思相愛と言ってもいいと書いたが、一部のロケッツファンはクリンガンを推しており、複数のモックサイトではロケッツがクリンガンを指名すると予想している。
果たしてロケッツがクリンガンを指名することはありえるのだろうか。

基本情報

まずは基本情報から

身長 7-2(218cm) 靴なし7-1.75(靴なしが最新の値のため、靴ありはもう少し高いかも)
体重 282 lbs(約128kg)
ウイングスパン 7-6.75(約230㎝)
スタンディングリーチ 9-7(約292㎝)
ポジション C
生年月日 2004/02/23 (ドラフト時20歳)
大学 UConn (NCAA二連覇)

長所と短所

次に長所と短所についてまとめる。
前回のnoteでも書いたが、カレッジバスケ有識者ではなく素人なのであしからず。あと前回ここ書くが結構大変だったので前回よりは簡易的なものにする。

長所

①サイズ、フィジカル

身長218㎝(もう少し高いかも?)、体重128㎏、ウイングスパン230㎝、スタンディングリーチ292㎝という素晴らしいサイズとフィジカルを持っている。

②ディフェンス
一番の長所は圧倒的なインサイドディフェンスだろう。サイズとフィジカルを活かし、平均出場22.5分でありながら2.5ブロック、11.4BLK%記録している。
クリンガン相手に放ったフローターの成功率は44.3%で、チェット,ライブリー,ケスラー,モブリー,デュレーンのNBAでも活躍しているディフェンスに優れたビッグマンよりも低い成功率に抑えている。また、NCAAトーナメントでのクリンガンに対するポストプレーの成功率はなんと11%(3/26)で、カレッジレベルではインサイドにおいて圧倒的な支配力を誇った。
あのサイズにしては動けるのでP&Rのディフェンスも得意であり、インサイドの守備に関してはNBAでもすぐに脅威になりそうな予感がする。

③リバウンド
サイズを活かしリバウンドを取る。22.5分の出場で7.4リバウンド、23.5DRB%を記録している。

④フィニッシュ
リム周りのFG%→69.4%(159-229)
ロールマンとして→69.4%(34‐49)
ポストプレイ→57.5%(61‐106)
オフェンスリバウンドから→62.5%(30-48) (2.5ORPG 13.8ORB%)
を記録している。

⑤オフェンスへの理解(?)
スクリーンのかけ方が上手く、周りをみて積極的にかけにいっている。
また、パス能力を高く評価しているスカウティングレポートもしばしば見かける。正確で効果的なパスを出せるためプレッシャーやダブルチームも上手く捌けているとのこと。

⑥その他
今年の±は+14.1を記録しており、これは2008年以降18番目に良い数字で、大学通算±12.8は大学で45試合以上プレイした選手の中で2008年以降4番目に良い数字となっている。

短所

①ペイント外のプレイ
ペイントでは攻守両面で圧倒的な存在感を発揮しているが、そこから引きずり出されるとあまり脅威ではなくなる。横の動きは早くないのでペリメーターを守れるわけでもなく、器用なタイプでもないのでミドルを打ったりフローターでかわしたりが出来るわけではない。もちろんスリーもほとんど打たない。

②シューティング
FTが2年次は58.3%,1年次は51.7%とかなり厳しい数字。基本的にシューティングポテンシャルはないものと思っている。

③クリエイト
得点のほとんどはポストプレイ,P&R,リムでボールもらってダンクと基本的にアシストありきのため、クリエイト能力はほぼ皆無といってもいい。

④ケガ,耐久性
昨年の9月と12月に右足を負傷しており、平均出場時間も他に優秀なCがいた訳でもないのに22.5分と短めなのでケガの懸念のためPTを制限されていたのではという声は多い。
将来のことを考えて制限していたのかもしれないがNBAでいきなり30分ほどで続けるというのは厳しいかもしれない。


ロケッツはクリンガンを指名するべきか

結論から言うと「シェパードが残っていない場合は指名の選択肢に入る」である。指名すべきかという問いに対する答えにはなってないかもしれない、すまない。
以下、指名すべき理由と指名すべきでない理由について述べていく。

指名すべき理由

①ロケッツの弱点を補う存在である
ここ2シーズン苦しんでいたセンターの層の薄さとインサイドのディフェンス(リムプロ)という弱点を補える。

②ディフェンスをより強固に
ロケッツは既にリーグ10位のディフェンスレーティングを誇っているが、クリンガンを指名することで強みであるディフェンスをより強固なものにすることができる。

③来たるビッグマン無双時代に備える
今のウエストにはチェット,ヨキッチ,ゴベア,KAT,AD,サボニス,JJJ,ウェンビー等厄介なビッグマンが多く、特にサイズがありリムプロが得意な選手が多い。
これに対抗するためにもビッグマンの層は厚くすべきだし、特にサイズがなくディフェンスが苦手なシェングンを補うためにも、デカくて守れるビッグマンは必須である。

④他チームとの兼ね合い
③の話とも重なるがウエストにはデカくてリムプロが得意な選手がすでに多いのに、今回クリンガンを指名すると予想されているのがPORとMEMとどちらもウエストのチームであり、これ以上他チームにデカくて凄いビッグマンが増えたら困る。
あまりこういう考え方はしないとは思うが、他チームに行かれると厄介だから指名するというのも考えられる。

指名すべきでない理由

①アダムスの獲得
確かに控えセンターに長年悩まされてはきたが、ロケッツは昨シーズンTDLでスティーブンアダムスを獲得している。彼の素晴らしさについてはここでは語らないが、健康であるならシェングンの控えとしては十分すぎる存在である。

問題は約1年半のケガ明けということ。シェングンの控えなのでおそらく平均15分ほどの出場となるが、それでも全試合出場は厳しいだろうし、途中でシーズンアウトしてしまうかもしれないし、ケガ前のパフォーマンスを出すのは厳しいかもしれない。
だが、もしケガ前と遜色ないパフォーマンスを出せるのなら、普通に試合に出られるのなら、PT配分はどうするのか。3位指名のルーキーを干すのか?ウエスト上位のチームでスタメン張って貢献してた選手を干すのか?どちらも選択肢としては微妙ではないか?
アダムズをトレードしてアセットを取るという手もなくはない、というか多分それがクリンガンを指名した場合の最適解だが、JGとアダムズのコンビやイーソンアメンアダムズのリバウンドつよつよセカンドラインナップを見たいし、多分それを見越して獲得したのではないか?

個人的にはアダムスを楽しみにしているのでクリンガンの獲得はもったいなく感じてしまう。先ほど挙げたアダムスの懸念はそれなりの三番目Cを獲得すればいいこと。なんならシーズン終盤の活躍をみれば全然ランデール残しでも十分すぎると思う。

②アメンとの相性
アメンとの相性は良くなさそう。アメンをSF起用する場合、アメンはダンカ―スポット待機となることが多いが、クリンガンといる位置が被ってしまいスペースは渋滞するだろう。

シェングンとの相性

これは指名すべき理由でもあり、指名すべきでない理由でもある。
シェングンのサイズ不足,ディフェンス力という弱点を補うためにはクリンガンの指名は有効である。全然違うタイプの優秀なビッグマンが2人いるというのは相手にとって非常に嫌だろうし、シェングンがいるのでPTは大体20分未満であるのは耐久性の面でもクリンガンにとって良いと思う。これらの点ではシェングンとの相性的に指名すべきだといえる。

ただ、結局のところシェングンがいる時間のサイズ不足とインサイドのディフェンス力を改善しないと根本的な弱点の解決にはならないのではないか。
だからこそ去年はPFでリムプロできるウェンビーを欲しがっていて、ロッタリー後もPFできてシェングンと並べられてインサイドでディフェンスできるウォーカーやヘンドリクスを欲しがる人が私含め結構いたのではと思う。
クリンガンのタイプ的にシェングンと並べられない以上、シェングンがいる時間のインサイドディフェンスはシェングンとジャバリの頑張り次第であり、そうなるとクリンガンの役割はシェングンがいない時間にリムプロを担うことでしかなくなると言っても過言ではない。

シェングンがやられすぎている時にクリンガンを出すというのも目先の勝利を考えれば有効かもしれない。だが、先ほども述べたように結局シェングンがいる時間のインサイドのディフェンス力を改善しないといけないので、クリンガンを出して目先の改善をとるのではなく、ジャバリにシェングンをカバーさせることや、シェングンが厳しい相手に試行錯誤して守っていく経験がシェングンと長期契約するなら必要になるのではないか。
短い目で見たらシェングンが守れなそうだったらクリンガンの時間を増やすというのも大事だが、長期的で見たらそれが正解とも必ずしも言えないと思う。

となると、クリンガンがロケッツにもたらすものは何なのだろう。シェングンのオフェンス力を考えると基本的にシェングンは長い間試合に出したいし、最低でも平均30分以上は出すと考えるとクリンガンが出る時間はどんなに長くても20分未満となる。その20分未満のリムプロ,シェングンがどうしても守れない時に出るC,接戦の場面でディフェンス強化といったところであろう。
そして、シェングンと長期契約を結んだ場合はルーキー契約中ずっとそのような扱いになってしまう可能性が考えられる。
そう考えるとクリンガンを3位で指名するというのはこれまた幾分もったいないと感じてしまう。

まとめ

クリンガンは素晴らしい選手だとは思うが、ロケッツが指名すべきかといわれると、フィットしてるようで実はフィットしていないように感じ、素直にYesと言えない妙なもやもやがある。
シェパードのnoteを書いたときに相思相愛という表現を使ったが、クリンガンの場合は相思相愛に見えて実は全然そうではないような気がする。
個人的には、もしクリンガンの指名がありえるとしたら、シェパードがすでに指名された場合であり、クリンガンがロケッツにとってベストな選択とは思えない。
なんというかすごくモヤモヤしていて、このままだとダラダラと長く書いてしまうと思うので、この辺でスパっとやめておく。
クリンガンに関しては皆さんの意見も色々と聞いてみたいので、どんどんツイートしてほしい。

それではこの辺で今回はおしまい。次回はザッカリー編。

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