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新月の章 その1
はじめましての方ははじめまして、そうでない方はいつもお世話になっております。
不肖わたくし、「俺の屍を越えてゆけR」の初プレイ一族を長年引きずっている者です。
プレイ当時は自分だけのものとする予定でしたので記録も記憶も不十分、しかしながら一族についての妄想は冷めることなく。
未熟ではありますが、どうにかして彼等の記録を付けてみたいと思い立ち、おぼろげな記憶と数少ないスクリーンショット、そして大量に捏造した概念を元手に回想録を綴っていきたく思います。
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苗字を航之城、初代の名前を朔と申します。特にこれといった由来はない。響き重視です。
揃いの装束の色は黒-縹。寒色系の色が好き。
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こちらが当家の初代当主、朔でございます顔が良いな!!??
「朔」という名に相応しい、何とも涼やかで儚げな顔立ちをしておられる。
素質としては初代ということもあってやはり頼りなさげ。体土のバーだけがびょっと伸びているけれどどうなんだろう。
信条:迅速果断。正直、石橋を叩いて壊すタイプのプレイヤーにはうまく扱えなかった印象があります。そうあれないからせめてそうありたいと願ったのか、あるいは「戦うよりも家族との温かな時間を何より大事にする」と早い段階で決めたのか。
クリア後から振り返っての感覚、戦場よりも縁側でお茶を飲んでいる方が似合う、穏やかな人であった印象が拭えない。
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第一子、魂寄せお蛍さんとのお子であるほたるちゃん。お父さんとポニーテールがお揃いでかわいいね!!
心の風が高い素質バーと「得意:口笛」から、無垢で無邪気なかわいらしい女の子、という印象が強い。いつもにこにこふわふわした笑顔のイメージ。
無理だとわかっていても、このふたりにはあんまり辛い思いをしてほしくはないなあ。なんというかこう、温かくて優しい日常を重ねていってほしい。
枯れた空気が肺を刺す中、限られた薄桃色が野を彩る季節。まだ、日が上ってからそれほど経っていない時刻。荒れ果てた京の片隅を、青年と少女が手を繋いで歩いておりました。
青年の名は「朔」。透き通るような青い髪に病的なほど白い肌、涼やかな目元の中に紅く光る瞳が特徴的な、美しい顔立ちをしておりました。
少女の名は「ほたる」。父である朔よりも幾分か背が低く、健康的な小麦色の肌に、豊かに実る稲穂を思わせる金の髪。何の汚れも知らない青い瞳は、新たな生活への興味に揺れておりました。
やがてふたりは、小さなあばら屋へと辿り着きました。
大通りは鴨川を挟んだ向こう側。人の主だった営みから外れた場所に位置するこの家は、隣家もなく、どうやら打ち捨てられたものであるようでした。少し歩けば、鬱蒼とした森や、何故か彼岸花の咲き続ける丘にも行けるようでした。
「ここだ、って聞いたけど……」
朔がそう呟いたのを見計らったかのように、あばら屋の中から、桃色の着物を着て丸眼鏡をかけた女中さんが顔を出しました。
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天界より遣わされたというお手伝い、イツ花さんとの挨拶もそこそこに。長旅を終えたふたりは、ようやっと新たな住まいへと腰を落ち着けるのでした。
中に入ってみれば外観ほど荒れた様子はなく、事前にイツ花さんが整えていてくれたであろうことが伺えます。あばら屋を間に合わせで取り繕ったが為にところどころ隙間風が入り込みはしますが、少なくとも、突然崩れ落ちて暮らしに困るようなことにはならなさそうです。
「さて、何から始めようか……」
緊張した面持ちの朔がそう切り出すか否かのところで、ふたり分の腹の虫がぐぎゅるるるぅ、と声を漏らしました。その様子を見ていたイツ花さんが笑いながらポンと手を打ち、
「まずは腹ごしらえから、ですネ!」
と、元気よく厨房へと駆けて行くのでした。
「おふたりのご到着を祝して、そして新しい始まりの記念に。今日はご馳走ですよ!」
満面の笑みでイツ花さんが用意してくれた食事は、質素ながらも温かなものでした。炊き立てのつやつやとした白米を可愛らしい三角に整えられたおにぎりは塩加減も程よく、長旅の疲れに染み入ります。細く切られた油揚げを浮かべたお味噌汁は、昆布の出汁が味に深みを添えており、春先の寒さが残る空気に冷えた体を芯から温めてくれます。大根おろしの添えられた鯵の塩焼きはふっくらと香ばしく、脂の乗ったものをわざわざ用意してくれたようです。みずみずしい胡瓜のお漬物は歯ごたえがあり、噛んでいる顎まで楽しくさせるものでした。おいしいね、おいしいねと無邪気に繰り返すほたるちゃんの姿をきっかけにして、家の中を和やかな空気が包み込みます。
とはいえ、「ご馳走」と称して出された品目はこれだけ。イツ花さんの話では、普段は粟や稗で飢えをしのぐことも珍しくはないとのことでした。話に聞いていたよりも過酷な京の惨状に、ふたりとも、不安を隠せずにいます。
「いつまでも、こうしてはいられないね。……一刻も早く、武勲を挙げなければ」
そう呟いた朔の両手は固く握られ、微かに震えておりました。
熱い風呂で汚れと疲れを洗い流し、身を寄せ合って夜を明かし。父娘の戦支度が整ったのは、数日後のことでした。
「初めての出陣に際し、僭越ながら、イツ花より申し上げたいことがございます」
朝もやの中、居住まいを正したイツ花さんがまっすぐにふたりを見つめました。これまでの明るい様子とは違う真剣な眼差しを受け、張り詰めた緊張感が場を支配します。
しかし、イツ花さんの発した言葉は、朔の予想していたものとは少し違った内容でした。
「おふたりは”勇者の血を継ぐ子”としてこちらにおいでになった、と昼子様や夕子様よりお伺いしております。ですが、イツ花にはどうしてもそれだけが全てとは思えません」
「つまり、俺たちには他にも為すべきことがあると?」
「いいえ。むしろ、逆でしょうか。その、あまり気負ってほしくはないナァ、と思いまして……」
天界から鬼を討つという使命を与えられ、その為に全てを賭さなければと気を張っていた朔にとって、気負ってほしくはないというイツ花さんの発言は少々信じがたいものでした。
「確かに、朱点童子を倒さなければ二つの呪いが解かれることもありません。鬼の脅威が完全に取り除かれなければ、復興もままならないでしょう。けど、だからといって、おふたりだけが頑張らなければならないというのも、イツ花は違うと思うンですよ」
イツ花さんの言葉に、父娘揃って首を傾げます。てっきり、京の民は自分たちを救い主として求めているのだとばかり思っていましたから。
「京の人々ってね、意外にたくましいンです。こんな荒れ放題の町でも、どうにか生きようとしている。……生きることに貪欲になるあまり、物盗りになってしまうというのもままあるンですが、イツ花が言いたいのはそういうことじゃなくってェ……。もっとこう、美味しいものを食べて、熱いお風呂で汗を流して、眠れるときにゆっくり眠って……。難しいことだとは承知しているんですけど、でもね、おふたりのことを見ていたら、その……。朱点を倒すことも大事なンですけどね、それよりも、日々の暖かな記憶を少しでも多く積み重ねてほしいと、思ってしまって……。それが、生きるってことなんじゃないかって……」
これまでハキハキと喋っていたイツ花さんが珍しく口ごもるのは、穏やかな日常を送るだけの人生が、ふたりには、ひいてはこの一族には用意されていないにもかかわらず、そんな無理を望んでしまう後ろめたさからでしょうか。
「とにかく、おふたりが無事でお戻りになられること。それがイツ花の切なる願いです」
「生きて、くださいませ。朔様、ほたる様」
書き始めてみました。プレイ記とは名ばかりの回想録です。
ひとりひとりについて語るという形式も試してはみましたが、やはりどうしても流れや周辺人物を含めないと不十分になる気がしましたので、一から十まで数珠繋ぎにしてみようかなと、ひとまず挑戦してみたく思います。
特に序盤はスクショの少なさを誤魔化すために、このように日常の風景を捏造することが主となりますのでご了承いただければ幸いです。後半になるにつれてスクショが十分になったらプレイ記形式っぽくなるかも。
文体もコロコロ変わってしまうかもしれません。今回はですます口調の三人称風味だけれど後々崩れたりとか部分的に一人称になったりとかもありえます。読みにくくなるだろうなーと申し訳なく思っております。あと後半になるにつれて自我も出てくる。
あと、物語調にもかかわらず一族のことを容赦なく愛称で呼びます。お許しください。
しかし航之城のイツ花さん、甘すぎましたかね。多分、プレイヤーの「このふたりは戦向きじゃないよ……」という感情が反映されてしまったものかと。
最序盤の航之城は、あんまり血生臭くないゆるゆるほのぼの家族でした。和やかで、慎ましやかで、隙間風吹き込む家の中で身を寄せ合うような、そんなイメージがあります。