【舞台脚本小説】 Draw The Curtain (1)
この作品は2010年に公演した舞台脚本を小説にしたものです。
この【Draw The Curtain】は1時間45分の会話劇でした。
その為、膨大なセリフ量を小説にしているせいか、とても長い作品になる予定です。
ゆっくりではありますが、小説へと変換させていきますので
気長に読んでいただけると嬉しいです。
もし舞台関係者様がこの作品を読まれて、
気に入った!そして舞台で公演したい!と思った方は是非、お気軽にお問い合わせください。
※この小説にした【Draw The Curtain】は多くの方に見てもらいたいので無料で公開しますが、
舞台で公演する場合は営利目的になりますので、有料でのお貸し出しになります。
予めご了承の上、お問い合わせください。
それでは【Draw The Curtain】とはどう言う話なのか
本編をお楽しみください。
※掲載させていただいている写真はイメージです
※このお話は続きものです。
プロローグや話や続きはマガジンにまとめております。
是非ご覧ください。
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土井はうんざりしていた。
それもそのはず、数日前に受けた解体依頼が全ての始まりだった。解体場所は、普段仕事を受けている場所から遠く離れた、山の奥深く。
そして解体するのは、そこにひっそりと佇む廃墟と化した山小屋「風車」だった。は宿泊施設として使われていたというその小屋は、今では誰も近寄らない廃墟と化しており、その場所を解体する依頼が来たのだ。
その場所に、土井が辟易する理由はただひとつではない。まず、解体の集合時間が朝の6時だというのが気に食わなかった。せめてもう少し人間らしい時間にしてほしいところだが、依頼主の都合もあって仕方がないが…。
そして場所、車で約3時間ほど。
地元の業者に頼めばいいのにと思うほどの場所の解体をわざわざ依頼してくることも何か引っかかる。
この「風車」と名付けられた山小屋は、今にも崩れ落ちそうなその外観が、誰が見ても不気味だと感じる。
薄暗い森の中に佇むこの建物は、まるで誰かに覗かれているかのような不安感を抱かせ、俺の頭の中に、嫌な想像をさせる。
この依頼全体に辟易しているが、それ以上に今、苛立たせているのは、一緒に連れてきたこの男、谷山だ。
谷山──土井の会社で一緒に働いている従業員。この男は、ことあるごとに無神経でデリカシーがない発言をする、自己中心的な思考の持ち主。何度注意してもヘラヘラして、忠告を聞こうともしない。
それだけならまだいい。
こいつはどこか、俺をを軽んじている節がある。
現に今、谷山は怖い話をしながら山小屋の中を物色している。何故か…。
集合時間より少し早く現地に到着し、まだ依頼主も来ていないと言うこともあり、山小屋の中でも見てみるかと足を踏み入れた時に、妙な静けさに思わず「不気味だな」と呟いてしまったからだ。
その一言でテンションが上がったのか、谷山は急に怖い話をし出し、そしてそれ以来、自ら率先して山小屋の中を物色し出している。
おそらく…いや、確実にこいつは俺を怖がらせるために今、怖い話をしているに違いない。
この無神経男は、おそらく最後の部屋の扉に手をかけ入って行った。
そう…怖い話をしながら。
なので今、全てにおいて土井はうんざりしていた。
つづく