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【ホツマの論点】 宮崎駿は豊受神を知っていた? <133号 令和6年6月>

 芸術音楽そして文学の達人は感性が鋭い方ばかりですが、アニメのクリエイター達も飛び抜けた感受性を発揮される方が多くいらっしゃいます。また、研究熱心で、ホツマツタヱも含めて古史古伝への関心も高いようです。

 さて、この度、小誌の「検証旅」企画として、越後の駒形一登先生の道案内で、ミチノクは鳥海山方面へ研修旅行へ出かけてきました。トヨウケ神の故地を巡ろうという企画で、各地を巡りました。

 湧き水で蒼く澄んだ「丸池さま」へは、是非行きたいと希望していました。映画『もののけ姫』で、シシ神さまの棲まう泉のモデルとされているあたりも興味をそそります。初日に訪問する予定でしたが、鳥海山神社の正式参拝に時間がとられ、二日目の朝一番に森へ入りました。直径二〇メートル水深3.5㍍ほどの小さな池ですが、湧き水のある底地は白く、溢れ出る水はエメラルドグリーンで、苔むす浮島なども映画のシーンそのままです。

 湧き水観光スポットかと思っていましたが、鳥海山神社の境外摂社であることも前日知りました。摂社を参拝していると、旅の仲間が、普通では気がつかない斜面の上方に小さなお社を発見し、それが磐座を祀るものであることを知り、その場所からは、例の「苔むす浮島」がちょうど見下ろせました。

 本号掲載のツアーレポートに触れましたが、駒形氏は、「此処こそ世嗣社」と発見に大喜びでした。『もののけ姫』においては、この泉の地は、「生殺与奪」の地であり、シシ神さまが「だいだらぼっち」に変化する「生まれ変わり」の秘所でもあります。そこで、ふと考えると、此処は、湧水地なのに何故「池」なのでしょう。あるいは、本当は「活け/逝け」なのかも知れません。あるいは、「まるいけさま」(必ず敬称「さま」付きで呼称される)は、「生まるる池さま」なのでしょうか。

 トヨウケ神が八千禊ぎで世嗣子の受胎を祈願した頃は、鳥海山の大噴火による山容崩壊以前です。富士山の様に独立型の美しいコニーデ型火山だった「トリミヤマ(鳥海山の旧名)」で瑞兆を得て湧き出る水に「湧き出る命」を祈った豊受神。その神は、不比等以降の奈良京都の政権が、「歴史から抹殺しよう」とした神です。シシ神をこの地で抹殺しようとした映画の筋書きには、深い味わいを感じます。

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 トヨケ大神の祈りの聖地「鳥海山」を旅しました。昨年の春のことで、この暮れにに逝去された駒形一登先生とともに旅路を楽しみました。駒形さんが、是非ともと希望された目的地でした。
 「丸池さま」は、マイナーな観光地であり、雨ふるなか、少々歩くことが必要でしたが、早朝たずねたその場所にはたくさんの発見がありました。トヨケ神が「八千みそぎ」を修して男性嗣ぎ子の誕生を天に祈ったその場所は、どこにあるのかと、いくつかの候補をあげて調査していました。現地をたずねて、その幽玄な佇まいに深い感動を覚えたあのひとときが昨日の夢のようです。
 もののけ姫で、シシ神が棲む杜の泉は、いのちを甦らせることも、瞬殺することも出来る霊力を持っていました。元気だった駒形先生が命を失い、わたしはといえば創業以来30余年続けてきた事業をつぶされ、裸同然で新天地に転居することになりました。わたしは「生きろ」と告げられた気がしています。

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この場所↑ より「丸池さま」の方がよっぽどあのシーンに近い


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