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ヴィジュアル系インサイドセールスが書く「ホッとする」ノート:メジャーデビューという夢

このnoteは、2021年3月19日に配信した「ホットリンクのメルマガ」のバックナンバーです。メルマガ講読フォームはこちらhttps://service.hottolink.co.jp/mailmag/


こんにちは。ホットリンクのヴィジュアル系インサイドセールス、つつみです。



少し久しぶりですね。今回も私のバンドマン時代のエピソードを綴ります。



バンドマンとして、1つの大きな夢である「メジャーデビュー」



これは、デビューに至るまでに泥臭くもがいた、夢見る若者たちのお話・・・。




2012年、私は渋谷のスクランブル交差点で、立ち尽くした。



見上げると、今、旬のアーティストの街頭広告が大々的に並んでいた。



その中に、彼の顔があった。




ーーーー話題のヴィジュアル系バンド、メジャーデビュー決定ーーーー




彼は10代の頃から知っているベーシストで、お互いが20歳の頃に私と一緒にバンドを組んでいました。



そのバンドは解散してしまいましたが、後にメジャーデビューする事になるメンバーが複数在籍していました。



解散理由は、ボーカルとドラムの解雇でした。



ボーカルは性格的な問題でぶつかってしまい、ドラムはとても良い人だったが演奏スキルが低かった。



私(ギター)、もう一人のギター、そしてベースの3人は新しいメンバーを入れて、新バンドを作ろうとしていました。



しかし、私たちは事務所に所属していた為、自分たちの意思だけで解散という訳にはいかず、詳しくはここでは省きますが、事態を収束させるのに大きく苦労しました。



私はメンバーの代表として最前線に立ち、関係者たちとの交渉を続けました。



全てはこのバンドの未来の為に。そして誰よりも成功する為に・・!!



数か月に渡る交渉の末、事態は収束し、その間に新しいボーカル、ドラムも決定し、ついに理想のメンバーで新バンドをスタートさせる事になりました。



私は度重なる交渉に疲弊していたものの、未来に希望を抱いていました。



しかし、その後に全く予想していなかった展開が待っていたのです。



「MIHIRO君とはやらない。他のギターを探す」
ベースの彼から、そう告げられました。

(※MIHIROとはバンドマン時代の私の名前)



何が起こっているのか、理解ができなかった。



告げられた時、私は人生で初めて、あまりにも混乱した時に手の震えが本当に止まらなくなる経験をしました。



このバンドの為に数か月、必死の交渉を続けてきた。



疲弊する中、新バンドの為の曲を作り、構想を練り、このメンバーでメジャーデビューすると決めていた。



それなのに、そのバンドには僕がいない・・・?



私は、理由の説明を求め、震えが止まらないまま話を聞きました。



まず、新しいボーカルがリーダーとしてバンドを牽引したいという事。
その為に、主張が強い私のようなギタリストは外したいとの事でした。



確かに当時の私は、バンドの運営にも音楽的な方向性にも拘りが強く、作詞作曲を多く手掛け、自分のパート以外の楽器のアレンジに関しても、メンバーにかなり細かく口を出していました。



私が気が付いていなかっただけで、メンバーは不満があったのだと思います。



私ではなく、新しいボーカルに付いていきたいという事でした。



それは私が反省すべき点であり、選択するのは彼らの自由であり、仕方がない事だと思いました。



しかし一つ、私は確認するのが怖い事がありました。



それがいつから決まっていたのかという事。



急に決まる話ではないはずです。私が数か月、交渉を続けていた間に裏で何が起こっていたのか・・?



ベースの彼はこう言いました。



「最初から決まってたよ。ただ、MIHIRO君が前面に立てば事が収まると思ってた。その通りになったね」



私は、交渉を収束させる為に利用されていた事を、この時初めて知りました。



怒りも感じましたが、それ以上に、信頼する仲間だと思っていたのは自分だけだったという事実が、ただただ悲しく、何も気が付いていなかった自分が情けなかった。



メンバーの未来の為に行動していたつもりが、結局自分の理想を一方的に押し付けているだけで、人の気持ちを理解できていませんでした。



しかし、自分が抜けた後の彼らのバンドが上手くいくとも思えなかった。



そんなやり方をして、成功するはずがないと。



実際、その後の彼らはインディーズシーンで一定の人気は獲得したが、突き抜けて売れる事はなく解散しました。



その知らせを聞いた時、私は複雑な想いでした。



あの時、すれ違う事なく同じ道を進んでいたら、僕たちは一緒に成功できたのかもしれない。



そんな事を想ったが、私も既に他の活動をしていたし、もう元の関係に戻る事はできませんでした。



しかしその後、ベースの彼が突き抜ける事になった。



当時インディーズシーンをとてつもない勢いで駆け上がっていた人気バンドに加入し、そのままメジャーデビューしたのです。



その事を知った時、私はかつての仲間の成功が嬉しい反面、とても寂しい気持ちになりました。



彼と共にメジャーデビューする未来を、強く思い描いていた事があったからです。



私は長い間、心のどこかで、その後の彼の活躍を認める事ができませんでした。



しかし今では、彼は多くの学びを私に与えてくれたと思っています。



彼は、ある意味で冷静な判断能力を持っており、自分の戦い方、身の振り方を徹底していたのだと思います。



夢を掴む為の選択をする中で、私と同じ道を選ばなかっただけなのです。



その手段に当時は憤りも感じましたが、私にも非があり、どちらが正しいという答えはないのかもしれません。



結果的には、私よりも彼の方がバンドマンとして成功した。



悔しいけれど、それが事実です。




ビジネスの世界においても、同じような事があるのではないでしょうか?



お客様の為に、同僚の為に、会社の為に、必死で頑張っていた事が実はただの独りよがりになってしまった事。



人の気持ちを理解しない、結果的には自分のエゴを優先した行動ばかりになっていた事。



自分が認めたくない人が、大きな成果を上げ称賛されている事。



あの頃の私は、もっとメンバーとコミュニケーションを取り、自分の理想ばかり押し付けない形で活動していたら、彼らは一緒にいてくれたのかもしれない。



最初は、同じ志だったはずなのだから。



そしてメンバーのアイデアをもっと柔軟に取り入れ、欠点を補い合う関係性を作れていたら、私自身も、もっと大きな成功を掴む事ができたのかもしれません。




そしてこの話にはまだ続きがあります。



冒頭で、後にメジャーデビューするメンバーが複数在籍したと書きましたが、このバンドを解雇になったドラムも、成功を掴みました。



当時は演奏スキルが1番低かったのですが、結果的に、私たちの中で1番成功したのはドラムの彼だったのです。



彼はその後、新しいバンドを結成しイチから地道な活動を続け、着実な人気を獲得しメジャーデビューをし、オリコンチャートトップ10に入るほどの人気を獲得しました。



思えば当時から、練習は真面目にしていたし、何よりも協調性とユーモアのある素敵な人柄を持っていました。



ファンからも関係者からも、とても愛されていたのだと思います。



彼は数年前にバンド活動を引退してしまいましたが、集大成となるラストライブに私を招待してくれました。



昔と変わらず気さくに接してくれ、彼の中で私は、一緒に夢を目指した仲間だった頃と関係性が何も変わっていない事が分かりました。



それが私はとても嬉しかったし、そんな彼の人間性にはリスペクトしかありません。



ある時点で、スキルがただ高い人が成功する訳ではないのです。



もちろんドラムの彼はとても上手くなっていましたが、そうではなかった頃を知っているからこそ、彼のストーリーに共感し、感動し、大きなリスペクトを感じました。



ファンの方達もきっと同じ気持ちを持っていて、だからこそ多くの人に支持されているのだと思いました。



これも、ビジネスの世界でも通ずる事だと思っています。



スキル不足から周りのメンバーに迷惑をかけてしまった事や、逆に他のメンバーがミスをして自分がフォローをした事、多くの人が経験があると思います。



私もそうですが、その時にネガティブな感情が生まれてしまう事もあります。



しかし、そんな時代を知っている人だからこそ、後に特別な関係になれるのかもしれません。



お互いがストーリーを知っているからこそ、代え難い共感が生まれるのだと思います。



未来でもストーリーを共有できるような人を、仕事を通じて増やしていく事。



その為にも、自分のエゴだけを優先する行動になっていないのか、意識して改善する事。



誠実に周りの人たちと接する事。



そんな気持ちを忘れてしまいそうな時、彼らとのストーリーを今でも思い出します。




そして、最後にもう一つ。



彼らは最初から人気がある、凄い人だった訳ではないのです。



まだ何者でもない、お金もない、楽器もヘタクソな頃に、夢だけは大きく持って、ガラガラのライブハウスで一緒に演奏していました。



僕たちは途中ですれ違い、別の道を進む事になってしまったけれど、それぞれがたくさんの夢を叶える事ができました。



その事は今でも、私に前向きに進んでいく勇気を与えてくれています。



生涯忘れる事のないストーリーを共有してくれた彼らに、とても感謝しています。




それでは、最後まで読んでいただき有難うございました!



花粉症の方は(私も)辛い季節ですが、お互い頑張りましょう!



このnoteは、2021年3月19日に配信した「ホットリンクのメルマガ」のバックナンバーです。メルマガ講読フォームはこちらhttps://service.hottolink.co.jp/mailmag/


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