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ヴィジュアル系インサイドセールスが書く「ホッとする」ノート:ガリ勉男子高校生、化粧に目覚める

このnoteは、2019年11月26日に配信した「ホットリンクのメルマガ」のバックナンバーです。メルマガ講読フォームはこちらhttps://service.hottolink.co.jp/mailmag/

こんにちは。ホットリンクのヴィジュアル系インサイドセールス、堤です。



今回は私の原点、「何故ヴィジュアル系バンドマンになったのか?」を書こうと思います。



このテーマは、書くべきか悩みました。何故なら間違いなく、私にとって一番、過去の扉を開けるのが怖いテーマだからです。



みなさんも、忘れてしまいたい過去、トラウマ、きっと生きてきた中であるのではないでしょうか。
これは、当時16歳の私に起こった、ある事件のお話・・・




私は中学生の頃、勉強に取り組むのが好きでした。
知らない知識を発見する事が楽しく、この先も勉強し続けたい気持ちで、高校は地元の進学校へ入学しました。



音楽も好きだったので、バンドをやってみたい!友達もたくさん作りたい!恋愛もしてみたい!
新しい生活は希望に満ち溢れていました。



しかし、入学した高校で私はどこか浮いていました。
中性的なファッションに憧れていた私は髪を伸ばし、眉毛を整え、ピアスを開けていました。



それが悪目立ちしてしまったのか、周りからは敬遠され、次第に嫌がらせを受けるようになっていきました。



上履きがない。教科書がぐちゃぐちゃになっている。授業で男子のグループを作る時はハブられる・・。
初めは些細な事でしたが、嫌がらせはエスカレートしていきました。



今思えば、ここで止められなかった私にも原因はあると思います。
しかし私はそれまで、親に愛され、友達に恵まれて生きてきた為、複数から自分が攻撃される状況に耐性がなく、
どう対処すれば良いのか分かりませんでした。



毎日毎日、更に嫌がらせはエスカレートし、そこに暴力も加わりました。私は学校に行くのが嫌になっていきました。
それに比例して勉強もやる気がなくなり、成績はどんどん落ちていきました。
進学校でしたので、成績が悪いと怒られます。それでますます学校が嫌になるという悪循環に陥りました。



そんな日々が数ヶ月続き、うんざりしていた時に、事件が起こりました。



登校すると、教室内の雰囲気がどこか変でした。
ニヤニヤしている男子生徒・・・軽蔑し呆れているような女子生徒・・・



原因はすぐに分かりました。
私の机の上に、高校生が持っていてはいけない物、女子生徒が軽蔑するような卑猥な物が置かれていました。



担任教師もそこにいました。
「事情を聞きたい」と私は生徒指導室へ連れていかれました。



もちろん、私は説明をしました。
自分が持ってきた物ではない事。そして毎日嫌がらせを受けている事・・・。
数ヶ月も見ていて、担任教師もそれは分かっていたはずです。



しかし、耳を疑う言葉が返ってきました。



「おまえはこんなのを持って色気づいてるから髪を伸ばしてんのか?
眉毛を整えるのに夢中だから、成績が悪いのか?」



・・・・えっ・・??



私は驚き、論点がずれている事を主張しました。
すると次の瞬間、私の頭の中は、衝撃と共に真っ白になりました。



バーーーーーーン!!!!



一瞬、何が起こったのか分かりませんでした。
私は担任教師に、机の上にあった例の「物」で殴られていました。



・・・・えっ・・・なん・・で・・・?



バーーーーーーン!!!!



もう一度私は殴られました。



担任教師は、虫けらを見るような目つきで、私にこう言いました。
「これ、自分で処理しとけよ。女みたいな見た目も直せ。馬鹿が。」



私は驚きとショックで、心が錯乱し何も言えませんでした。



教室に戻ると、ニタニタしている嫌がらせグループがいました。
私は錯乱したまま、乱闘になりました。その揉み合いの中で、教室のドアを破損させてしまいました。



この事件が学校で大問題になりました。



そして、ドアを直接破損させたのは私だという事で、私は停学になりました。私「だけが」停学になりました。
嫌がらせグループのリーダー格が役員の息子だとか、そんな背景がありました。



親と共に学校に呼ばれ、教師からはこんな話をされました。
「伝統のある学校で、停学者など今まで出た事がない。出してしまった事がクラスとして、学年として、学校として恥ずかしい」



絶対に謝らない私に代わって、親が謝罪をしました。
今では、それが私を守りたい気持ちで行った行為である事を理解しています。



しかし当時の私には理解できなかった。



何故こちらが謝らなければいけないのか?親も、悪いのは私だと認めるのか・・・?
この時から、私は親に対しても疑心暗鬼になってしまいました。



停学が解けてからも、私は学校に行きませんでした。
どうしても納得ができなかったし、何よりもう、毎日嫌がらせを受ける事に耐えられなかった。



家では毎日、親に怒鳴られ続けました。



「何故学校に行かないのか!?」


「どうして勉強しないのか!?」


「みんなはもっと頑張っている!!」


「もっと強くならないと生きていけない!!」



分かってる・・・分かってる・・・だけど・・・・!!!!
どうしても私は前を向けなかった。



中学生の頃は、勉強を頑張って良い成績を取れば親が褒めてくれる、先生が褒めてくれる、みんなが認めてくれるのが好きだった。
今思えば、その為に勉強をしていたのかもしれません。



しかし成績が悪くなったら誰も認めてくれず、悪者にされ、毎日責められ続ける。私は何の為に勉強を頑張っていたのか分からなくなりました。
親も、初めて息子が上手くいかなくなって、どうしたら良いか分からず冷静ではなかったと思います。



次第に私は眠る事ができなくなりました。目を閉じると、瞼の裏にあの時の生徒指導室の光景が浮かんでしまうのです。



幾夜も幾夜も、眠れない、永遠にも感じるような長い苦痛の夜に、悩み続けた。考え続けた。
どうしても、どうしても答えが見つからなかった。悪いのは僕なのか?これが現実なのか?
それならば、こんな現実で生きる意味はなんなのか?何を信じればいいのか?誰を信じればいいのか?



何も信じられない・・・誰も信じられない・・・



次第に精神状態がおかしくなっていき、私は衰弱していきました。
それでもまだ、親には毎日怒鳴られ続けました。



繰り返される眠れない夜・・・
身体が熱くなり嫌な汗をかき続け、頭を支配する出口のない悩み・・・



ある時から、1つの答えが頭をよぎるようになりました。



僕が消えればいい・・・僕がいなくなれば・・・
僕さえ死ねば、それでいい・・・



それから毎日、死ぬ方法を考え続けた。
だけど、どうしてもあと一歩、本当に死ぬ勇気を持つ事ができなかった。
生きる事に向き合えず、死ぬ事もできない。そんな自分が大嫌いだった。



全て忘れて、笑って生きていきたい。
何度もそう思った。だけど、私の中で決定的に何かが変わってしまった。
もう、元の自分には戻れなかった。



そんな日々の中で、私の唯一の救いが音楽でした。
特に、XJAPAN、DIRENGREY、PIERROTといった「心の痛み」を表現するバンドに強く惹かれました。
それまでは何気なく聞いていた音楽が、自分の心と溶け合う感覚がしました。



幾夜も幾夜も、眠れない中独り、泣きながら音楽を聴き続けた。



曲と歌詞に込められている絶望、苦しみ。
それが自分の体験とリンクした時、言い表すこともできない感動がそこにありました。



そして、心の傷や本当の弱い自分を、化粧というヴィジュアルのインパクトで塗り替える。
その表現方法は、私にとって衝撃的だった。圧倒的にカッコ良かった。
誰にも言えない、やり場のない私の気持ちを代弁し、戦ってくれているかのようだった。



そう、当時の私の命を繋いでくれたヒーロー達はみんな「ヴィジュアル系」だったのです。



私は音楽から力を受け取り続け、次第に鬱病を克服していきました。
そして急激に、抑えられない感情が芽生えました。



僕も憧れのヒーロー達のようになりたい。人に希望を与えるミュージシャンになりたい・・・!



私はこの時に、人生を賭けて音楽をやる決意をしました。
それでもダメだったら、その時死のう。本気でそう思いました。



こんな事を言うと「そんな大げさな!」と思うかもしれません。
実際、私は今生きています。



しかし、バンドの世界には少なからず、そのような気持ちで音楽をやっている人がいます。
ほとんどは私のように、どこかで生きる意味を見出していきますが、中には本当に命を絶ってしまった方もいる。
私の先輩や、元バンドメンバーも1人、この世を去ってしまいました。



私はバンド活動と一人暮らしをする資金を作る為にアルバイトを始め、ギターを買い、毎日必死で練習しました。
ライブハウスに出入りするようになり、そこで友達ができるようになりました。
学校でも家でも上手くいっていなかった私は、ライブハウスが自分の居場所でした。



学校には行くようになり、嫌がらせを受ける事もなくなりました。
しかし、私と口を利く人は誰もいませんでした。



透明な私。



だけどそれで良かった。誰とも話したくもなかった。



進路を決める時期になりましたが、私は進学しないと決めていました。
音楽の道に進む事は、親には大反対されました。



「プロになんてなれる訳がない」



生まれて初めて、自分の意思で強く決めた事を否定されて悲しかった。
特に、大好きな母親に理解してもらえなかった事が悲しかった。
ずっと私を自慢の息子だと褒めてくれていたのは、
優等生の私が好きなだけで、思い通りにならない私は受け入れてくれないのだと感じてしまった。



学校でも、教師達からは度々説得されました。



「いつか音楽以外にもやりたい事が見つかるよ」
「きっと大学にいけばまた、学校も好きになるかもしれないよ」



そんな事を言われる度に虫唾が走りました。



「いつか」「きっと」なんて言葉は大嫌いで、「今」「確かな」生きる意味が欲しかった。



卒業式の日。華やかな雰囲気と、我が子の晴れ姿を見に集まった父兄達。



「ずっと友達だからね」
別れを惜しみ涙する卒業生達。



「生徒達は我々の誇りです」
誇らしげな教師達。



・・・・・・・・・・・・・・・・・

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私は式には参加しましたが、その後の卒業パーティーには出席しませんでした。
1人帰り道、ふと、校門の前に書かれている校訓が目に入りました。



「真心を育む」「心身ともに健やかに」「協力し合って成長していく和の精神」



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・・・・・・・・・・・・・・・・・

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・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・くそ食らえなんだよ・・・・



現実は嘘だらけ。都合の悪い事は見て見ぬフリ。集団リンチで生きてる実感。
それが、おまえらだ・・。



こんな現実に飼われるのが嫌なら、自分で切り拓くしかない。誰も信じられないなら、自分を信じるしかない。
そうだろ?先生・・・



こうして私は人生全てを音楽に注ぎ込み、実際にプロとして活動するようになっていきました。
13年間、ミュージシャンとして生きる中で、心が折れそうになる瞬間は何度もありました。
しかし、本当に折れた事は一度たりともありませんでした。



何故なら、高校生の時のネガティブな感情がいつも原動力になっていたからです。
辛い時、諦めそうになった時、逃げ出したくなった時、必ずトラウマのように高校生の頃の記憶がフラッシュバックしました。



あの時の生徒指導室、虫けらを見るような目で私を見下す担任教師、殴られ頭が真っ白になった時の感覚・・・
そしてその後、誰とも話さず過ごした高校生活・・。



本当は寂しかった。誰かに理解してほしかった。誰かに認められたかった。



バンドマンになり、本当の弱い自分と心の傷を、派手なメイクと衣装で塗り替えてステージに立ち続けた。
ファンの方達が私の名前を叫ぶ声、私が作る音楽に救われたという声を聞いた時、私は生きている実感を持つ事ができた。



だから、どんなに辛い時も、自分を奮い立たせる事ができた。
そしてその経験が、今は自分の大きな糧となっています。



今回、お伝えしたかったのは「ネガティブな感情も力に変えられる」という事。
トラウマや、コンプレックスも、使い方を変えれば大きな武器になり得ると思います。



もちろん今は人を信じているし、ポジティブな感情が自分の原動力となっています。
しかし今でも、あの時の反骨心を思い出す時があるし、使う時がある。



それは仕事で、新しい挑戦をする時。自分では無理なんじゃないかと思う場所へ、飛び込む時。



恐れる事はない。やってやれない事はない。やらずにできる訳がない。
自分を信じて進めばいい。あの時から、ずっとそう思って生きてきたのだから。



そして進んだ道には必ず、素晴らしい出会い、学び、生きてる実感があった。
だから私はまだ先に進みたい。ずっと挑戦し続けたい。




_12月5日、私は虎ノ門へ行く_



ビジネスマンに転向し数年間、私は自分の能力不足に悩み続けた。



この世界でも、私を見下す人間には何人も出会った。



誰かに教えてもらえる環境ではなかったので、どうにかして自分を変えたいと、セミナーや勉強会に何度も何度も足を運んだ。



虎ノ門ヒルズフォーラムで開催される、インサイドセールスやSaaSのイベントには何度も参加した。
そこで登壇する、業界の最前線を走る人達。



「ビジネスの世界にもこんな凄い人達がいるのか・・・こんな方達と肩を並べる事ができたら、どれだけ刺激的なんだろう・・・」



そんな想いで、私は客席からステージを眺めていた。



12月5日、虎ノ門ヒルズフォーラム 「Inside Sales Conference 2019 winter」



そのステージに私は立つ。



ビジネスマンになってから、私が憧れた人達と共に、憧れたステージに私は立つ。



そこに、私の生き様を刻む。



・・・・このまま終わると思うなよ・・・・下克上はこれからだ・・・・


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