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『氷の城壁』第3巻購入・紹介・感想

トップ画像は、抜海漁港の風景(2019年8月)です。写真の真ん中あたり、雲のうえに▲になっているのは利尻山頂になります。第3巻の表紙が「湊(ミナト)」となっていることから、港の画像を採用しました。

紹介・感想とタイトルをつけていますので、もちろんネタバレです(しかも第3巻に限らないかもしれません)。

読む前に自分なりの感想を持ちたい方は、第3巻を読み終えてからこの記事をお読みいただきますよう、ご注意ください(^^)

今回の第3巻は第25話から第33話までになります。第2巻の終りのほうの話では、ミナトがこゆんとの交流がいままでのようにうまくいかないことに、非常な違和感(小さな怒りと言ってもよいかもしれない)を感じていた一方、こゆんがヨータから、ミナトが悪い奴ではないこと、以前からミナトもこゆんのことを知っていたことを聞かされ、こゆん自身でミナト本人に直接謝るための直接行動を起こしたところから続きます。

この漫画のタイトル『氷の城壁』は、主人公の「氷川小雪(こゆん)=親の離婚の関係で中学までは、結城小雪<ゆいしろこゆき>=」が、高校では氷を超えた塩対応をするなど、中学までにいろいろあったことから人と関わらないように生きていこうと壁を作っていたのが、いろんなきっかけにより、氷が融けるようにすこしづつ心・行動を開いていくということを基本的に示したタイトルと受け止められています。加えて、ミナトが無意識のうちに作っていた壁がヒビを少しずつ入れながら、最終的には一気に壊れていく、というのも含んでいるものと私は思っています。
ということで、ミナトはサブの主人公とも言えまして、両者ともに壁が変化していくのは主に第2巻後半からで、行動としては第3巻からとなります。

作者さまが帯をつけた状態の書影をツイッター(X)に下記あげてますので、書店ではこの書影にご注目ください。

こんな帯になっていますが、「要は脳(アタマ)でしょ」がすこしづつそうではないことに気づき始めてきていることが描かれている、というのが第3巻の主に前中半部分です。
この表紙に関してのわたしの感想は以下のとおりです。

世の女性方、思わず手にとって購入したくなるほどでしょうか?
感想をコメントいただければ幸いです(^^)

それにしても、1巻で13話分、2巻で24話までの11話分出ていたので、場面転換の良さから36話まで3巻はいくのでは、と思っていましたが、33話(9話分)で切って来たのは意外でした。たしかに34話の内容がどうなるのか、ものすごく興味津々になる場面で3巻が終わるというのは、次の話がどうなっていくのかという観点からすればわかるのですが、全117話で1・2巻平均で12話というこれまでの状況を絶対視していたので意表を突かれました。
この場面で区切るなら、第4巻のカバー表紙キャラクターは最重要シーンの1つが含まれるヨータで順当でしょうね。ちなみにコミックシーモアにて、8月4日から第4巻部分の冒頭が先行配信され、試し読みも可能な状態でして、第4巻も1ケタの話数になっています。
各種資材等が値上がりする中、評判・売れ行きが良い話の単行本はたくさん出したいところですし、フルカラーということもあってコストもかさみますので職業人の立場からは許容・理解できる範囲です。
ただ全巻そろえると、1万円をはるかに超えることになるので、読んで・思考をめぐらせてほしい中高生にとって、自分の小遣いから出すのは結構厳しい状況ともいえます(アプリいれて時間かければタテヨミで無料で読み切れますけど・・・)。親御さんが買ってリビングの本棚においてあげてくださいませ。

最後にこの第3巻の大きな感想を4つほど書いて締めたいと思います。

  1. ミナトは「要は脳(アタマ)でしょ」という考え方だったのに、こゆんにはそれ以外の感情を持ちつつようになっていく、というミナトの感情だだもれはじめが前中半かけて少しずつあらわされていくところにキュンキュンします。城壁にヒビがすこしづつ入ってきているといっていいでしょう。

  2. こゆんが、ヨータのはなし(第2巻22-23話)を受けて、ミナトに謝るという行動をとり、ミナトの感情も動かしたうえ、32話でのヨータの状況を受けて、33話でヨータに自分の境遇も話して助けになりたいという行動をとっていくというところです。自分に制限をかけて閉じこもっていたこゆんからすると、非常に大きな行動であり、氷が融けていく場面のひとつと言えます。

  3. たまたま図書係に一緒になった月子との雑談(30話-31話)を通じて、二人が同類の側面をもっていることがわかり、両者で共感をもちはじめていく場面が素晴らしい描写だと思います。こゆんにとっては、幼馴染の美姫以外にはじめてできつつある高校での女友達となっていき、これも氷が融けていく一つの要因だと言えます。

  4. ツボにはまったコマを1つあげれば、30話で月子の顔に怒スジがでているところです。背が低く(こゆんより低いのでおそらく140cm台)、ツインテールで制服のスカートの長さもちゃんとひざ下まであるという非常にまじめで幼く見える外観のせいで、子供として扱われたり、なめられたりするケースもあるのだが、そういう現実は受け入れなくてはいけないことはわかっても「本当はすっっっごく嫌」と内心で独白しているのと絵とが、俯瞰してみる立場からすると正直でツボにはまりました(当事者なポジションの方はそのとおりすっっっごく嫌なのでしょうけど・・・)。

紙の第4巻は9月4日発売です。恋愛小説が苦手な方でも、友情のすばらしさを感じたい方は、ぜひ1~4巻までまとめて読んでいただければと思います。



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