エミーナの朝(3)
親友ナゴン 3
そんな事があってから三日程たち、ナゴンからメールで連絡があった。
『明日は仕事休み。だからエミリンちでお詫びにランチ作らせてね。材料持ってくね』
直ぐに『ありがとう』と返信した。
当日、ナゴンがやって来た。玄関で迎え入れた時はぎこちなかったが、すぐにいつもの調子に戻って一緒に調理した。
やっぱり、ナゴンと居ると楽しいし、気持ちが落ち着く。
料理ができた。「庭で宴会だー!」と二人で笑いながら、ガーデンテーブルへと料理を運んだ。
歩くナゴンを見て、いま気がついた。ナゴンは、エイジング加工のジーンズ上下に白のストラップ·サンダルを履いている。ペディキュアは今日の空のようなターコイズブルーである。かわいい系は嫌いなようである。
ナゴンは女から見てもカッコいい。男からは『いいオンナ』に見られていることだろう。彼女自身も内心そう思っているらしい。
「着替えるね」と言って、わたしはデニム·ワンピースに替えてきた。
ナゴンが踊り出す。わたしもモデル歩きしてナゴンに近づき、一緒に踊り出す。
しばらく料理を放ったらかしにして、笑いながら踊った。
「ははは、料理冷めちゃうよ。」とナゴンが言うので、あわてて席につく。
ワインを開けて「カンパーイ」
ランチの間、買い物、ファッション、芸能界、故郷など、たわいの無い話をした。
ナゴンのお父さんは厳しい人らしい。色々あって故郷を出てナゴン一人で暮らしているらしい。ナゴンは、家族の話をはじめると嫌な顔をして話題を変えた。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、日も傾いてきた。
食器洗いを一緒にしているときに、
「泊まってく?」て言ったら、
ナゴン「ザーンネン、明日、仕事、早出なの」
エミーナ「あらー、ホントにー、残念ねえ」
ナゴンに「送ってくよ」て言ったら、
ナゴン「ダメよ。飲んじゃったから、電車で帰るよ」
エミーナ「そう、ごめんねっ」
ナゴンは、わたしをハグして「またね」と言って帰っていった。
部屋に戻って片付けしていたら、いつもと違う呼び出し音がした。
何とナゴンのスマホを見つけた。
スマホをとって「ナーチンなの?」と聞いた。
スマホの中のナゴンが言った。
「あー、やっぱりエミリンちに置き忘れたのかぁー。よかったー、落としたかと思ったよー」
エミーナ「届けに行くよ。駅でしょ?」
ナゴン「いや、仕事用のスマホは別にあるから、明日の夜に行くよ。そのまま持ってて……」
エミーナ「わかった。じゃねー」
ナゴン「ハーイ……またねー……」
夕食後、ナゴンに今日の感謝の気持ちを伝えるメールをしたら、テーブルの上のスマホが反応した。
あ、そうだったと気がついて、笑いながらナゴンのスマホを手に取った。
今日は、たくさん写真撮ったな。勝手に見るわよ。どれどれとフォトアイコンをタップした。
(エミーナの朝4へつづく)
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