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熱燗をメインにした日本酒バーを開店した理由


海外での経験

まず、私が熱燗に特化した日本酒バーを開店した背後にある理由についてお話します。それは、海外(タイ・バンコク)でバーテンダーとして働いていた経験から始まります。そのお店では日本人やタイ人はもちろん欧米の方も多く来店していました。日本酒に関心を持っている人も多く、「日本に旅行へ行って日本酒をいっぱい飲んできたよ」という方もたくさんいらっしゃいました。お店には日本酒もあり日本酒を飲みたいという方も多かったです。そんなお客様が「この日本酒はどういうものなんだい?」と質問された時にある程度は説明ができたのですが自分の中で納得できるしっかりとした説明はできませんでした。日本人である私が日本のお酒である日本酒に関して知識が薄いなと感じる出来事でした。この経験が私にとってもっと勉強しないといけないと感じる要因になりました。

燗酒との出会い

海外での経験から、日本でもう一度日本酒について学び直そうと考えました。
まずは最初は、冷酒について勉強していきました。利き酒師の資格もとったし、たくさんの種類の日本酒を飲んだし、日本酒の飲食店でも働き始めました。
そんなある日、近所の燗酒に特化した本所吾妻橋駅近くの酒屋さんへ行ったことが、私を日本酒への情熱を深めるきっかけとなりました。
これまで日本酒は開栓したらすぐ飲むもの。醸造してから早めに飲んだ方がいいと思っていました。ですが燗酒は熟成の過程を楽しめるお酒でした。それはワインなど他のお酒の熟成を楽しむ要素と似ていて、日本酒も同じように素晴らしい魅力を秘めていることに感動しました。そして何より風味がとても豊かでした。冷酒だと感じられないお米由来の豊かな味わいを感じることができました。
この出会いが、日本酒の中でも熱燗に特化したお店を出そうと思った要因の一つになります。

「ステーキ×燗酒」

熱燗に特化したお店にしようとなんとなく決めたものの、料理はどうしようとかはまだ明確ではありませんでした。
なんとなく洋食と熱燗かなとは思っていましたが、ウリになりそうなものは決まっていませんでした。
そんなある日、本所吾妻橋駅近くにに15年来の友人がフランス料理店を開店しました。お祝いも兼ねて食べに行った時に僕の運命を決定づけました。
そのお店はアラカルトで提供する本格的なビストロ料理とメイン料理はステーキを出していました。
そのステーキは特徴があり、外側をこんがりと焼き上げ、肉の本来の旨みを楽しめるようにソースは添えずに塩だけで頂くスタイルでした。
このステーキを食べた時に、「これは熱燗と絶対あう!」と感じたのです。
ステーキの脂分は温かい熱燗で口の中をさっぱり洗い流してくれる効果があるし、熱燗向けのお酒は旨みたっぷりでお肉の旨みと相乗効果で高めてくれる、そして外側をこんがり焼き上げることによる香ばしさと熟成されて熱燗の香ばしさが合うと感じてました。
ここで「熱燗とステーキ」というコンセプトが決まりました。

洋食と燗酒

「熱燗とステーキ」というコンセプトを中心に他の料理も考えていきました。
日常的な洋食を提供して、それを普段あまり合わせることがない熱燗が合うということを伝えていきたいと考えて定番な洋食メニューで構成することにしました。
洋食は日本酒に合わせるために本来は白ワインで煮込むところを日本酒で煮込むみたいなことはせず、洋食は基本通りに作ります。そんな洋食と熱燗が合うということを楽しんでいただきたいからです。


本所吾妻橋での出会いで決まったコンセプトを偶然にも本所吾妻橋で物件を取得することができて開店することができました。
何か本所吾妻橋には運命的なものを感じています。
是非とも「熱燗とステーキ」「熱燗と洋食」を楽しんでいただければと思います。
10月に入ってようやく涼しくなってきて熱燗もより一層美味しく感じる季節になりました。
皆様のご来店をお待ちしております。

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