【講演③/5】かみさまからのおくりもの親であることを楽しむために」
どうしてこどもは、本を「もう一回よんで」っていうの?
1回読んだだけでは、わからないから?
そうではなくて、そこには深いわけがあったのです。
「かみさまからのおくりもの」の筆者であり、1児のママでもあるひぐちみちこさんが、2013年9月12日、岐阜県各務原市の那加教会にて行った講演の内容をまとめたものです。
一人娘の和子ちゃんへの愛と反省の思いをこめてつくった1冊のてづくり絵本、「かみさまからのおくりもの」。
出版社の社長(当時)が、「これは、みんなの心を支えてくれる本になる」といった1冊は、ここから大きくはばたくことになります。
前回の話はこちら
「もう一回よんで」がひろめた本
絵本を読んであげると、おおくのこどもは言いますよね。
「もう一回よんで」と。
実は、このこどもたちの「もう一回よんで」で大きく成長した出版社が、こぐま社なんです。
こぐま社は、自社の本の宣伝を一切していません。
しかし本当によい絵本は、こどもが必ず「もう一回よんで」と言うんです。
そして、こぐま社の絵本は、
「うちの子が、この本を何回も『よんで』っていうから」
と、いわば親さんたちの口コミによって、たいせつな友人への出産プレゼントやおくりものとして、どんどん広がっていったんですよ。
そうして今では、この「かみさまからのおくりもの」は、こぐま社における「友達に贈りたい本」部門の売り上げNO.1です。
こどもが「これだ」と思ったら
ところで、どうしてこどもは「もう一回よんで」というんでしょうか。
一回読んだだけでは、わからないから?
そうじゃなくって、こどもは心で「これだ」と思ったら、
何度でも読んでもらいたがるんです。
ちょうど、わたしたちおとなたちが、ここちよい音楽を何度も聞きたがるのと同じように。
この本の中でかみさまは、
「いいこだったら」
「○○をしたら」
といった条件を一切つけません。
そして、かみさまご自身が天使をつかわして、あかちゃんたちに一番よいものをお届けになります。
これをきいてこどもたちは、
「わたしはかみさまから一番いいものをもらったんだ」
と感じるんですね。
しあわせは、こども自身のなかに
こどもたちは、絵本の絵を読みます。
そしてそこから多くのことを受けとめています。
一方、おとなたちは字が読めるため、文字しか読みません。
その結果、多くの情報を読み落としているんですよ。
こどもが6歳ぐらいまで文字が読めないのは、かみさまがあえてストッパーをかけておられるから。
こどものしあわせは、こども自身のなかに組み込まれている。
そして、そのことを、こども自身がよく知っています。
かみさまがお与えになる「おくりもの」に一つとして同じものはない。一人ひとり、みんながかけがえのない存在だから。
そして、こどもたちはこのことに心から「そうだ」と思うからこそ、
「もう一回よんで」
というんですよ。
④へつづく。