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【講演②/5】かみさまからのおくりもの親であることを楽しむために」
この本はこどもと家族、そして先生たちの心を支えてくれる本になるでしょう。
児童書の出版社「こぐま社」において、「友達に贈りたい本」NO.1に輝いた絵本、「かみさまからのおくりもの」。
その筆者であり、1児のママでもあるひぐちみちこさんが、2013年9月12日、岐阜県各務原市の那加教会にて行った講演の内容をまとめたものです。
ひとり娘の和子ちゃんがひっこみじあんであることを心配し、彼女のために特訓を開始したみちこさん。しかし、和子ちゃんがおびえていることに気がつき、「こんなことをしていてはいけない」とハッとしたのだったが…。
これまでのお話はこちら。
気がつけた理由とは
ところで、お母さんたちからは、
「樋口さんは、どうしてハッとできたのですか。
私だったらここが正念場だと、もっとこどもをかりたてます」
と質問されることがよくあるんです。
こどもへの無理な早期教育を、ふみとどまることができた理由。
それは、わたし自身のある体験と深い関係があります。
院内教師としての「権力」
わたしは中学校教師を辞した後、病院内学級の教師をしていました。自分自身、母親が結核で20年間闘病していたこともあり、病気の子供たちの気持ちは分かっているつもりだったんです。
しかし、ある日のミーティングで若い看護師さんにこんな指摘を受けたんです。
「あなたは今日、○○くんになんと言ったか覚えてますか」
確かにわたしは彼に対して、
「今日、○○くん、面会あった?」
と聞いたけど、それがなにか問題があったのかしら?
看護師さんは言いました。
「昨日○○くんは夕方になるまで家族が面会に来るのを待っていた。でも、だれも来なかったので、今日は一人でとても寂しそうだった。
面会があったかどうかは、彼のようすを注意深く見ていれば分かることではないか。先生だからと言ってなんでも聞けばいいと思ってはならない。あなたは、先生としての権力におごってはいないか」と。
そのような経験があったから、和子の表情から、その心が壊れ出しているサインに気づくことができたんですね。
自分中心の視点ではなく、こども中心の視点でかかわりを持つようにすると、それが大人を成長させてくれます。
それに、こどもは大人が思っているより健やかでたくましいので、いつからでもやりなおすことができるんですよ。
忘れてはならない思い~絵本の誕生へ
こうして、娘への無理な早期教育の件で反省したわたしは、この思いを忘れてはならないと1冊の手作り絵本を作りました。
それがこの「かみさまからのおくりもの」です。
はじめは娘のために作った本でしたが、こぐま社の佐藤社長(当時)が出版を勧めてくださり、出版することになったんですね。
出版時、佐藤社長(当時)はわたしにこう言ってくださいました。
「この本はこどもと家族、そして先生たちの心を支えてくれる本になるでしょう」。