小田原の現状を知る (人口減少)
これからの小田原の街づくりを考える時、まず必要なのはきちんとした現状把握からの課題抽出です。これは小田原の生んだ偉人、二宮尊徳翁がかつていかなる課題を克服するにも行った報徳仕法の最初の作業です。ですので私たち報徳塾では常にこの作業を大切にしています。
ここでは主に人口をみながら小田原の現状を把握したいと思います。
人口減少が続く小田原 189,651人(81,810世帯)
小田原市の人口は1999(平成11)年8月の200,695人をピークに、減少を続け、ついに人口は19万人を割り込み、3月1日現在189,651人。実に11,044人もの減少となっており、この流れはさらに加速するものと思われます。
POINT! 自然減と社会減
人口減少を分析する際のポイントは、「自然減」と「社会減」のどちらが進んでいるのかを見極める必要があります。自然減とは死亡者数が出生者数を上回る(生まれる人より亡くなった人のほうが多い)状態をいい、社会減とは小田原市への転入(小田原に転居してきた人)よりも転出(小田原から出て行った人)のほうが多いことを指します。
小田原市の人口を直近でみれば、昨年は81人の社会増となりましたが、一昨年は-148人、その前年は-268人の社会減。毎年およそ7,000人前後の人が転入転出を繰り返しているなか、毎年約1,100人前後が生まれ2,200人前後が亡くなる自然減が続きていることから、総人口としては毎年約1000人の人口減少が生まれているというのが現状です。
これからも人口は減っていく。高齢者が増え、働く世代が減っていく。
上図 第5次小田原市総合計画 後期基本計画より抜粋
ご承知の方も多いと思いますが、上図の通りこれから人口減少や少子高齢化はもっと顕著になっていくと予想されています。
社会減は仕方のないことなのか?今も人口増を続ける市町村から学べ
人口減少が顕著になっている日本国内において「わが町の人口減少は仕方がないこと。どの町でも同様に起きていることだ。」そんな意見を時々耳にします。確かにそうかもしれませんが、そんな気持ちではより良い街づくりのアイデアが生まれる訳がありません。
人が減るという事は税収が減り続けるということ。地域経済がどんどん縮小するということを意味します。この減少に合わせて支出を減らせなければ、数年後から財政赤字が毎年大きくなり、未来の子供達に必ずこの時代のツケがまわることでしょう。
「毎年1,000人増やすなんて無理だ!」そいう人もいます。
でも私たち小田原の未来はそれでいいのでしょうか?
私たち報徳塾では、諦めたり、開き直る前に、もっとできることがあると思っています。報徳仕法流で考えるならば1,000人なら、毎月83.3人、1世帯平均が現在2.3人ですから、毎月36世帯を増やすには・・・といった感じでできる得る具体的なアイデア出しをはじめていきます。
それについては次回以降どこかでお伝えしたいと思いますので、ここでは学ぶべき近隣2つの町を紹介しましょう。
今も人口増加が続く町①神奈川県開成町
小田原市民なら誰でも知っているお隣り開成町は、前露木順一市長(1998年~2011年)から現府川裕一町長まで、今も人口増加を遂げています。自然減ではありますが、社会増を達成しています。つまり開成町には転入(引っ越してくる)する人が増え続けているのです。この人口増加への盤石なる政策を立案しリーダーシップを発揮した前露木町長は
1.子育て教育充実のため小学校を新設
2.地元の歴史と文化を大切に古民家「瀬戸屋敷」の再生
3.町の魅力を高める一点突破「あじさいの町」づくり
4.教育や文化を高めるための財源確保として「富士フィルム先進研究所」などの企業誘致
5.小田急グループと共同で開成駅周辺を中心とした土地区画整理事業を推進・転入者を迎え入れる施策を実行
(下図は当時小田急不動産さんが掲載していた画像を引用しています)
こうした経済(財政基盤の確立)と道徳(社会福祉の増進)を両輪で動かす施策を実行したことが今の継続的な発展につながっていると思われます。
上図引用:露木順一さんより
この図や国勢調査の資料を見ても、開成町では2004年(平成16年)あたりから、それまでの推移よりも大きく上昇し始めたことがわかります。これはまさに自然現象ではなくこうしたビジョンと具体的な政策と実行があった証拠だと思います。
今も人口増加が続く町②静岡県長泉町
また、箱根の向こう、お隣り静岡県の長泉町をご存じでしょうか。三島市に隣接し静岡県立 静岡がんセンターやクレマチスの丘などがある町で、人口は43,246人(2020年3月1日)で「住むのにちょうどいい町」として知られ、諸策ありますが特に子育てに力を入れており
・中学3年生修了時まで医療費が無料
・子供が3人以上いる世帯の幼稚園や保育園の保育料が、世帯年収や年齢に関わらず、第3子以降は無料、第2子は半額
など、町独自の政策などを展開しています。これも経済的施策があって実現できることだと思います。
全国町村会ホームページ 静岡県長泉町/「生み育てやすい町」~ニコニコのまちの子育て支援施策~ https://www.zck.or.jp/site/forum/1319.html
長くなりますので、近隣市町村の紹介はこの程度にしますが、皆さんはどう思われますか?
確かに紹介した町は、小田原に比べれば人口の少ない街です。でも、交通アクセス・海がないなど、小田原に比べれば少ない魅力ながらこれを引き出し、町を成長させ実現しているようには思えませんか?
果たして小田原の人口が減り続けるのは仕方のないことなのでしょうか?
これからの小田原はどうすべき?
さあ、ここからは小田原の力を発揮すべき時。これまでいろいろやっている事があるのも知っていますが、結果が出ていない以上これを真摯に受け止めるしか次なる前進はありません。みんなで考え協力・実行すべき時です。私たち報徳塾ではあくまでも、人口(財政)をできるだけ維持しながら、その財源をもとに市民みんなが心豊かに暮らせる街づくりを行っていくべきだと考えています。
小田原が生んだ偉人、二宮尊徳翁は全ての人々が幸せに暮らすことができる報徳思想に則り、きちんとした調査立案に基づいた事業計画(報徳仕法)を実行して、道徳と経済の両立を図り、生涯600に及ぶ村々の再興を成し遂げました。
令和の時代は、人口が自然に増えていた、かつての時代と異なり少子高齢化が進む時代の変革期。街の収入は減り続ける中でも、子育てや福祉などはもっと充実させていかなければなりません。それには具体的に小田原の課題を抽出(CHECK・ACTION)し、具体的な政策を立案(PLAN)し、迅速に実行推進(DO)しながら、地域課題解決のためのPDCAを繰り返すことが必要なのではないでしょうか?
皆さまのアイデアやご意見などをお寄せください!皆さんのお仲間で地域で大いに議論してみてください。
*この投稿は報徳流地方創生塾 小田原特別編 実行委員会(報徳二宮神社・(株)FM小田原)が行っています。
当初予定しておりましたセミナーがコロナウィルス感染拡大防止の為中止となった為、WEBを活用して小田の多くの市民の皆さまを対象に配信しております。
*また、私たちは元々ライターではありませんし、現在コロナの影響も甚大に受ける中で記事の作成投稿をしています。本来あるべき丁寧な校正作業もままならないまま投稿しておりますことお許しください。万一事実と異なる内容あれば速やかに訂正・お詫び申し上げます。
★投稿後、今回の取材で資料を快くご提供くださった前開成町長 露木順一さんから私達へ向けた激励文を頂戴しましたので、以下掲載します。
【露木順一さんからの激励メッセージ】
小田原のように交通利便性が高く地域資源が豊富な町で人口が社会減というのが不思議でなりません。今度の小田原市長選挙では、この小田原の不思議に照準を合わせて有権者の皆さんよくよく考えていただきたいです。
やり方が間違っているのかあるいは危機意識が乏しいのか…。恐らく両方だと思いますが…。
開成町のように何もないところから地域資源を創造しするため悪戦苦闘してきた歴史を持つものから見て小田原は恵まれ過ぎていて甘えているのではないでしょうか。
県西地域の中心都市で歴史と文化の伝統を有する小田原の活力低下は県西地域全体に多大なる影響を与えます。このことを小田原市民の皆さんはもっと自覚して地域全体の活力の維持を考えていただくことを切望します。
選挙はこうした問題を考えるまたとない機会ですので真剣な選択を是非ともお願いいたします。
露木順一さんプロフィール https://junwind.net/?page_id=9
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