しょっぱい〜
しょっぱいもの食いたい。
そう思いながら、俺は家を後にした。
あてもなく舗装された道をただ歩く。
つまんねえ街。
つまんねえ道。
人が住むだけの最低限、
売れるものだけを売るスーパー。
ただ生きればいい、そういう街。
俺はいつもの駅を過ぎ、ただひたすら歩いていた。
もうどのくらい経ったろうか。
ふと見上げると、そこに銭湯があった。
暖簾は色褪せ、建物は歪みがところどころにある。
俺は何も考えず、無意識のうちに吸い込まれていった。
番頭がひとつの笑顔もなく、金を求めてくる。
中は思った通りの古さだった。
脱衣所には扇風機がぶるぶる。
俺の他にはじじいが二、三人。
お湯に浸かる。
ただぼうっと考えた。
じじい二、三人がずっと俺を眺めてくる。
居心地が悪い。
こういう銭湯は来る人間が決まっているのだろうか。
珍しいんだろう。
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