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名ばかり探偵、事沈めたりで葵ちゃんは何がしたかったの?Ver.2.0

はじめまして。ほとけばちです。

色んな意味ではじめましてなわけがありません。

はじめに

本動画はニコニコ動画の過去の呪縛(動画時間が30分を越えると画質が著しく下がる)を回避するために、話速を上げる・セリフを削るなどいつもの動画よりもスピーディーなモノになっています。

そのため視聴者が物語に追いつけているか不安!という思いが強く、同時に強い「作者が作品の解説するなんてだせーよ!」という狂暴な意思を押さえつけてでも解説したい、ということで書いていきます。

当然ネタバレしかないので、先に見てくださいね。

本題

さて、色々疑問はあるとか思いますがまず一枚こちらで切り抜きます。

???????
何を言ってる??????

となった視聴者さんも多いのではないでしょうか。
議論で度々純子に茶々を入れ邪魔してた琴葉葵が、味方……????

その認識は正しいです。
純子視点では、正しいです。

純子の議論序盤での目的は、自分の信頼を得ること
正しい証拠、正しい推理をもって自分の発言力を高めることでした。

純子の最終結論は「この場に犯人はいない」という小五郎のおっちゃんが起きているときにしそうなバカげた推理であり、丁寧に周りの認識と議論を進めなくては通せない無理筋なモノでした。

だからこそ純子は丁寧に議論を進めたがるのですが……。

※敵ならこんなこと言う必要ないのに言ってくれてる

少し後の抜出。
アリアルさんの純子への警告。

今回の事件は具体的な証拠がほとんどなく、犯人扱いの琴葉茜も動機という「印象」だけでそう認定されてしまっています。
そのため印象を強く決定づける「最初の推理」はこの議論においては非常に有利(なんだけど大丈夫か?)と尋ねています。

純子はこの警告をものともしませんでしたが、この「印象」のトリックを誰よりも早く警戒していた人間がいます。

それが「琴葉葵」です。

この意見の違いも葵ちゃんの発言から引き出されてる

議論最序盤、純子とアリアルの意見が違うと発覚した直後。
琴葉葵は間髪入れずにこう言います。

「まず」。
純子に「最初の推理」を促します。
アリアルに警告されるまでもなく、この子だけは最初から議論を有利に進めるために動いています。

実際純子が信用を得る必要があるのは「共犯者」を除けばこの画面に映っているシルエットモブぐらいで、ゆかりさんたちはもともと協力してくれています。実質部外者さえ説得できればいいわけです。

その程度の心理を会話の中で操ること。
あの琴葉葵には難しくないことです。

だからこそ初手の推理を純子に推奨します。
心を重視する葵ちゃんらしいファインプレーですね。

あれ~~~~~??????!?!?!

当の本人に全く伝わっていません。この献身。

残念そうな顔してる

まあしかし、しつこくはなるんですが仕方がありません。
純子の推理は徹底的にバカげており、いくらメンツがメンツとはいえいきなり結論を言えばマキちゃん当たりが「何言ってんだ…?」と突っ込んでくるでしょう。

一度でもバカなことを言ったという「印象」がつけば、もうその推理は使えない。それを純子もわかっていたからこそ慎重な立ち回りをしています。

(そりゃ茜ちゃんも前回はこういうしかない)

アリアルさんが純子の丁寧な立ち回りに乗り、事件の振り返りを賛成した後のこのセリフ。「君」というのは直前のアリアルさんに言っているわけではなく、「最初の推理」を通すチャンスを捨てた純子に言っています。

話が進んでしまったので、葵ちゃんは作戦を変える必要が出てきます。
印象だけでなく、純子の欲する証拠を持って議論を制する必要があると理解しています。

ただし、それだと重大な問題があることも理解しています。

順当に事件を整理し、順当に共犯者が誰かということを整理する。
そうするとどうなるのか。

←あちゃーって顔

順当に純子が共犯者になります。

最悪です。
信用を得ようとしたのに地の底まで堕ちることになります。

この後伊織の乱入で有耶無耶になりますが、普通に大ピンチです。
こうなることも予想して、葵ちゃんは自分のペースに持っていける「最初の推理」を純子に推奨していました。

さて、そんな葵ちゃんは純子が追い詰められている中何をしていたのかというと……。

純子の発言を横取りしていました。

やっぱり敵じゃん!!!妨害だ!!!!!!
と思うかもしれませんが違います。

純子は証拠を集めるために、かなり大胆に発言を繰り返していきます。
但しこれは諸刃の剣で、発言にミスがあれば信用を落としかねません。

実際このように、些細なことでアリアルさんに突っ込まれます。

そのあと勢いを失い、一番有利な展開をアリアルさんに奪われてしまう。
葵ちゃんの危惧していたことです。

先ほど共犯者認定されたことで信用が地に落ちた、という話をしましたが、実際は議論の優劣さだけでも印象は決まってしまいます。

純子の不用意な発言を否定し、自分の整然とした推理を話す……というこの状況はモブたちの心理を動かすには充分な出来事です。
要するに、アリアルに純子が論破された、というふうに見えるわけです。

それは信用を得たい純子からしたら最悪のことです。

だから。

まだ黙ってろよのポーズ

純子を黙らせる立ち回りをしています。
「探偵役」が論破されるより「狂言回し」が論破される方が純子の印象には影響がありません。

このように証拠を示すような発言は積極的にかっさらうことで、アリアルさんに突っ込まれても問題ないようにしてくれていました。

このせいでアリアルさんも純子のミスとも言い切れないようなところにツッコミを入れ、自分のペースに無理やり持っていかざるを得なくなります。

流石ですね。これはもう最高の仲間!
あとは証拠が揃うまで純子にはおとなしくしててもらえば……

ダメでした。
純子が無駄に優秀なせいで、作戦が決まりません。
自分の発言に純子が追い付き始めてしまいます。

着々と状況が悪化しても、アリアルさんの推理は止まりません。

更に純子の切り札でもあった、葵ちゃんの能力についてもここで触れられてしまします。本気でまずいです。

共犯者にされても冷静さを保っていた純子でしたが、この流れだけはすぐには許容できませんでした。作戦を変える必要が出てきます。

そしてそれは再び、琴葉葵も同じです。
このまま純子と噛み合わなければ議論に負けます。

一気に議論の表側に立たされた琴葉葵は一つのプランを思いつきます。
「このまま目立ち続けて、一回共犯者を私にしてしまおう」

流されたり濁されたりしていますが、今の純子の立場は最悪です。
推定共犯者」を「議論の主役」に変える必要があります。

そこでどう頑張っても純子に敵視しかされないなら、本当に敵の駒に成り下がってでも純子を持ち上げようとします。

同時に純子もやっと、琴葉葵の行動の真意を探り始めます。

その間に琴葉葵は疑問を断定に変えたり、

犯人の悪あがきのように事件の核心を掘り出しながら自分を共犯者に仕立て上げていきます。

あとは純子がこの真意に気づいてくれればいい。
自分の嘘に乗ってくれさえすればいい……!

最後の賭けです。

結月ゆかりが時間を稼ぐ間、純子は精一杯思考を巡らせます。
事件の証拠は結論を導き出せる程度には集まった。
あとは大暴れしている葵さんさえどうにかすればいい……!と。

事件ではなく、この議論の、「葵さん」をどうにかする。

この思考にたどり着いてやっと、純子は葵ちゃんの意図に気づきます。

(絵空事の1シーン)

視野が狭い。
選択肢が多い中では、純子は自分の能力を発揮しきれません。
事件と琴葉葵を切り離して考えてやっと、琴葉葵の行動を理解します。

勿論このセリフは純子に言っており、ようやく二人がかみ合った合図です。

(実は茜ちゃんの口を流用している)

葵の目論見を理解した純子は、葵ちゃんを「論破」する形で議論を再構成していきます。共犯者というレッテルを葵ちゃんが受け持ち、議論を進める「第一発言者」の役割を葵ちゃんから渡されたんです。

時間をかけたのは自分だとも理解していますが、あまりの回りくどさにブチギレています。琴葉葵は本音を伝えるのが下手すぎる。

"さあ探偵さん、見せてよ君の才能を!"

琴葉葵の起死回生の立ち回りは何とか成功し、純子に議論を託します。
さて、この展開のキーパーツ……純子の「条件を絞り込むことで結論を素早く答えを導き出せる」、「嘘を有効に使う」という二つの武器は……。

琴葉葵が、純子と初めて会った際に仕込んだものです。

一見滅茶苦茶なこのプランも、自分が純子に教えたことで突破できる。
嘘と疑心だらけの琴葉葵の、僅かかつ確かな純子への信頼です。

ここまで解説したらわかるでしょう。
だから「最初から味方をしていた」になるんです。

本当に二人がかみ合っていなかっただけです。

お互いの意図を理解した二人はもう議論を滅茶苦茶に壊していきます。

純子が話を進め

反論のように事件の核心に触れ

純子がそれを「論破」する。
これを繰り返し、信用を勝ち取りながら、事件の推理も進めていきます。

すれ違いの中、純子がなぜ意固地に証拠と推理を求めていたかを理解した琴葉葵にももうミスはありません。
共犯者を追い詰める中、「殺しはしていない」という一番必要な要素を引き出してくれます。

もし仮に印象だけで推理をしてしまえば、「アリアル・ミリアル」が「犯人」である……という結論になってしまうでしょう。
この二人は殺しをしていない。実行犯は別にいる。
と、結論を出さないことにはこの事件は終わりません。

茜ちゃんのように二人を部屋に閉じ込めても、船に潜む実行犯がまた事件を起こせば議論の結論は間違っていたのでは?という話になってしまいます。

今殺人事件がストップしているのは琴葉茜が自ら犯人にしたてあげられ、部屋に閉じこもっているからであり、間違った結論のまま解放されても意味がありません。

だから純子は議論の最初から殺人鬼の存在を匂わせ、議論を丁寧に進めたがっていました。それができたのはある意味二人が全くかみ合わず、議論が長引いたためでもあり、結果オーライという感じになっています。

こうして二人は議論に勝つことができた、というわけです。

おまけ

突っ込まれそうな部分を先に潰し……
ちゃんとお答えしようと思います。

アリアルさんはなんで最初から味方してくれてないの?手加減してよ!

ケッキョクミカタダッタ=アリアル

A.無理です

議論においては敵でしたが、実は味方でした2人目のアリアルさん。
もう理由は単純です。ロボだからです。
ロボとしてこの殺人パーティの主催を命じられていたんです。

ロボアリアルさんの目的はパーティの円滑な進行です。
しかし琴葉茜があっさり閉じこもったせいで、殺人をこれ以上起こせなくなってしまいました。起こしたとしても琴葉茜が犯人ではないという証拠になりかねないため、慎重に動かざるを得ません。

そこで共犯者がいるということにしよう、と思いつきます。
それがこの議論の発端です。

ただちょくちょくこのロボは純子に隙をさらします。
純子が共犯者と断定されると困るからです。

アリアルさん本人の思考としてもそうですが、ロボアリアルさんとしても共犯者が議論で決定づけられるとまた事件が起こせなくなるために手加減する必要がありました。

あわよくば葵君と純子君でボクを倒してくれればいい……と。

がしかし。二人が思ったより噛み合いません。仲が悪すぎた。

はーとみたいなポーズしてるけど

そこで慌てて標的を琴葉葵に変えたりしますが、案外葵ちゃんは自分が共犯者だとすぐ認めちゃうせいで大焦りだったと思います。

あのまま純子が葵ちゃんの真意に気づけなかった場合、今度はゆかりさんあたりを共犯者などと言ってたかもしれません。
議論がさらに混沌と化し、逆に手が付けられなくなっていたかも……?

最初から2人の利害が一致してれば楽勝だったのでは…?

A.そうです。

葵ちゃんと純子がちゃんと組んでればこんなに苦戦してません。葵ちゃんが自分は味方だよって示してくれてれさえすれば楽勝です。

大体この事件の成功ミリアルさんしか願ってないし……

然しそれはできません。
葵ちゃんはどうしても純子の……琴葉茜の敵でなければなりませんでした。

なんで?

A.葵ちゃんが気持ちよくなれない

いやふざけてないですよ。大まじめです。

葵ちゃんがこの事件に一番イラついているのはこれです。
茜ちゃんの味方になりたいのに、なれない。
下手な擁護をすると足を引っ張る。

過去、琴葉茜が周囲から疎まれる代わりに自分の立場を確立させられてしまっていた葵ちゃんにとって、これだけは絶対に許せないポイントでした。

ならとことん敵を偽って、絶対のカウンターを決める。
そのために我慢して我慢して我慢して。

血縁者の擁護というカードを相手が切るまで、自分を偽る!
最高の復讐をしてしまうわけです。復讐者に対して。

これを本気で実行して議論にも勝つので、名ばかり探偵においてはこの子が一番強いと思います。倒し方が解りません。

なんで初日に琴葉茜はみんなで集まろうって言わなかったの?
一人にしなきゃついなちゃん死ななかったよね?

バラバラ死体を見つけた後のシーン。
ミステリーでは一人なった奴が死ぬというお約束がありますよね。

なぜわざわざ一人にするような行動をとったのか。
どう考えても悪手ですよね。
ミスですかね?

んなわけあるか!!!!!

みなさん思い出してほしいんです。
この船のルール。

犯人を特定する必要がある。
できなきゃ全員クルーズ終了時に死ぬ。

事件を起こさせないような立ち回りをしても、結局死にます。

こういう警告もされている以上、単純な殺人以外にも殺す方法があるのでしょう。いや私は何のことかさっぱりわかりませんが、あるのでしょう。

なのでどうしても事件を起こして、証拠を出させ、犯人を追い詰めなくてはなりません。だからこそ全員集まって犯人がアクションを起こせないという状況は被害者自ら詰むことになります。

犯人の姑息な手段でついなちゃんは犠牲になってしまいましたが、純子も言う通りあの中で一番護身に長けていたのはついなちゃんです。
犯人が襲ってきても対応できる。何なら取り押さえてくれる、ぐらいの信用はあったのだと思います。

かつ探偵視点では自分を犯人に仕立て上げようとしているのが見えているので、自分を殺しに来ることはないという断定の元一人でいようとします。

アリバイの証明ができない自分は犯人になりやすく、真犯人の目論見通りクルーズ終了時に犯人として差し出されれば、とりあえずはクルーズを無事に終えることができるわけです。

だから探偵はバラバラに過ごすことを推奨していました。
それにバラバラでいろ、なんて、いかにも犯人が言いそうなことですよね。

そういうわけです。

youtubeでご覧の皆様。
名ばかり探偵はあと2話+前日譚の1話です。
最後までお付き合いいただけたら幸いです。

ニコニコでご覧の皆様へ。
琴葉葵はまだ出番があります。
気長に待っててください。

では~

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