ミックス作りました 23/08/30
(例によってリンクが多いのでPCの方が見やすいと思います)
80年代~90年代の女性ボーカルの邦楽レアグルーヴでミックスを作りました。
動画のデータがエラーで飛んだので今回は静止画です。
以下、キッカケとか曲単位の解説とかをつらつらと。
曲の情報で間違ってる部分があればそっと教えてください。
※ いろんな意味合いのある レアグルーヴ という単語ですが、本記事及びミックス内 (というか自分の捉え方) では「チャートにはまず載らなくて、見つけんのも大変だし知ってる人も限られるけど歌も演奏も上質な曲」という定義にさせてください。
製作のキッカケ
前回から少し時間も経って、その間に掘った曲もあったりしてそろそろターンテーブルと向き合う時間を作った方がいいと思った
ちょっと前にジェフ・ポーカロの追悼DJイベントに客として遊びに行った際に「もし自分が出演者だったらどんなリストにしたかな…」と考えさせられた (その日は和モノのジェフ参加曲をかけた人が1人もいなくて「そこに比重を置いたセットも面白いかもな~」なんて思った)
などなどの事象をふまえて決めた今回のミックスの目標は
"女性ボーカルの和モノレアグルーヴ" を基盤に、ジェフ参加曲を取り入れつつ、ジェフに負けず劣らずの名ドラマーが参加してる曲でまとめる
前回よりもミドルテンポ帯の曲の割合を増やす (BPM120~140あたり)
でした。
曲の解説
曲の情報とか個人的な思い入れの部分の話だったりとかを書きます。
人名は敬称略とさせてください。
Trees and Flowers (Extended Mix) - Strawberry Switchblade
今回のSE枠
スコットランドの女性2人組ユニットの曲。
この曲はご存じなくとも、シベリウスの「交響曲 第5番」をサンプリングした「ふたりのイエスタデイ」という曲がヒットしたのでそちらは聞き覚えのある方もいるかと思います。
前回に続いてまた開幕でルール破るんかい! とツッコミが入りそうですが
1年半ほどの短い活動期間のなかで、複数回来日してTVへの出演やライブの公演を行った
井上大輔の提供により楽曲「Extacy」が日本独自で製作/リリースされ、スバルの自動車 レックス のCM内で使用された (他にも日本限定の作品がいくつか存在する)
衣装がロリータファッション (日本発) の元祖とされている (この話は全部書こうとするととんでもない長さになるので、ご興味のある方は各自で検索なさってください)
フリッパーズギターが3rdアルバム「ヘッド博士の世界塔」収録の楽曲「ドルフィン・ソング」内でサンプリングした
無許可で
等々のエピソードがあって、日本との結びつきが強いアーティストだったりします。
Trees and Flowersは曲内でテンポの揺らぎが大きかったので、事前にスライダーでBPMを次曲に合わせたうえで再生しつつTrees~側のヴァイナルを手動で再度調整して、次のHOW ARE YOU?へ無理やり繋ぎました。完全に荒業。
なので途中聞き苦しい箇所もありますが、帳尻はなんとか合ったという事で何卒…
HOW ARE YOU? - 平松愛理
1stアルバム「TREASURE」収録
曲毎のクレジットがないので特定できませんが、ドラマーは青山純、村上ポンタ秀一、山木秀夫の3人のうちの誰かです (個人的には山木さんの演奏じゃないかと思ってる)
バックビートもフィルも、どこをとっても素晴らしい演奏ですがAメロの入りは特に秀逸。
新人のデビュー作にこの3人が同時に参加してるあたり「業界が "健全なお金の使い方" をしてる良い時代の作品」だなと思います (もちろん他のパートの参加メンバーも豪華)
"元カレの居所を1年越しに探し当てて電話をかける女" の曲。
怖い曲として世間でよく名が挙げられる 部屋とYシャツと私 の比にならないくらい怖い題材だと思う (というか個人的には 部屋と~ の歌詞の内容は "好きな相手" に言われる前提なら、ほとんどは優しさに溢れててかわいらしいものだと思う) んですが、そういった重たい内容をどこかあっけらかんとさせつつ、悲哀も失わない平松愛理独自の世界観を1stの時点で確立させている名曲です。
1曲で2本も動画張るのはどうなんだと自分でも思いますが、TV番組でのパフォーマンスが特に素晴らしいので気に入った方はぜひこちらも。
デビュー直後にしてラスサビでの緩急の付け方が職人の域に達してて、初めてこの映像を見た時は驚きました (特に3:19~の 会えないなら~ で、聴いてて毎回泣きそうになる)
Send love to me ~愛をとどけて~ - 飯島真理
TOTO界隈のミュージシャンが多数参加してる大名盤 MY HEART IN RED からの選曲。
作詞作曲は飯島自身、編曲は当時の夫 ジェームス・スチューダー との共作で、ドラムはもちろんジェフ・ポーカロ。(後述のStillも同上)
スタートの口火を切るフィルインからジェフらしさが炸裂してる曲。Rosannaとやってること近いし飯島とジョセフ・ウィリアムズの甘いデュエットを後ろでしっかり支えてて 「"いいドラム"ってこういうのだよな…」 と聴く度に思わされます。
Wanderer In Love - 尾崎亜美
アルバム HOT BABY 収録。Send~に続いてドラムはジェフ
アルバムの全曲にジェフが参加してる珍しい1枚です (数曲に参加してる作品は沢山あるけど全曲参加はあまりないはず)
絶対にミックスに入れたかった1曲。
ジェフの作品には "難易度が高くコピーが困難を極めるもの" がいくつかありますが、その最たるものの一つはこの曲ではないかと個人的には思ってます。BPM104前後の16分でハイハットを終始 (片手で!) 刻み続けて、歌に沿ったニュアンスも出し続けるのはジェフならではの技ですね…
あなたがいるから ~YOUR LOVE KEEPS GETTING' BETTER~ - CanDee
(動画内 04:16~から)
曲名が長い!
林田健司の元妻で、山下達郎のコーラスを担当してた高尾のぞみが CanDee名義で発表した曲。
ドラムは恐らく神保彰 (クレジットがないけど、1曲目のFor Youが野呂一生の提供で全曲同じような音色なので恐らくそう)
前向きな歌詞とそれに噛み合うように前進するようなフィルインが多々盛り込まれてる曲ですね。
ミックスと直接の関係はありませんが、手掛けられたコーラのCMも最高なので気に入った方はぜひ。
この恋がすべて - 佐藤聖子
(どういうわけか動画に 小谷美紗子 とか書いてあるんですが大嘘です)
自身での作曲に西脇唯の歌詞を載せたスーパー名曲。ドラムは青山純。
90年代初頭に一瞬流行った ガールポップ のムーブメントを代表するアーティストで、一時期めちゃくちゃ沼ってました。
悲痛な雰囲気とは裏腹にリズム隊の仕事が良質でノれる曲。普通のアーティストならメソメソして終わりそうな内容の歌詞なのに "次に泣くのが あたしだとしても 振り向かない" と、悲哀だけで終わらず前向きなことに、初めて聴いた時は凄く衝撃を受けました。
背中あわせのCRESCENT - 広田恵
大分の音楽系高校出身のシンガー、広田恵の2ndアルバム GRAYから。ドラムは江口信夫。
とにかく歌が上手すぎる!1stアルバムでも上手かったのに、曲が洗練されたのもあってか誰にも止められないくらいの勢いを持った名曲です。
高校を卒業してすぐにデビューされてるのでこの曲は20歳頃の作品なんですが、とてもそうは聞こえない圧巻の表現力です。
よりロック寄りで強いシャウトが求められるような曲や、繊細なバラードも見事に歌いこなしてるので、気に入った方は出来ればアルバムで聴いてみてほしいです。
余談
実家が教会の "生粋のクリスチャン" で、メジャーの一線を引いてからは讃美歌の界隈でご活躍されてるようです。
どんなに優れたシンガーでも加齢を通して声質が変わって当然だと思いますが、変わらずの声量や安定感を持たれてて驚きました。というか更に説得力みたいな部分での深みが増してて本当にビックリした。
SMILE - 川口雅代
ここからテンポアップ。
ゲーム ときめきメモリアル のキャラソン。キャラクターの "中の人" の 川口雅代 は「元シンガーソングライターでレコードを複数発売したり有名歌手に曲提供をした実績もあるニュースキャスター」という一風変わった活躍をされてる方です。というか声優とかサブカル方面の仕事をしたのはコレくらい
ドラムは岩瀬立飛。当時はコナミのスタッフで、現在はジャズの方面で活躍されてる方です。
こういう "ドマイナーなアニソンだけど良質な曲" を合間にぶち込むためにDJやってるところはあるかもしれません。
恋わずらい - 美崎しのぶ
ゲーム "こみっくパーティー" のEDテーマ。(未プレーです、すいません)
ドラムは… ごめんなさい、お名前を失念しました。(たしか Feeling Heart とかと一緒で、当時のLeafの楽曲を複数担当されてた方だったと思います)
先ほどのSMILEに続いて「もう1曲くらいは "サブカル方面のミドルテンポの曲" が欲しいな~」と思って浮かんだ曲です。
こういう "ボーカルが被さる部分があって絶対に1人では歌いきれない部分があるポップス" が "癖(へき)" なところは… ありますあります。
Still - 飯島真理
先述の MY HEART IN RED から。ドラムはこちらもジェフ。
ハーフタイム系だったSend~とは対照的にロック風のストレートな曲。
AORのRの面。(先日のイベントでボストンの話題になった時にコレ言ったら "上手い事言うね~" と言われたので皆がうんざりするまで擦り倒す)
太鼓類がずっしりした印象で、この面もジェフの持ち味のひとつだと思います。曲の入りや ギターソロ後半~ラスサビ の "前に進んでく雰囲気" にそれが凄く効いてる気がします。
"前進" に関してはジェフ特有のタイム感がそれをもたらしてる面もあるんですが「StudioLiteドラム教室」さんのエッセイがそこを上手く解説してくださってるので、より深く知りたい方はぜひそちらもお読みいただければと思います。(下記で引用します。怒られたら消します)
このStillもDJソフトで解析するとタイムのゆらぎは結構あるんですが、普通に聴いてるぶんには全く気にならなくて、それは「"聴いてて気持ちのいいテンポの上下" をしてるから」で、そういうのもひっくるめたのがグルーヴってもんだよね… と個人的には思ってます。
ジェフの夭折後にTOTOへ加入したサイモン・フィリップスもありえないくらい上手い(ですし、そもそもジェフのモノマネはメンバーもファンも誰も求めてないとは思う)んですが、ジェフのグルーブはジェフだけのもので、譜面上はコピー出来てもここだけは本当に誰もマネできないポイントです。間違いなく…というかそもそも譜面的にコピーすんのも相当難しいし、出来ました^^ みたいな顔して出来てない人も沢山いるんだけど
失恋ゲームが終わるまで - 杏里
杏里の13枚目のアルバム CIRCUIT of RAINBOW 収録。ドラムはジェフ。
キャリアの中でも比較的後年の作品 (1989年5月発売) で、スタジオの機材周りも変わったのか、イントロからドラムが更に重圧で最高ですね…!
「この偉大なドラムを勝手にいじくり回していいもんだろうか…」とは思いつつも、今回のミックスでは「中間のキメとドラムが絡み合う部分 (42:47~)」でエフェクトをいろいろかけてます。リバーブ→フェイザー→スペース→フランジャー の順です。
湾岸線はStarry Night - 木村恵子
慶応大出身のシンガーソングライター、木村恵子の3rdアルバム「Cafe 1984」より。ドラムは 青山純、江口信夫、河野道生 の3人のうちの誰かです… (これも曲毎のクレジットが載ってないパターン。青山純だと思うけど正直あんま自信ない)
"他人の男と一緒にパーティーから抜け出した女が首都高を2人でドライブする曲" (作詞は麻生圭子によるもので、木村は作曲のみ)
湾岸線を走り抜けていく車を描くように疾走感に溢れたドラムとパーカッションの絡み、そしてその上に載るちょっとけだるいボーカルが最高な1曲です。結構細かいフィルインが入ってくるのもあって、実際のBPM以上の疾走感がある気がします助手席からこんなん言われるの考える度に とんでもねえ女だな と思う
(嫌だとは言ってない)
そんなこんなの全12曲でした。お楽しみ頂けましたでしょうか?
1曲でも気に入って頂けるものがあればDJ冥利に尽きます。
(言いにくいんだろうなとは前回から思ってるけど、"この曲いいね" の一言だけでもマジで喜ぶので気軽に言ってくれ…)
今後の課題
・ショートミックス (1分半~2分程度でガンガン繋いでくやつ) を作りたい
ジャンル的にちょっと難しい所もある気がしたり、基本的に "いい!" と思える曲だけで構成してるのでどうしても聴かせたいポイントが1曲に多々あったりもして悩みどころが多いんですが、一般的なクラブでの1枠の時間も考えるとショートも作れるようにしなきゃ… とは考えてます。
勉強しなくちゃ…
・男性ボーカルの曲も使う
2つミックス作って、結果的にデュエットとコーラスでちょっと出てきただけなのは我ながら意味不明すぎて草
誇張抜きで普段聴いてるもののうち9割近くが女性ボーカルの曲なので多分そういう病気を数十年間にわたって罹患してるんですけど、男女をまぜこぜにしたものも作れるようにならなきゃダメですね。
ただ、そこが自分の武器だって言い張るのもアリな気はしててどうしたもんか…
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