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京都に来てアンディ・ウォーホルを見る意味

はじめに

2022年9月17日から2023年2月12日の間にかけて、京都市京セラ美術館にて「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」展が開催されていました。今回の記事では本展覧会を訪れたスタッフのレビューに合わせて、京都でアートを楽しむことについて記そうと思います。

巡回なし!「京都にアート旅」はおすすめ

アンディ・ウォーホルについては、ちょっとでもアートに興味がある人だったら知っている、作品を見たことのある人も多いかもしれません。作品そのものを見たことが無くても、例えばユニクロとコラボレーションをしてTシャツを長く販売していたりするので、彼の作るイメージは見たことがある、という人は多いでしょう。大衆への認知度で言うと世界でもトップクラスの現代アーティストです。

そんなウォーホルの今回の展示は京都市京セラ美術館でのみ開催される特別展。一般的に大規模な展覧会は、東京→関西→九州などと、国内でも何ヶ所かで巡回されることが多いです。しかし今回の展示は巡回なし。京都でのみ見ることができます。

ウォーホルは世界的アーティストですから、過去に日本で何度も大規模な展覧会の開催実績があります。それでも、今回のウォーホル展はオリジナリティに溢れた、足の運ぶ価値のあるものとなっていました。

京都市京セラ美術館について

今回の展覧会場である京都市京セラ美術館は、元々は1933年に開館した公立美術館として日本で現存する最も古い建築です。それが2020年に大規模なリノベーションが実施され、「帝冠様式」と呼ばれる近代日本の歴史的な建築スタイルと、現代的なガラスとミニマルなデザインが調和した新しい現代美術館となりました。建物そのものが美しく、アートやデザインに興味がある人は、京都に訪れることがあれば是非立ち寄って欲しい、自信を持っておすすめできる場所になっています。

リニューアル後は同時期に複数の企画展が常に開催されており、展示のジャンルは幅広いものの、今回のウォーホル展が開催されているのはリノベーションに伴い新設された東山キューブ会場。ここでは主に現代アートの展示が行われています。

ウォーホルについて

アンディ・ウォーホル自画像

アンディ・ウォーホルについては、多くの説明は不要でしょう。1928年にアメリカのペンシルバニア州ピッツバーグ生まれ。主に60年代から80年代にかけて、ニューヨークを拠点に活躍。ポップアートと呼ばれる芸術ジャンルの中心的人物として歴史に名前を残しています。

戦後アメリカの大量生産・大量消費文化を象徴するキャンベル・スープ缶の作品や、テレビの普及に伴いそのビジュアルイメージが無限反復された存在であるマリリン・モンローやエルビス・プレスリー、毛沢東などの著名人をモチーフにしたシルクスクリーン作品が有名です。

マリリン・モンローのシルクスクリーン

本人もシルバーのカツラをつけたルックスが有名で、テレビCMに出演したり、アート業界以外の著名人・セレブリティーとの華やかな交友関係で知られた自分自身がポップな存在です。

今回の企画展ではウォーホルの作品が200以上も展示されていますが、企画展の特徴的なポイントをいくつか紹介いたします。

特徴1: 初公開作品が100点以上

今回展示されているウォーホルの作品の100点以上が日本での初展示作品。これまで何度も大規模な個展が開催されているにも関わらず、まだこれだけ初公開の作品があるのも驚きです。ウォーホルがシルクスクリーンの手法に到達する以前の作品であったり、「こんな作品も作っていたのか」と感じる新鮮な作品が多く、今までのウォーホルファンの人でも目新しい発見を楽しむことができます。

ウォーホル作品としてはなかなか見慣れないタッチのイラスト
お花のモチーフを活かした写真作品。個人的にはこれが一番好きでした。

特徴2: 「京都とウォーホル」

さらに、今回フィーチャーされているのがウォーホルの生涯で2度あった京都旅行に関する記録。三十三間堂や清水寺など京都の観光名所を巡ったウォーホルは、旅を通じて寺社や生花をスケッチした作品がたくさん展示されています。この生花の絵がまたかっこいい。決して「上手い」絵ではないのですが、日本画のタッチでも、写実的なタッチでもなく生花の絵を見ることが中々ないので、新鮮さがあります。限られた色数・線の数で印象的な絵が作られています。

生花を描いたドローイング作品

京都を歩いているウォーホルの写真なども展示されていて、これらの写真は京都・祇園の美術館「ZENBI」でも『原榮三郎が撮った京都 Warhol in Kyoto 1974』展として、同時期に企画展が開催されています。合わせて訪れるのがおすすめです。

特徴3: 街歩きも楽しい

京都市京セラ美術館に加えて「ZENBI」を訪れるのも、今回の京都旅の楽しみ方の一つですが、それに加えて美術館以外でも「ウォーホルと京都」にちなんだ楽しみ方が提案されています。

ウォーホル・ウォーキング」と題して、京都の各地でウォーホルを感じることができる仕掛けが用意されています。たとえば清水寺では、展覧会で実際に展示されている「清水寺三重塔」のスケッチが描かれた場所でもスケッチの写しが展示されており、ウォーホルが眺めた京都を同じ視点で見つめることができます。

京都という街で、単に直接の歴史を感じるだけでなく、京都で文化を感じたアーティストの見たもの・触れたものを追体験すること。これを行うことができることが、歴史と文化を兼ね備える京都ならではの体験なのだと思います。

今、京都でウォーホル展を開催することは、多くの人がイメージしがちな京都観光とは一味違った視点での観光に気づくことのできる、ヒントにあふれた取り組みなんだと感じました。

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