ホテル投資のキャリアを考える⑧
以前どこかで書いた気もするが、特に狭義のホテルアセットマネジメント、すなわち、ホテルの期中管理の仕事は女性に向いた仕事だと思っている。それを語るにはホテルの期中管理と他のアセットタイプの期中管理の違いから始めなければならない。
他のアセットタイプ(オフィスやレジ)と比較した場合のホテルの期中管理の仕事について、いくつか特徴と言えそうな点がある。順不同で挙げていくと、「(論点が多い分)細やかなフォローアップが求められる」、「(フルサービスホテルだと特に)より意味のある顧客目線」、「関係者にオジサンが多い」と言ったあたりだ。
(論点が多い分)細やかなフォローアップが求められる
月次会議を一回やると、盛沢山の積み残しというか宿題というか継続審議事案が出てくる。オペレーターに何かを調べてもらって報告してもらうものだったり、オペレーターに何かを検討してもらうものだったり、逆にオーナー側としてそのことに対するスタンスを決める必要があるもの(Capexやるやら、とか)だったり、月次会議が終わったらなるはやで関係各所に投げておかないと忘れ去られてまた一か月経ってしまうこともたまにある。酷いケースになると更に次の月も同じ話をして、3回目でようやくなんらかのアクションがなされたり。いつまでに誰が何をやる、というのをきっちり管理するのはホテルAMのみならず普通のビジネスの基本動作だとは思うけど、それが多岐に渡るので、細やかな人の方が向いているという話。お館様統計によると、男性より女性の方がこの手のルーティンをルーティンとしてきっちりやる人が多い。
(フルサービスホテルだと特に)より意味のある顧客目線
その月次会議でも顧客目線での発言はそれなりの威力を持つ。ホテルのオペレーター側は、あくまで泊めることのプロであって、むしろ他のホテルに泊まる機会は少ない。一方で比較的出張が多いホテルAMは泊まることのプロであると言えなくもない。その経験に裏付けられた顧客目線でのホテルの運営評価は、言われた側にとっては「一ホテルAM担当者の素人意見」として切り捨てることができなくなる。これがビジネスホテルであれば、実際の顧客も男性が多いので、男性のホテルAMが顧客目線でモノを言うことの合理性があるわけだが、フルサービスホテルにおけるランチのメニューがどうとか、果てはウェディングフェアの装花・装飾がどうとか、男性のホテルAMが意見していて気まずい分野も存在する。例えば、チャペルの改装をおこなおうと思った時に、デザインに関するミーティングの参加者が全員男性みたいなケースも珍しくはない。この場合、大抵すぐにその矛盾に誰かしら気が付いて追加メンバーとしてウェディングプランナーのリーダーなどが招集されることになるけど、それでも上司である婚礼支配人(♂)の前で、かつ四面楚歌状態では、なかなかモノが言い難かったりと問題が簡単に解決するわけではない。
関係者にオジサンが多い
上のチャペルの話の通り、オペレーターとしてAMに対応するのはGMやFCなどのホテルの中でも偉い人に限られるのである程度年齢のいった男性(つまり、オジサン)が多い。PMも男性が多いので、これは他のアセットタイプにもある程度共通する話かもしれないけど、年下の同性に何か言われるよりも、年下の異性に対する方が寛大になる傾向があるので、オジサンたちに対しては女性の方が入口でのコミュニケーションがスムーズなケースも多い(その後は個人差が大きくなるので、あくまで入口の話)。そのまま上手くオジサンたちを転がしてあげるとお互いにwin-winなんじゃないかと思います。
2024年9月現在、ホテル投資関連の仕事についている若手はとても少なく、その中でも女性となると更に少ないのですが、上記の通り、女性とホテルAMの相性は悪くないのと思うので活躍の余地は大きいと思われます。水着写真添付の履歴書を当方までお送りいただきましたら、転職先として適切なAM会社をあっせん差し上げることも吝かではありません。
①新卒カードの使い方(既刊)
②転職(既刊)
③おちんぎん(既刊)
④おちんぎん以外のメリット
⑤デメリットあるいは困難
⑥転職のコツ
⑦資格
⑧女性(本稿)
(終)御礼(既刊)
(おまけ)
サポート→ホテルで使う→note→サポートというサイクルが回ると素敵ですね。