ホテルオーナー探訪記 第8話 読売新聞
どんな企業か
読売新聞と聞いて何を思い浮かべるか、「ジャイアンツ」、「コボちゃん」、「ナベツネ」あたりが多いのではないか。ジャイアンツには往時のような圧倒的な強さはないが、コボちゃんはまだ続いているし、ナベツネもまだ健在のようなので、色々な意味でしぶといですよね。下のグラフは日本新聞協会が発表している新聞発行部数の推移で、2000年以降2020年までに半減とまではいかないけど、それに近い水準まで減少している。減少ピッチは年々上がっているけど、電子版で読んでいる人も一定数いるだろうから、新聞購読者という意味ではもう少しマイルドな減少トレンドだろう。いずれにせよ、斜陽産業感は否めない。本業の縮小トレンドは変わらないので、一等地に保有してる不動産をいかに有効活用するかが重要な経営課題となり、その流れの中でホテル開発・ホテル誘致がおこなわれている。
どんなホテルを持っているか
ホテルオーナーとしてはConrad大阪やHyatt銀座を保有する朝日新聞社/朝日ビルディングの方がイメージが確立しているが、こちらもなかなか頑張っている。
MUJI HOTEL 銀座
2019年4月開業。実は元々読売新聞が持っていた土地・建物ではなく、東京電力銀座支社だったところを読売新聞が買い取ってからの建替えで、三井不動産の協力の元、作った無印ビル。
ちなみに、近くのマロニエゲートは1も2も3も読売新聞がオーナーだけど、以下のマロニエゲートのWikiに出てくる賃貸借契約書の特約に定められていたであろうChange of Controll条項が見事に炸裂していて、ディールを壊した上に、買収しているのは最高のエンターテイメント。記事書くより、記事になるネタを作る方が得意なんじゃないかと思わせる腕前。銀座で豪遊ならぬ(豪遊もしてるんだろうけど)、銀座で剛腕。
ダイエーの経営悪化に伴い、プランタン銀座の株式が売却されることとなり、当初は経営陣による買収(マネジメント・バイアウト)が予定され、2001年8月7日にダイエー、富士キャピタルマネジメント、プランタン銀座経営陣の三者で基本合意書を締結した。しかし、この合意が賃貸借契約の特約に反して、店舗が入居する土地・建物のオーナーである読売新聞社に無断で行われたため、読売新聞社が賃貸借契約の解除通知をする事態になる。そこで、読売新聞社を含めて協議を行い、2002年5月30日にダイエーが99.06%の株式を読売新聞社に売却することで合意。
ホテルグレイスリー札幌
札幌駅前の一等地にある読売北海道ビルに入居する440室のホテル。2006年にワシントンホテルとして開業した後、2007年に「グレイスリー成り」したホテル。経緯は不明だけど、1年でリブランドするあたりに読売新聞の剛腕を感じる。ちなみに、建替え前のビルにもワシントンホテルが入っており、当時の名称は「札幌第1ワシントンホテル」で、第2は現在の三井ガーデンがある場所にあったホテル。ワシントンホテルが2棟体制で駅前のいい場所を独占していた時代があったわけだ。なんとも香ばしいな。
コートヤード・バイ・マリオット名古屋(建設中)
名古屋で積水ハウスと一緒に開発。2022年春開業予定だけど、この伏見駅から10分、名古屋駅からも遠く、盛り上がるかもしれない栄からも遠い場所、というのは不安しかない。名古屋は東西の動線が強い都市なので、南北に外れてしまうとなかなか厳しいだろうし、北側はリニアで一発逆転があり得るけど、南側は…。ブランドも「コートヤード」という正直中途半端なものなので、これが何か目を引くブランドだったら流石は剛腕、という評価になったのかもしれないけど、やはり落日感じる。
サポート→ホテルで使う→note→サポートというサイクルが回ると素敵ですね。