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ホテル投資的2024年10大ニュース

はい、師走です。年末です。

ビッグディール乱発

まずはこれでしょう。2024年はホテル投資的なビッグイヤーでした。シーガイア、W大阪、ウェスティン横浜、セントレジス大阪、トマム、シーホーク、ニッコー台場(舞浜シェラトンどうなったんだっけ?)と数百億~1,000億規模の案件がゴロゴロ出てきまして、ハリソン山中が「もっと大きなホテルを狙いませんか?(徹夜でUWしなければならず)死人がゴロゴロ出るようなホテルです」って言ったかどうかは知りませんが、コロナ禍からの完全脱却を象徴するかのような年になりました。金額の大きなホテルは必然的にリゾートホテルやラグジュアリーホテルになるので、やっぱりホテル投資は華があっていいですね。

「えぇ、大型ディールがゴロゴロありました。」

大規模ポートフォリオの一斉リブランド

華々しい話題と言えば、こちらも。まず、思い当たるのは今春おこなわれた大和リゾートからグランドメルキュール/メルキュールへのリブランド23軒。少し地味だけどソラーレ(チサン)からグリーンズ(コンフォート)へのリブランドも22軒と大規模。KKRが買ったユニゾは当初フォーポイント・エクスプレスだったのがフォーポイント・フレックスに名前が変わって14軒。HMIもマリオットとIHGに分けてそれぞれ7軒、3軒の合計10軒をリブランド。グリーンズ以外は全部外資ブランドへのリブランドで、これ以外にも単発のリブランド案件も多くが、外資へのリブランドです。

「えぇ、外資ブランドがゴロゴロしています。」

インバウンド過去最高更新

で、その背景になっているのが、インバウンドの復活。これなくしては成り立たない。2024年10月までの統計が公表されているけど、既に3,000万人を超えていて、残り2ヵ月が300万人ずつだとして3,600万人。2030年の6,000万人に向けたCAGR計算すると9%弱なので、数字だけ見るとそこまでハードル高くなさそう。でも、現実には例えば空港のキャパシティがボトルネックになりそうで、検証していないけど現時点での各空港で許可されている発着回数をベースにした国際便数のキャパシティで6,000万人に耐えきれるかは疑問。そこがボトルネックになるのかどうか、なるのであればどう改善できるのか、という議論も来年以降起こってきそうですね。

「えぇ、東京も大阪も京都も外国人がゴロゴロいますよね。」

東京の㎡あたりADRがすごいことに

その結果、特に東京の㎡あたりADRがかつて見たことがない水準に突入している。普通のビジネスホテルでも1,000円/㎡をクリアしていて、よくインバウンドの人気に対して圧倒的なホテル不足だと言われる渋谷なんかは2,000円/㎡すら珍しくない。コロナ前は50~55㎡のラグジュアリーホテルのADRが70,000円~80,000円だったので、㎡あたり1,500円前後でもはや異次元。安定年度をどう見るべきか?足元の高いADRをベースに考えてよいものか?というご質問をリアルでもX上でもいただくことがありますが、逆に言うと、この水準をベースにして数字作らないと工事費の高騰に勝てないので新築はできませんし、どんな既存物件の入札でも少なくとも1社ぐらいはこの水準をベースにして突っ込んでくる会社があるので買えないんですよね。強い数字は作ろうと思えば作れてしまうので、仕入れ担当にとっては悩ましい時期ではあるかもしれません。

「えぇ、円安効果で多少高いADRでも払える外国人がゴロゴロいるわけです。」

サムレジによる民泊物件の取得

インバウンドが戻ってくると民泊も盛んになるのは世の常でして、民泊オペレーターのmatsuri technologiesのファンドにDBJがお金を出すといういかにもマーケットがピークを付けているんじゃないかという象徴的な話もある中、サムティレジデンシャル投資法人はついに民泊物件を取得して、おそらくJ-REITとしては初の民泊取得事例を作ったものと思われます。

ところで、サムティはシンガポールのヒルハウスに買収されちゃったし、ホテルREITは諦めちゃったのかな?ちらほら外売りをしている案件を見た記憶があります。

「えぇ、民泊物件の前では外国人がスーツケースをゴロゴロ転がしていますね。」

有名ディールからの派生がゴロゴロ

前半5つを表面とすると、ここからは裏面。個人の趣味が出ています。
BGOが大阪を買って、オペレーター本体の株も一部買っているロイヤルホテルですが、芝パークホテルを買収したのは驚きました。また、BXが近鉄ホテル・ポートフォリオを買った中に含まれる北野ホテルでMBO的な事象が発生しましたが、ファンドが買ったホテルでそこのオペレーターが不動産を買い受けるという珍しいケース。いずれも、ディールは買って終わりではなく現在進行形で進んでいるなぁと感じさせる出来事でした。

「最適な売却先と言いつつ他に売ったら俺消えるよって言われて選択肢なかったんじゃねぇの!」

山の上ホテル閉館と明治大学による取得

2024年2月に惜しまれて閉館した山の上ホテル。閉館間際に行った際は必ずしも広くない館内が大賑わいで、その存在の大きさを感じたものです。つまり、惜しむ人がゴロゴロいたわけです…そんな声を受けてか明治大学が買収することを発表し、よき隣人として買収するのは当然としても、しばらくしたらホテルも再開するというプランを発表したのでネット上は歓喜の声に溢れましためでたしめでたしと。

(もうええやろ)

ホテレスの月刊化/ホテル旅館の隔月化

2024年1月から週刊ホテレスが月刊ホテレスになり、2024年3月発売の2024年4/5月号から月刊ホテル旅館が隔月刊になった。後者は地味に表紙が変わっていて、小さく書かれていた「月刊」の文字が消えたけど、月刊から隔月刊だといつが発売日だったかな?ということが分からなくなる以外はあまり変わった感じはしないんだけど、ホテレスの方は週刊が月刊になった分お値段が跳ね上がってしまったんだけど、毎年11月頃に発行されるホテルの業績が載っている号だけでもちゃんと買った方がいいと思うよ。

「お値段が高い分、分厚くなり「もっともフィジカル」な存在と言っても過言ではありません。」

ホテルinホテルでの産後ケアホテルの普及

KISUI(グランドプリンスホテル新高輪内)やMamma Levata大阪(帝国ホテル大阪内)など、すっかりホテルinホテルで産後ケアホテルを作るパターンの普及が進んだ。産後ケアホテルはオペレーションがホテルとは全く異なるので専業オペレーターも育ちつつある。ちな、ホテル内スパで有名なクレドインターナショナルが産後ケアに参入していたことを今更知ったけど、元々のホテルとのパイプやスパビジネスとのシナジーなどそれなりに合理性はありそうなので椿山荘以外に今後広がっていくかは要注目。なお、比較的初期に開業したHOTEL CAFUNEが2024年11月に閉館となっており、やっぱり事業としての難しさもありそうだと感じる一方、このサイトに載っている閉館についてのプレスリリースはあくまでポジティブなトーンで書かれていて参考になる。

「えぇ、産後ケアホテルには「もっともプリミティブ」な存在がゴロゴロしています。」

いちごの石井さん💛

華やかだった2024年のトリを飾るに相応しいのは、ホテル投資の世界に舞い降りた天使こと、いちごホテルの執行役員である石井さん。百聞は一見に如かず。御覧下さい。

「えぇ、言うまでもなく「もっともフェティッシュ」な存在で、ファンもゴロゴロいます。」


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お館様🏨
サポート→ホテルで使う→note→サポートというサイクルが回ると素敵ですね。