日系海外進出ホテル その1 星のリゾート
海外に進出する日系ホテルチェーンの進出状況を紹介していきます。掲載内容は基本的に各チェーンホテルのホームページやリリース情報をもとに解説していきますが、一部の情報は筆者の主観も含まれます。原則、海外展開ホテルの状況に特化していきますが、ホテルの成り立ちなどチェーンの概略情報も適宜加えております。
トップバッターは「星のリゾート」です。
星のやの成り立ち
いわずとしれた日本を代表する高級ホテルチェーンですが、その成り立ちは軽井沢の温泉旅館「星のや」にあります。運営形態の転機となるのは、四代目で現社長を務める星野佳路氏の手腕によるところが大きいです。海外のホテル経営修士で学んだ「所有」と「運営」の分離に早くから着目し、これまで所有経営運営が一体であった旧来型の日本のホテル経営から、運営主体としたチェーン展開へと舵きりをし、事業再生案件なども手掛け複数ブランドを立ち上げチェーン数を拡大していきます。一方、本丸の軽井沢を含めた最高級ブランド「星のや」については、非日常観を重視した高級路線での展開を図り今なお多くのファンをもつ日本を代表する高級リゾートチェーンです。
星のやの海外展開
実は星のやの海外展開については、かなりの後発組であり、また展開店舗数も「星のや」ブランドでバリ、台湾(台中)の2店舗、その他ブランド合わせ計5店舗と限定的です。しかし、チェーンの旗艦ブランド「星のや」にてリゾート地への出店している、という点においては、他のチェーンホテルとは一線を画した展開であり、日系高級ブランドの雄の今後の進出方針には常に注目です。
星のや バリ
2017に開業した星のや海外初出展のホテルです。30室全ヴィラタイプのこのリゾートホテルですが、意外にも「和」の要素をほとんど感じさせない施設と言ってよいでしょう。きっと星のやが運営していることを隠せば、ここが日系チェーンのホテルであることは多くの方が気づかないでしょう。ウブドという自然豊かなバリらしい土地ということもあり、その雰囲気を最大限活かしての決定だったのでしょうが、私のこのブログのテーマでもあるある「日系ホテルの存在意義」を考えていくうえではとても興味深いホテルであったともいえます。また、このホテルの賛否については、後日記事に中で触れていくことがあろうかと思います。
星のや グーグァン(台湾)
続いて2019年に開業したこのホテルですが、上述の施設がバリの自然を活かし日系としての特徴を控えめに表現している物件としたら、こちらはいわば得意分野である温泉旅館として、星のやのノウハウを存分に表現している物件として対照的です。目玉の大浴場に加え、全室に内風呂の露天風呂を配しているのは、一般に水着で温泉に入る台湾人の文化などにも配慮した取り組みのようですね。海外にて、ここまで日本の温泉旅館を意識した日系の高級リゾートは多くありません。
その他の施設
上述の最高級「星のや」ブランド以外に、異なるブランド名ホテル名にて3ホテルの展開がなされています。ハワイ、グアムは家族向けのビーチリゾート、中国(浙江省)については、山間リゾートのような佇まい。個人的な印象ですが、ブランド戦略的な出店というよりは案件ありきでの出店だったかなと感じられ、それぞれの施設にも統一感もありません。そうゆう意味では上述の「星のや」含めて、同社の海外展開については依然過渡期にあるのかもしれませんが、いずれにせよ、日本を代表するこのチェーンホテルの今後の動向はとても楽しみです。
今日はこのあたりで
ホテルマネジメントの達人