石井聰亙『1/880000の孤独』について
こんな陰惨な映画は他にあんまりない。ある意味では『ダンサー・イン・ザ・ダーク』より暗いと思う(どの意味かは分からん)。6年くらい前に、夜中に酒飲みながら観たんだけど、ものすごく暗い気持ちになった。『狂い咲きサンダーロード』とか『高校大パニック』とは表現しようとしていることが違う。この2作みたいな、爆発的なパワーがあるのではなく、ひたすら負の感情をどろどろと底なし沼のように表現しているというか、そういう感じだ。
主演の俳優の素人くささや、映像のチープさが、この暗さを増長している。二度と観ようとは思わないが、ものすごく落ち込まされるという意味で心が大きく揺さぶられるので、その意味では感動的な映画だと思う。
今一度言うが、二度と観ようとは思わない。けど、そう思わせたら、この手の映画は成功なのかもしれない。何度も観て楽しめるエンタメ映画もいいが、この映画はそういう映画ではない。ものすごい毒をもった映画である。その証拠に、本作のDVDはすぐに売った。
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