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古谷実『サルチネス』について

 古谷実の漫画は全部好きだが、特に好きなのが本作だ。

 本作のどこが好きかというと、「バランスがいい」ところだ。何のバランスかと言うと、ギャグなどの明るくポップな要素と、哲学的だったり危険だったりする、重たくダークな要素とのバランスだ。

 本作は、ギャグの要素が結構入っている。『稲中』ほど振り切ったギャグではないけど、ほんわかするというか、個人的には好きな塩梅だ。

 『ヒミズ』以降顕著な、ダークな要素もあるのだが、こちらも『ヒミズ』のように全体的に暗く重たいのではなく、要所要所に入ってくるという感じ。しかし、要素としては決して軽く扱われてはいない。そこがいいなと思う。

 『わにとかげぎす』なんかも、ギャグとダークネスのバランスをうまくとっていて好きなんだが、個人的には『サルチネス』のほうがほんわかしていて好きだ。

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