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eSIM で行う世界一周

2019年10月から世界一周旅行を始めたのですが、残念ながらコロナの影響で2020年3月初旬に一時帰国しました(情勢が安定したらまた再開しようと思っています)。

というわけで、最近全然この note が更新できていなかったので、備忘録も兼ねて、自分と妻で世界一周中(といっても、途中帰国のため、シンガポール・タイ・カンボジア・ベトナム・ラオス・ミャンマー・ネパール・インド・サウジアラビア・バーレーン・オマーン・UAE・エジプト・トルコと行った国は少ないです)に使っていた eSIM の話をしようと思います。

eSIM とは

eSIM とは、ググってもらえれば詳しい話はたくさん出てくると思うので割愛しますが、一言でいうと物理的な SIM カードを挿さずに使えるデジタルな SIM カードのようなものです。購入はWebやアプリから行なえ、eSIM から別の eSIM への切り替えも、デジタルなので楽です。

世界一周とインターネット

通常の海外旅行では、行く国で使える SIM カードを予め買っておく、到着した空港で SIM カードを買う、現地のショップで短期契約を行う、日本のキャリアローミングを現地で使う、等々の手段でモバイルデータ通信を行うケースが多いでしょう。

が、世界一周では、短期間で様々な国を横断し、国をまたぐの移動手段も、飛行機・船・バス・鉄道と様々です。そのため、最初の何カ国かは海外旅行のように事前準備した方法で乗り切れる(ヨーロッパを最初に周遊するなら3ヶ月は大丈夫)のですが、その後はどうにかしてインターネットができるモバイルデータ通信を確保しなくてはなりません。

もちろん、WiFi のみでどうにかする、ということもできるには出来ますが、ただでさえなれない国にいるので、インターネットに繋がっていないと不安になります。逆にインターネットに繋がっていれば、その情報でどうにかなることも多いです。

そこで eSIM を使う

物理的な SIM の購入は国によって難易度が変わります。簡単な国なら安価で、かつコンビニなどで気軽に買える場合もありますし、大変な国の場合はビザやパスポートが必要になり、購入後もなんだかの確認作業が入り、即座に使えるようにならないケースもあります。

また購入場所も、飛行機移動なら空港で買えることも多いですが、陸路移動だとほとんど無いですし、発展途上国の空港や、地方空港などの大きくない空港だと SIM カードを取り扱って無いことも多いです。

そんなわけで、私達は購入がネットで行なえ、設定も容易な eSIM を使って世界旅行をする、と決めていました。

ほぼ最高の eSIM、Google Fi

1つの eSIM で最も対応国が多いのが、Google Fi の eSIM です。20$~80$(もくは70$の固定)の料金で、15GBまでデータが使え(それ以降もさらなる課金で使えます)、USのSMS/電話番号も取得できます。

私は Google Fi を Pixel 3 (グローバルモデル) で使っていて、つながらなかった場所は、行った国ではいかにも電波が通っていない山の中とキャリアが曖昧になる国境、それとサウジアラビアの空港(リヤドのキング・ハリード国際空港)ぐらいでした。

また「USの電話番号」も便利で、なにかトラブルが起きると結局は電話をかけなければならないケースもあったり、その国ローカルのアプリに登録するためのSMSで利用したり、と便利に利用していました。

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(Google Fi がたまたまなのか、使えなかったサウジアラビアのキング・ハリード国際空港らへん。飛行機から見ていると、なにもない砂漠に突然リヤドの街が現れる。)

Google Fi の問題点

といっても最高便利なことだけではありません。まず、Google Fi の eSIM が利用できる端末は限られていて、最近の Google Pixel シリーズや eSIM 対応の iPhone (2020年5月より iPhone でも Google Fi + eSIM が使えるようになりました)であること、加え US の住所が必要であることが挙げられます。さらに iPhone なら必要なアプリが、日本のストアからはダウンロードできません。(US 向けサービスであることを考えると順当です)

続いて、使える国が「すべての国」ではないこと。例えばUSが経済制裁を加えているイランでは Google Fi は使えません。あまりにも使える国が多いので、何も考えずにどこでも使えるでしょ、と考えてると使えない国にぶち当たるので、利用可能国かどうかきちんとチェックしましょう。

最後にあまり知られていない大きな問題点として、「USを離れて6ヶ月たつと使えなくなる」(USに戻ると再アクティベート可)ことです。これはGoogle Fiの利用が「US在住」が基本のため、長期間USに戻っていないと使えなくなります。私もコレを知らず、利用開始後五ヶ月ぐらいで「あと一ヶ月で使えなくなるよ、再度使うにはUSに戻ってね」メールが来たときに初めて知りました。US政府・軍事関係者の場合、申請すると海外でも使い続けられるようですが、それ以外はNGのようでした。

というわけで、6ヶ月以上の世界一周旅行では、一度USに戻らないと Google Fi が使えなくなってしまうので注意です。なお eSIM に限らず、物理 SIM の Google Fi での同様の問題は発生するので、Google Fi を利用して世界一周をしようと思っている方はご注意ください。

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(インターネットがつながらなかった場所もあった、ネパールのヒマラヤ・アンナプルナのトレッキング中の集落。急勾配の坂に1-2メートルぐらいの棚畑をどうにかして作り、農作物を育てている。電気(がある場所は)はガソリン発電か太陽光発電だった。なおネットは全くつながらないのかと思ったけど、ところどころインターネットにつながる。)

その他の eSIM

Google Fi が最高便利なのですが、日本人的には使いにくいですし、最長6ヶ月縛りもあります。そのため、その他の eSIM を使うことが現実的に有力な候補です。

eSIM はいろいろな会社が世界各国で使える eSIM を販売しています。自分の行く国で使える eSIM が何かを調べるときには、わかりやすくプラン・値段・対応国・料金を表示してくれるサイト、 esimdb を使うと便利です。

この中から旅程にあった eSIM をチョイスし、国によって選びながら利用すればよいでしょう。なお今回の世界一周のルートで行った国では MTX Connect 社の eSIM でほぼすべての国をカバーしていた(アジア・ヨーロッパ・北アメリカはたいていカバーしている)ため、iPhone では基本 MTX Connect の eSIM を使っていました。

MTX Connect は30日間、10GBのデータ通信で71$です。国によっては数日しか滞在しないため、毎回国ごとに eSIM を買うのが面倒で、基本は30日プランを買って過ごしていました。MTX Connect でつながらなかった場所は、いかにも電波が通っていない山々以外では、南インドのケララ州では一切使えず (Google Fi は使えてた)でしたが、それ以外の場所では基本つながっていました。

なお MTX Connect のサポートは南インドで使えなかったときに親切に答えてくれ、かつ利用できなかった期限分を延長してくれたりと、サポート体験は良かったです。

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(MTX Connect が使えなかった、南インドのコバラムビーチ。インド人は基本服を着たまま海で泳ぐ。家族団らんで楽しそう。)

eSIM が使えるスマートフォンはどれを選べば良い?

基本的には AppleStore で売っている、SIMフリーな iPhone XR/XS/11/11Pro/SE(新型) を選ぶと良いでしょう。いろいろな会社が販売している eSIM も、これら iPhone の eSIM に対応しています。LTE の主だった周波数にも対応していて、世界中で使えるのも嬉しいですね。

また、iPhone の eSIM 端末は、DSDS (Dual SIM Dual Standby)に対応しています。これは2つのSIMカード(つまり物理SIMとeSIM)で同時待ち受けが可能で、何が便利かというと「片方は eSIM でデータ通信、片方は日本の電話番号の物理SIMで日本の電話を受けれる」といった使い方ができます。

一緒に行った妻は iPhone XS で DSDS を活用し、MTX connect の eSIM でインターネットをおこない、電話やSMSは日本の番号(IIJmioの音声通話専用プラン)を使う、というeSIM + 物理SIMを使っていました。これだと、長く使っていた日本の電話番号をママ使うことが出来て便利です。

なお、持っている人はほぼ居ないとは思いますが、中国・香港で販売している iPhone では eSIM に対応していないモデルも有る(変わりに iPhone では珍しい物理 Dual SIM 仕様)ため注意が必要です。

eSIM + Android

iPhone でなく、Android で eSIM を使いたい場合は注意が必要です。Android では eSIM に対応している機種は、残念ながら現状多くありません。また Android の場合、グローバルモデルは eSIM 対応しているけど、日本でのモデルは対応していない、LTE のバンドが日本の各種キャリアに特化していて海外で繋がりにくい場合がある、等々の問題が発生することがあります。例えば、Pixel3 も日本のモデルは eSIM に対応していませんし、Galaxy S20 はグローバルモデルは対応していますが、日本・中国・香港モデルは eSIM に対応していません。

また、Pixel 4 は日本のモデルでも eSIM に対応していますが、こちらは DSDV (Dual SIM, Dual VoLTE) のような挙動らしく、つまり通話中にもう片方の SIM でのデータ通信が行えないため、注意が必要です。

他にも、eSIM を販売している会社も、iPhone の eSIM 対応は謳っているのですが、Android については使えるかどうか不明な会社もあります。

Android は各端末が基本キャリアとのセット販売前提(キャリアは自分以外のキャリアに乗り換えてほしくないので、現状気軽に乗り換えできてしまう eSIM やデュアルSIM機能に前向きではない)のため、2020年発売のモデルを見ても、eSIM 対応端末がほぼないことから、残念ながら eSIM の広がりは遅そうな感じがしています。

現状は、Android で eSIM を利用したい場合、Pixel 4 か Pixel 4a を選ぶことが一番ベストな選択かと思いますが、Android にこだわりがなければ、eSIM 対応 iPhone のほうが安心な感じです。

世界一周で eSIM は便利だ

というわけで、Google Fi や MTX Connect などの eSIM を使っての世界一周(というのはおこがましく、実際は1/4周ぐらいですが)は、インターネットに繋がらないことがほぼなく快適でした。料金は日本比較だと高いですが、それでもいつでもどこでもインターネットができる安心感は代え難いです。

今はコロナ禍で海外旅行が難しいですが、後日追記として「きちんと世界一周してきたけどやっぱり eSIM は便利だった!」と書ける日を待ち望んでいます。

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(ミャンマーのカロー・インレー湖トレッキング。たしか山の中のここもほぼインターネット通じたなぁ。世界はインターネットに覆われている)

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