移住と言う名のドロップアウト
最近ハワイに移住してきた日本人達は
はたして、ドロップアウト と言う言葉を使うのだろうか?
僕らが移住してきた30数年前。
同じ頃に日本から移住してきた友達の間では、よく使っていた言葉だ。
「いつドロップアウトしてきたの?」
「俺は、90年」
「俺は93年かな。」
みたいな感じです。
まあ、ドロップアウトって
なんか、あまり良い意味じゃないような響きですよね。
台からか落っこちた、船から落ちた、みたいな。
あとは、社会から落ちこぼれた、みたいなイメージがあるかと思います。
昔は、移住者の事を、
少し自虐的に、面白おかしく
「ハワイにドロップアウトして来た」
なんて
よく口にしていました。
その頃、流行っていた映画
ハワイアンドリーム
の影響があったのかもしれません。
移住には、大きく分けて2種類あります。
一つは、
学生ビザ、またはグリーンカードを取得して
裸一貫ハワイに潜り込む人。
中には、5泊7日の観光旅行でハワイに来て
日本に帰らず、そのまま不法滞在してしまった人。
その先には、
アメリカ国籍の人と結婚する、なんていうストーリ展開も
よくあります。
もう一つは、海外赴任です。
日本にある会社のハワイ支社に転勤となって
駐在員として、数年の任期ハワイ暮らしします。
駐在員は、もちろん約束された満足のできる給料と
家賃補助もしくは、会社側が住居を提供してくれて
医療面でも安心。
休暇で日本に帰る時のフライト代金も会社持ち。
生活保証された、とても条件の良いハワイライフを送る事ができます。
駐在員の人達に対しては、ドロップアウトとは言いません。
ドロップアウト組とは
前者、自力でハワイに渡ってきた人達のことを言います。
自分で何でもしなければ、野垂れ死にする
毎日、必死で生き抜いている環境にある人達です。
アメリカは国民健康保険が無いので
自分で民間保険会社に加入し、実費保険料を払う必要があります。
もちろん、お勤めして、フルタイムで働けば
会社が保険加入してくれて、保険料負担もしてくれますが。
何か事故にあった時や、怪我をして救急車に
乗って病院に行くだけでも
$3,000 (約45万円)します。
この金額は、数年前に友人が倒れた時に救急車に乗って
この金額の請求が来たと言っていたので
間違いありません。
無保険の人は、救急車にも乗れない、非情なアメリカ社会なんです。
そんなアメリカ社会を、必死に生き延びるのが
ドロップアウト組なんでしょう。
______________________________
ある日、山根さんに聞いた事がありました。
「僕に、色々と教えてくれているのは、何でですか?」
と。
しかし彼は、特に教えていると言う意識は無いと言うんです。
彼との会話の一言一言を、僕が頭の中の日記に付けて行き
その格言みたいなものを
後日の行動に生かしていった。と言うのが本当のところかもしれません。
普段から口数の少ない山根さんは、僕の質問に対して
いつの通り、すぐに返事はせず一呼吸置いて言いました。
「んー、、ドロップアウトしてきて、必死に生きている男に見えたからな」