不思議な老人からの教え その⑬ 引き寄せの法則 ・ この不動産を買え!
その日、山根さんを乗せて、カネオヘからホノルル方面に走って
ダイアモンドヘッドまで来ました。
今日は、分譲される予定という不動産を、直接この目で見てみよう!と
二人でやって来たのです。
目的地の、PUALEI CIRCLE(プアレイサークル)は、ダイアモンドヘッドの麓にある
静かなエリアです。
ダイアモンドヘッドの周りの家々は、その頃でも数億円という値段が付いていました。特にダイアモンドヘッドの東側にある住宅は、希少な為、価格は、売主の言い値で、10億円、20億円の家もありました。
プアレイサークルは、ダイアモンドヘッドの西側になります。
山根さんが言うには、
「この辺りは、古いアパートが多くて、周りの住宅の価格上昇に
追い着いて行っていない。
考え方を変えれば、必ず追っかけて、いずれ値段が上がっていくので
今買いだ!」
と。
カピオラニ公園側から、スロープを軽く登ると
プアレイサークルに到着です。
サークルと言うくらいなので、道路が一周くるりと回っていて
ゆっくり走っても、1分くらいで元に戻ってきます。
そのくるりと回っている道路に沿って、コンドミニアムが建っているのです。
見た感じは、超古い建物ばかりです。
後から調べてわかったのですが、
プアレイサークルの住宅は
ほとんどが1960年代に完成したものばかりでした。
ありました!ありました!
道路沿に、売り出す不動産屋の看板が、等間隔で何枚も刺さっていました。
置いてあるのではなく、看板の鉄製の足を歩道の横の雑草のところに
ぐさっと刺して立てていました。
不動産屋の名前はなんだったけ、忘れましたが
場所は覚えています。カハラモールの中のビルの1階の角に
オフィスがある不動産屋です。
サークルの路上に、駐車できるスペースを見つけて
縦列駐車をし、二人は車から降りました。
オープンハウスをしています。
売り出す予定の3棟のコンドミニアム、全ての建物の中に入って
見学ができるのです。
テツヤは、5棟売り出すとか言っていたけど、現地でオープンハウスをしていたのは3棟でした。
まず、二人が最初に入った建物は、
「ダイアモンドヘッド レイラニ」
と言う、とても可愛い名前の建物です。
ちょうど、ぐるりと周るサークルの真ん中に建っていて、
小さなプールは、
貝殻から水が流れ落ちてくるようなデザインで、すごく気に入りました。
レイラニの中に、不動産の簡易販売オフィスが設営されていて
まず現れたのが、化粧の濃いオバサンです。
彼女は、不動産エージェントです。
確か、ヘイジャと名乗ってました。韓国人のオバサンです。
名刺とパンフレットを渡してくれました。
レイラニの中に入ると、部屋はメゾネット式で
1階と2階を、1ユニットとして分譲していました。
全部で、何世帯かな?
おそらく、30世帯も無いな、20くらいかな。。
寝室からは、ダイアモンドヘッドの頂上付近までが
真近かに見えます。
寝室は、2つ。
トイレとお風呂も2つずつあります。
リビングからは、ワイキキのビル群が美しく見下ろせます。
そうか、ワイキキから少し海抜が上がってるから、こんなに景色が良いんだな。。
次に見たのは、
「ダイアモンドヘッド ラナイ」
という建物です。
入り口が、プアレイサークル側ではなく、外周にある
KANAINA AVE(カナイナ アヴェニュー)という道から建物に入ります。
正式な名前は、
ダイアモンドヘッド ラナイ コンドミニアム と言うのですが
どこからどう見ても、アパートです。
コンクリートブロックを積み上げて作った
外観の3階建てのアパートで、階段で上がります。
エレベータは無くって、階段です。
ラナイの中に入ると、2つの寝室と
トイレは2つ、バスルームは1つ。
寝室は、とても静かで、何も音がしなくて
下の庭にいるGecko が、チッチッチッ と鳴いている声が
すごくよく聞こえました。
この部屋の特徴は、すごいんです。
それは、日本の建築設計では、とても考えられない
平面デザインプランになっていたのです。
日本では、家とかマンションは、
まず、玄関のドアを開けると
リビングだったり、キッチンだったり
廊下があったり。
という造りでしょう?
そして、玄関から一番離れた、部屋の一番奥に
ベランダがあるでしょう?
でも、この建物は、玄関ドアを開けると、そこはベランダです。
そして、ベランダの窓を開けて、泥棒みたいに室内に入るんです。
ハワイでは、ベランダの事を、LANAI と言います。
あ、そうか! なるほど。
それで、この建物はダイアモンドヘッド ラナイって言うのか!!
外からだと、古いボロアパートですが、中はフルリノベイションをしていて
とても綺麗に、新築そっくりになってます。
山根さんと
ラナイを出て、他の2、3軒も見ましたが、あまりピンと来ませんでした。
オープンハウスで、ヘイジャからもらったパンフレットには、価格表も付いていました。
僕は、「レイラニと、ラナイのどちらかが欲しいな。」
と思い始めていました。
その後、山根さんと家に帰り、お互いが黙々と別々に自分の夜ご飯を作って
ダイニングテーブルで食事をしながら、当然、分譲コンドミニアムの話をし始めました。
値段は、レイラ二が、18万ドルから19万ドル
ラナイが、16万ドルから17万ドルの価格設定でした。
とても高くて、現実味が無いです。
でも、山根さんは、
「あれは、5つくらい買っておいた方がいい!」と言うんです。
また始まった!
金銭感覚がメチャクチャなんだよな。
このジイさん、穴のあいたボロTシャツを着てて
一見ホームレスに見えるけど
金に対する感覚が、普通の人と全く違うんだよね。
5つって、1億円じゃん。
1つ買うのだって、千何百万円もするものだから買えないのに。
その時、レイラ二を買っておけばよかったな。と
今でも時々思う事があります。
しかし、その時の自分の思考は、
「レイラニもラナイも、両方ともいいなー。
欲しいな!
悩むけど、もし買うなら、100万円くらい安いから
ラナイが良いかな、、でも、ローンで買うしか無いから
支払いができなかったら、怖いな。」
と言う感じでした。
山根さんは、それを察してか、
「例のテツヤ。だったか、時計屋に来た男。
あれは、引き寄せの法則。彼から聞いた情報は、ツキを呼ぶ虫の知らせ。
未来を知らせる予兆だ。
それを感じて、そして自分の運を信じ込んで掴めば、金が転がり込んでくる。
ほとんどの人は、何も感じず無意識の中に忘れ去るが、これを掴むか流すかの選択が、結果、将来に大きく差ができるのだ。人生の流れ的に、必ずこの物件はチャンス。自分を信じろ!」
ジイさんに説得されて、悩みに悩んで、ついに僕は
数日後にヘイジャに電話をして、アポイントを取り
その日カハラモールの不動産屋にヘイジャを訪ねました。
ダイアモンドヘッドラナイの1ユニットの購入申し込みをしました。
16万5千ドルの部屋を、5万ドルの頭金設定、後はローン申請をしたのです。
2週間くらい待って、結果が出ました。
真面目に働いていた事で、ローンが通ったのです。
正式に購入が決定しました。
またお金がなくなりました。
貯金は1万ドルくらいに減りました。
その上、25年ローンを組んだ事で、毎月の支払いで
胃が痛くなるかもしれない。
まあ、その時はその時。
今は考えないで、いいか。
他の物件をあちこち見て、じっくり検討すれば良いものを
こんな流れで、あれよあれよと言う間に
結構簡単に、人生初の、不動産購入をしたのです。