不思議な老人からの教え その⑯ 堀之内九一郎氏と老人の共通点
ある日、日本に住んでいるMIKIMOTO勤務の古い友人が、ハワイに遊びにきた。
日本からのお土産という事で、お煎餅とVHSビデオテープを持ってきてくれました。
映画でも録画して持ってきてくれたのか?
と思ったら、その中には、TV番組「マネーの虎」が、何回か分
まとめて録画してくれていたのです。
ハワイでは、日本のTVを見ることがなかったので
マネーの虎という番組は、それまで全く知りませんでした。
皆さん、知っていると思いますので
説明するまでもありませんが、
この番組は、
ビジネスアイデアはあるが、お金がない。
そのアイデアを数名の経営者(虎)に、プレゼンして
認めてもらえれば、ビジネスに出資してもらえて
事業がスタートできるという
そんな内容です。
数名の経営者(虎)は、皆、目がギラギラしていて
ある意味オーラの強い人ばかりでした。
ただ、あまり魅力は無い。
でも、ただ1人、魅力の有る人がいました。
それが、堀之内九一郎 という人です。
他の虎たちとは違う、本物の虎の目をした男です。
彼が言うことは、すべて
うん、うん、その通り!
と、何故か共感できる事ばかりでした。
そのビデオを何度も見て、
どうしても、この人に会ってみたくなりました。
彼は、その頃
生活倉庫というリサイクルショップを全国展開していて
本部が、静岡の浜松?だったか、その辺りにありました。
生活倉庫は、FC展開を進めている最中で、定期的に
FC説明会を開催していました。
僕は、次回の生活倉庫FC説明会に向けて
帰国することにしました。
堀之内さんに直接会って
話したかった事と
そして、本気でハワイに生活倉庫を作ろうと思ったからです。
帰国して、生活倉庫の本部に行きました。
全国から、FCに興味のある方が、30人くらい?集まっていました。
事業説明などを聞いて、FC説明会が終わった後に
堀之内さんと直接1対1で話が出来る時間が設けられていました。
1人10分くらいだったかな。
その時の会話は、こんな感じです。
堀之内さんは、いきなり
「アナタは、何が好きですか?」
と切り出してきたのです。
好きですかって言ったって、食べ物の事か?
何なのか?
まあ、時間も無いことだし
「時計が趣味なので、時計が好きです。」
と答えると、
「時計ですか、では、アナタが歩いていて
ウンコの上にROLEXが落ちていたら、どうしますか?」
僕は、数秒考えましたが
「何とかして拾って、洗ってから売ります。」
と答えました。
彼は、
「大切な考え方は、ウンコが汚いとか、手が汚れる
とか、考えている内に、誰かに取られる。
反射的にサッとROLEXを拾い上げる事が出来れば
商売は成功します。」
と、言いました。
しかし、いきなり ウンコが出てくるとは思いませんでした。
でも、分かりやすい例えなので
この話は今でも
何かの拍子に思い出して、自分に言い聞かせています。
まさに商売の原点を凝縮した言葉だからです。
時間が限られていたので、こちらからどうしても聞きたい事があったので
間をおかずに、聞いてみました。
「どんな商売が儲かりますか?」
すると彼は、即
「タダの物を売ることですね、原価がタダの物
それ以上に儲かる商売は無いです。」
なるほど。
そういえば、山根さんも
全く同じ事を言っていたのを
思い出しました。
タダで拾ってきたり、かき集めた物を
売れば儲かる。
と。
堀之内さんと
10分だけですが話が出来て、沢山の商売のヒントを頂きました。
ハワイに戻ってから
すぐに、ハワイ在住の日本人向け新聞に広告を出しました。
「不用品、引き取ります。」
そして、連絡をしてくれた方の家に行き
大量に服やバックをタダで頂いて、それを
フリーマーケットで売り捌いたのです。
日本人は、どんどん新しい物を買うので、部屋の中が
不用品で一杯になっているのです。
汚いバックや服、靴も、フィリピン人を中心にアジアからの移民は
喜んで買います。
この生活レベルの差で儲けられるという事を自分で見つけました。
この頃は、時計屋の給料と、この不用品回収ビジネスの儲けで
まずまず、潤っていました。
堀之内九一郎さんは、その後
どうされているか分かりませんが
お元気でいてくれる事を祈っています。