不思議な老人からの教え その⑮ 無料で店の警備を完璧にする方法
ダイアモンドヘッドに引っ越しをしてから
山根さんに会う機会は減りましたが、
2、3週間に一回くらい彼は
「 今日ホノルルに行くよ、コーヒーでも飲むか? 」
なんて電話をしてきます。
待ち合わせは決まって、
アロハサンライズカフェ
という名前の
彼がオーナーのカフェです。
この店は、アラモアナショッピングセンターのマウカサイド
ケアモクというエリアにあります。
このジイさん、自分が経営するカフェで
コーヒーを飲んでも
一度も奢ってくれたことがないんです。
いつも、だいたい割り勘。
ケチというより、金に対して徹底した考えがある人です。
でもオーナーなのに
自分でもコーヒーを飲んで、きちんと支払いをするから
そこには、好感が持てます。
その日は、お昼前くらいだったかな。
僕は、いつもの様に早めに行って
先にカフェに入ってコーヒーを飲みながら
山根さんを待っていました。
すると、制服の警察官が2人店に入ってきて
コーヒーを頼んでいます。
その後、5分もしないうちに
また違う警察官が2人入ってきました。
何か事件があったのか?!
と、ちょっとドキドキして、
あまり注視しない様にして
僕はコーヒーを飲んでいました。
でも警察官の様子からして、和やかな感じ
笑いながら、4人でおしゃべりしています。
ふと、窓の外を見ると、白い車体に、ブルーのラインが入った
Fordの大きなセダンが2台 無造作に停まっていました。
パトカーです。
Honolulu Police Department
山根さんが来ました。
コーヒーを頼んで、テーブルに着きました。
僕は、
「 (警察が来ているので)何かあったんですかね?」
と言うと、山根さんは
「何もないけど、奴らはパトロール中で、コーヒーを飲みたくなったら
この店に来る。サボっている様に見えるけど、まあ、半分はサボっているが。。。
でも気を抜いてはいない。」
警官が店に来た理由を説明してくれました。
このカフェは、制服の警察官には
無料でコーヒーを差し上げて、店と共生しているのだと。
なので、1日に何回かは
警察官が立ち寄って、コーヒーを飲んで帰る。と言うことでした。
それが、犯罪抑止力になると言う。
こっちからすると、無料で警察を使って店を警備させている。と。
確かに、強盗が
カフェを狙おうとしても
しょっちゅう警察官がいるカフェに入ることは避けるだろう。
警備会社と契約をして、店に警備員を配置するとなると
カフェの雰囲気も台無しになるし、それよりも経費が馬鹿らしい。
なので、無料の警備をホノルルポリスにしてもらっている。
と言うことです。
ジイさん、上手いことを考えたもんだな!!
と思ったら、これは彼の発想じゃないらしい。
昔からアメリカでは一般的で
今でも多くのセブンイレブンやドーナツ屋さんでは
警察は無料でコーヒーが飲めるらしい。
古くは1800年代の開拓時代は
小さな町のサルーンBARで
保安官は無料でバーボンを飲めたとか。
無料で酒を飲めるから、保安官はしょっちゅうBARにいる。
当時は皆が腰にリボルバーを下げていたので
荒くれ者が来た場合は、
保安官は嫌でも仕事をしなくてはいけない。
いつも無料で酒を飲んでいるので、保安官は逃げられないのだ。
アメリカらしい発想ですね。
日本でも取り入れたらいいのに。
セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、など
で作るコンビニ協会みたいなのがあるなら
警視庁とコラボして、警察官はいつでもコーヒー無料!
なんて宣伝すれば、コンビニ強盗も減る事でしょう。
警視庁に
柔軟性がある考え方ができる人がいれば。
の話ですが。
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そうそう、日本からハワイに来た観光客の方の多くが
ハワイの街を観光しているときに
セブンイレブンの看板を見つけて
「あ、ハワイにもセブンがあるんだ! なんか安心するー!」
と言う人が良くいます。
セブンイレブンが日本のコンビニだと思っている人が結構多くいます。
セブンイレブンは、アメリカのどこかの州か忘れましたが
元々は、アメリカの田舎町にあるお店でした。
それをイトーヨーカ堂だったか?が出資して
アメリカから日本に持ってきて、日本で全国に広まりました。
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無料というけど、幾らかは警察官用のコーヒー代が
かかるので、無料じゃないですよね?
と、
ジイさんに聞いてみました。
そうしたら、彼は
「コーヒーの原価を知ってるか?」
と話をキリ出し、こんな説明をしていました。
「一杯 10セントもしない。1日 10人の警察が来て、10杯のコーヒーを
タダでやったとしても 1ドル。
その 1ドルの出費をどうやって消すかというと、
ドリップをする時のコーヒー豆の量を、
何回かに一回、5%くらい減らしてコーヒーを入れる。
そうすると、お客からの利益率が増える。
その利益で、警察官に出すコーヒー代をまぶす。という寸法。
もしかしたら、場合によっては
警察に立ち寄ってもらって、コーヒーを飲ませても
逆に儲けが増えている。
これが水商売。」
転んでもタダでは起きない、このジイさん。
その後に、蕎麦屋の儲け方の話をしてくれました。が
話が長くなるので、その話はまた次回に。