猫も感動 ベンチまでの往復で会った人たち🍂🍂
オバはんは1日に一回、ベンチまで歩く。
よし、リハビリだ。
ベンチは折り返し地点。
今は1往復だけど、すぐに増やすっ!
歩く速度は………..むちゃくちゃ遅い。
片道150メートルを初めて歩いた時のこと。
左腕は三角巾で吊り、のろのろ歩き。
いつもは人通りのほとんどない道だけど、珍しく三人もの人に出会ったんだって。
三人とも知らない人ばかり。
一人は前から歩いてきた人。オバはんを見ると、自分も歩く速度を落として「大丈夫ですか?」と優しく声をかけてくれた。
もう一人は後ろから来て、やはり速度を落とし、横の幅を取ってゆっくりと追い抜いてくれた。普通の速度で追い抜かれるのは、結構怖いものだと知ってる人なんだね。
もう一人は配達の軽自動車から荷物を取り出していた人。荷物を持ったまま立ち止まり、道を充分開けて「こんにちは」と声をかけ、オバはんが通り過ぎるのを待ってくれたんだって。
オバはんは、すごくありがたくて、うれしくて、立ち止まって空を見上げた。
本当にありがとう。
オバはんは、こう思った。
今まで杖をついたり、腕を三角巾で吊ってる人に道ですれ違う時、自分はこんな心遣いをしてたかなあ、……..いや、してなかったなって。
ちゃんと歩けるようになって、手も動くようになったら、絶対人に優しくする!って、そう思ったんだって。