枯れ沢が復活しているか定点観測するために写真を撮る<その1>2022年6月19日
枯れ沢復活&ホタルを飛ばす会の活動を科学的に考察するために、沢を定点観察する写真を撮り記録を残そうと思い立ちました。
今までのホタルの会では、参加者たちとの写真を撮ることで会の良さを多くの人たちに伝えたいという思いから物語を作り写真とレポートを残しています。ただこの方法ですと、どのように変化が起きているのかわかりずらいことがあります。
実際の自然がどのようになっているのか事実を残すことを意図し、記録用に写真を撮り見えてくることがあります。ホタルの会が始まってから3年。できる限り検証可能な記録を残していきたいと思っています。
このレポートを書いているのは、枯れ沢復活&ホタルを飛ばす会応援団のまぁちゃんです。高尾山域でハイキングをしたりハンモックを張ったり沢歩きをしたりして遊んでいます。詳細は、twitter・instagram・blogを。
地図
定点写真にふさわしいであろうポイントを選びました。枯れ沢の復活が自然回復の目安にしているので、特徴的な沢の部分を撮影することにしました。
この地図についての詳細はこちらの記事をお読み下さい。
撮影情報
日時:6月19日(日)7時〜8時
機材:GoProHero7 動画モードで撮影、それを静止画に。
本沢入口
沢の入り口の橋の上から。
ここまで水が流れていることは稀。梅雨の時期だからか、前日に雨が降ったからか水の流れがあることは嬉しい。今日の沢の様子に期待。
追記:
本沢入り口下流方向下側の写真。みんな大好き三面護岸。これは土中環境の人たちも大地の再生の人たちも地上の水の流れや地下水脈の流れに対して多くの影響を与えていると考えているようです。
零ノ沢
零ノ沢周辺の地形をみる限り、水が流れてもおかしくない沢です。ところがここには水がない。流れた形跡はある。何が起きているのでしょうか?
この沢にある枯れ葉や枯れ枝を取り払って、しがらみを作ったり点穴を掘ったり、水や空気の流れを作ることでどうなるのか試してみたいところです。
本沢分岐点
右沢
左沢
この分岐ポイントが枯れ沢復活&ホタルを飛ばす会の象徴的なポイント。ここがこの森で一番美しいところです。
右沢が本流で、左沢は水流が少ないです。
下流方向をみるとビニール袋に入った造作の材料が置いてありますが、美しさの観点からこれは片付けたほうが良いですね。自然の中の人工物はゴミにしか見えません。ビニール袋などの白色は特に目立ちます。ベースキャンプに資材ポイントを作ると良いかもしれません。
一ノ沢
一ノ沢にも水が流れています。一ノ沢は未調査。今後が楽しみ。この上にはマザーツリーがあるので重要な水脈がある可能性大です。
ニノ沢・三ノ沢分岐点
ニノ沢
三ノ沢
ニノ沢はかなり崩れて土が溜まっています。そこにヤゴがいる沼地ができています。沼のところに水が流れ込んでいます。そこから上流部には沢は見えません。
ニノ沢は上流部まで歩いて風を通しました。倒木が多かったので片付けて水が流れやすい状態を作りたいですね。
三ノ沢はこの後、朝活で登りました。大きな土砂崩れをした形跡があり、ポッカリと空が見えるポイントがあります。広い谷なので沢の分岐も多々あります。詳細を調査してみたいものです。ここが本流である可能性が大です。
四ノ沢・五ノ沢分岐点
四ノ沢
五ノ沢
下流方向の撮影を忘れる。そんなこともある。
追記:
後日撮影をしてきました。梅雨が明けたので水は少なくなっていました。
四ノ沢・五ノ沢合流部にも少ないながらも水が流れていました。先月、沢筋に風を通すための造作をしにきた時には水が流れていなかったので、梅雨の雨と相まって沢ができています。
四ノ沢にある滝にも水があるかも見に行ったら枯滝でした。岩盤に苔がのっているのが美しいですね。滝の上にはマザーツリーがあります。
五ノ沢は藪が凄かったのですが手を入れて風が通るようにしました。鹿を見かけたりしているので自然が濃い場所ですね。
どの沢も撮影ポイントよりも上流部を登るのは普通の人には難しいです。造作に慣れている人でも苦労して登っています。つまり普通の人にとって命に関わるかもしれないから。むやみやたらに登ること、降ることはオススメできません。もしもやるならば自己責任になります。
ならば、「なぜお前は登っているのか?」と問われたら、好きだからこそ、知識を身につけ危険を回避する方法がわかるようになり、実践を通して技術的にもできるるようになったからです。そして今でも学び続けています。
湧水ポイント
おまけとして湧水ポイントも。ここで水飲みたいですね。
動画
水の流れが見え、音が聞こえたほうが沢を感じられると思い動画も作りました。これでより自然を感じられるのではないかと思います。
動画の前半は沢の定点動画を、後半はホタルの会の活動の一部を紹介しています。見ればわかるかと思いますが、沢での作業は心地が良いのでオススメです。夏でも風が流れてとても涼しく作業ができます。
僕自身はこの山での作業は、子供の頃の砂場遊びに似ていると思っています。土木作業が好きというか本能に組み込まれているのか本当に楽しい作業です。
まとめ
今回の写真は、沢にとって理想の状態に近いでした。この水が1年365日24時間流れてくれれば、枯れ沢も復活し生物の多様性が生まれホタルも飛ぶことでしょう。つまり2022年現在、沢の流れが途切れていたり、水源も枯れている時間が長いということです。
沢の水が枯れる原因は、植林された針葉樹林が放置され、山が荒れ、表土がパサパサに乾き、土中環境が乱れ、地下水脈にも影響し、山の保水力が落ちているためだと考えています。
私たちは、土中環境を改善することで山の保水力をあげ、植物の種類が増え、昆虫や動物がやってきて、生物多様性になることにより、自然の一部として人間が気持ちよく森で過ごすことができるようになれば、自然が改善された証になると思い活動しています。
梅雨時期はキノコや粘菌が大活躍。沢の表情が豊かです。一年で一番沢が美しい時期かもしれません。定点観察で写真を残していきたいですね。
これが半年後、1年後どのように変わるのか?乾季にはどうなるのか?
それを観察して検証することが大事なことだと思っています。科学の視点で森をみるとまた違ったものが見えてくるかもしれません。
今回が夏至に近い時期でしたので、次回は冬至の頃でしょうか。そんなことを思ったので、ふと東京の気温と降水量を調べてみました。
梅雨時期よりも台風の時期が降水量が多い傾向があるんですね。台風直後の沢の景色も記録に残したいですね。反対に渇水期の沢の状態も記録に残しておきたいです。
こういった客観的な数字を見ることで、どの季節に何をすればいいのかを知るヒントになりますね。
この記事が、今まで参加してきた人たち、これから参加したい人たちのお役に立てれば幸いです。
この回の活動に興味を持った方はこちらをご覧下さい。
共に活動する仲間を募集しています。
情報をオープンにすることで、多くの人の叡智に触れ、それが森を元気にすることにつながると思っています。ぜひ、感じたこと、気づいたこと、知っていることを聞かせて下さい。そして一緒に身体を動かしましょう!