脇本平也『宗教学入門』を読む 第5回
第二章「宗教の原初形態」
2「民族学的考察」
民俗学的起源論(1930年代まで)、こちらのほうが考古学的考察よりも先
起源論を一義的に(唯一の形)としてとらえるのは不可能。したがって、類型的(いろんな種類がある)にとらえるのが一般的。
1.タイラーの「アニミズム説」
2.マレットの「プレアニミズム説」
3.シュミットの「原始一神教説」
1.タイラーの「アニミズム説」
ありとあらゆるものが霊魂をもっているという考え方。精霊がいたりするような考え方。生と死の違いを見つめることで、霊魂を想定するようになったのではないか。肉体(生きている身体と屍体を区別する)とは違う何か(つまり、霊魂)この霊魂が人間以外の生き物や物質にも応用されて、アニミズム的世界観へとつながっていったのではないか?精霊信仰→人格を帯びたもの→多神教→一神教と発展していったのかもしれない。
2.マレットの「プレアニミズム説」
タイラーの説は、あまりにも主知主義的(感情や意志よりも知性・理性の働きに優位を認める立場)・合理主義的だと批判。むしろ死や夢に対しての最初の反応は、怖れや悲しみという感情だったのではないか。なので、霊魂などではなくて、非人格的で不可解な力だったのではないだろうか。例えば、メラネシア先住民は「マナ」と呼ぶもの。超自然的で非人格的な力を信仰すること=マナイムズが、アニミズムに先行したのかもしれない。タブーも同じようなものかもしれない。タブーとマナがさまざまな宗教に共通することがらなのかもしれない。日本で「マナ」的なものを指す概念は「いつ」と呼ばれている。「いつ」の前でしてはいけないことを「いつく(斎く)」というらしい。
3.シュミットの「原始一神教説」
民族の新旧を明らかにしなければ、何が「古い」原始宗教で何が「新しい」のかわからないと批判。そのうえで、最も古いとされたのはアフリカのサンやピグミー、南アジアのアンダマン島人、イヌイット。これらの人に共通するのは、至上神。至上神→精霊信仰へとつながったのではないか
4.デーゼル・ブロームの総合的立場
アニミズム説も重要な指摘をしているが、それがすべてではない。マナ的な概念があるからこそ崇拝とか儀礼の対象になる。原始一神教的な考え方ではなく、世界がなぜ存在しているのか、ということを説明するための方便として、「絶対神」がかんがえだされたが、それはむしろ「起因神」だと言える。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?