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脇本平也『宗教学入門』を読む 第9回

第三章「科学・呪術・宗教」

4「科学と呪術」
フレイザーの呪術の原理、類型によると、呪術は科学と基本的に同じ世界観(自然の必然性)を共有するので、呪術は疑似科学として考えられた。

一方、マレットによると、呪術は科学とは根本的に異なる。科学は自然を対象とするのに対して呪術は超自然的、超科学的なものを対象とする。宗教も人間以上の力を想定するので、その点において、呪術と宗教は似ている。

マレットと似た立場をとるのがマリノフスキー。

マリノフスキーの学説の出発点は、人間生活現象における聖と俗の区別。
科学は俗(日常的な営み)に属し、呪術・宗教は聖(神聖なる営み)に属する。

①原始の人間であっても経験的・合理的な知識や技術をもっている。周りの世界を合理的に支配(コントロール、うまく使っている)。つまり、これらは科学の原型ともいえる。したがって、呪術は科学の代替ではない(フレイザー説の否定)
②危機や困難に直面して(俗的な日常生活が危機にさらされたとき)、不安が人を聖なる領域へと駆り立て、呪術や宗教によりどころを求める。つまり、俗なる領域が及ばない状況になるときに聖なる領域が出現する。代替ではなく、別の領域である。
③については、次項(第10回)に続く。

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