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脇本平也『宗教学入門』を読む 第14回

第四章「宗教の諸類型」

4「汎神的宗教」
5「救い型・悟り型・つながり型」
6「民族宗教と世界宗教」

4「汎神的宗教」
無神教的か有神教的かでは語れないものがある。たとえば、キリスト教的な神秘主義。「神と私が一つである」をすべての人類が(あくまで可能性として)神性を宿している。仏教的には、「仏性」を宿しているということになる。であれば、キリスト教=有神教的、仏教=無神教的という言い方が妥当ではなくなる。

汎神的宗教(パンシイスティック)第三の類型(第一、第二は、無神教的、有神教的)。
宇宙のありとあらゆるものに神性・仏性が宿っているとする考え方。

5「救い型・悟り型・つながり型」
神や霊以外の角度からの類型、分類。
岸本英夫による。

救い型:キリスト教が代表的。神(一神教でも多神教でもよい)が救済
悟り型:仏教が代表的。ただし、大乗仏教のように他力本願な場合は、救い型に分類される
つながり型:日本の神道。氏子が亡くなると氏神になるなど。自然、神々、人間が共同の絆で結ばれている。ほかにも民族宗教などの多くはこの型。

6「民族宗教と世界宗教」
民族宗教=民族固有の宗教。日本の神道。イスラエル民族のユダヤ教など。
世界宗教=キリスト教、イスラム教、仏教、など。

5つの特徴の違い
①民族固有か普遍的か
民族宗教:同一民族に限られている場合がほとんど
世界宗教:民族の枠を超えて世界で広く信仰されている。普遍宗教とも言う

②現世的か別次元的か
民族宗教:同一民族の生活共同体が範囲なので、現世志向。今の生活をどうするか(あの世とかではない)
世界宗教:民族単位での限界はない。個人に焦点がある。現世を拒否(差別や貧富の差などなどを否定)→(あの世的)

③自然か創唱か
民族宗教:自然発生。社会集団のなかで成立していった
世界宗教:創唱者がいる。誰かによって、創められた。

④専門が未分化か分化か
民族宗教:組織的には分化していないことが多い。例えば、司祭の宗教的権威と民族社会統括の政治的権威と区別されていないことが多い。生まれながらに、民族宗教の信仰を求められている。(個人の自由はない)
世界宗教:宗教者と信者(平信徒)の区別が明確。役割分担。個人の自由によって入信するかどうかが決められる。

⑤政治と宗教
民族宗教:政治と宗教は重なる部分が多い。
世界宗教:政治からは独立。ただし、中世ヨーロッパのように、教会がすべての権威を兼ねていたケースもある

【ここまでの結論】
最初の「権威主義vs人間主義」の類型は、前提として、人間主義がよいという主張がある。

残りの4種類の類型は、価値判断を含んでいない。客観的事実などに基づく。

どれがどの類型かを断言するのが目的ではなく、あくまで、これらの類型に従って、宗教について考察することが可能になる「道具」に過ぎない。

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