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完璧なロールモデルなどといったものは存在しない、完璧な職場が存在しないようにね。

人事として社員面談をしていると、ときどきある「ロールモデルになる人が、社内にいないんです」というような相談を受けるたび、心の中に浮かぶ言葉です。もちろん相談にはできるだけ真摯に向き合いますが……

ところがどっこい。そう思っていたはずの私も、妊娠から現在までのおおよそ1年間、育児と仕事の両立をこなす「完璧なロールモデル」を探し回っているではありませんか。

子どもが生まれる前から、無限と思えるほど湧いてくる、不安と疑問。

何歳入園にする?保活の点数足りる?時短勤務する?夫との分担は?保育園の洗礼は?行き渋り対応は?小規模園なら再保活あるかも?小1の壁の備えは?子持ち様と言われない振る舞いとは?2人目のタイミングは?転職するならいつ?……
――みんなどうしてんの?

その解になるようなロールモデルを探すべく、それはもうたくさんのnoteや音声コンテンツを摂取してきました。「ワーママ」を検索キーワードにして。

「ワーママ」が時代遅れになって欲しいと願いつつも、その世界を覗くしかない

「ママの視点だけで育児と仕事の両立を考えるのは本質的じゃない」というのが、私の考え。ワーママという言葉を見かけるたび、早く時代遅れな言葉になってくれないかなと思っています。

ただ、現実問題、私が育児休業から復帰するまであと数か月しかなく、時代が変わるのにはもう少し時間がかかりそう。友人も知り合いも決して多くないので、とりあえずは、ワーママを名乗っている方々の記事からロールモデル探しをすることにしました。

  • 周囲のサポートや会社の制度をフル活用して出産前と同じくらいの仕事をこなしている人

  • ワークライフバランスを求めて転職に挑む人

  • 子どもの成長を見届けるために退職してフリーランスの道を選んだ人

  • 小1の壁に備えてスキマ時間でスキルアップをしている人

などなど…
本当にいろんな方の世界を覗き見させていただきました。

自分と状況が違う人の文章を見て、つい回れ右してしまう

勝手に覗かせていただいている立場のくせに何を言ってるんだという感じですが、「なんだ、そもそも自分とは環境から全然違うんじゃん……ふーんだ」みたいに毒づいて、そそくさとページバックばかりしている自分がいるなと、最近になって気がつきました。

例えばこんな内容が文章の中や筆者のプロフィールに出てくるとき。

  • 営業経験がある(→私はほぼバックオフィス)

  • 語学スキルやクリエイティブスキルがある(→私にはない)

  • 出産前から手に職系の仕事をしてきた(→私はオフィスワーク)

  • 制度と前例が豊富な大手企業所属や公務員(→私は中小企業勤務)

  • 出産前からフルリモート・フルフレックスしている(→私の勤務先はそこまで柔軟じゃない)

  • 夫が基本的に在宅で協力しやすい(→私の夫は出社仕事)

環境や状況が自分とは違いすぎると、同じようにルーティーンを回すことや、キャリアチェンジを選択することが余計に難しく感じてしまうんですよね。

いつからか、参考になりそうなTips(便利家電とか病児保育とか)だけ、ちゃっかりピックアップしたら、あとは読まずに回れ右、を繰り返すようになっていました。

ユニコーン探しの末に、ひとつの解に出会う

だんだんワーママという言葉も食傷気味になってきたところで、来春に向けての復帰前面談の日程が決まり、いよいよ育児と仕事に追われる日々の現実味が増してきました。

「完璧なロールモデル」探しもそろそろ潮時か、と思っていたとき、前回のnoteで紹介したPodcast「みんなのメンタールーム」の第334回で、似たような境遇の相談が流れてきたではありませんか。「これぞまさに今の私!」と思い、手を止めて真剣に聴きました。

・色んな人の「真似したい要素」の集合体が、目指したい姿
・1人をトレースするより、要素のパッチワーク
・様々な人の「スキル」や「生き様」から学び取り、生きる指針にする

概要欄「今回のトーク内容」より抜粋

お二人の回答が、すとんと腹に落ちました。

言われてみれば、妊娠前までの私は、誰か一人にロールモデルとしての眼差しを向けていなかった。色んな人の真似したいところや、本で読んで「素敵」と思う生き方・考え方を、ちょっとずつ頂戴して、生きる道を決める。それが私のスタイルだったはずでした。

おそらく、妊娠・出産で家にこもりがちで、SNSやニュースを見すぎたんだと思います。「育児と仕事はこ~んなに、大変だぞ~!不満いっぱい!疲労いっぱい!」というポストやコメントに溢れていますしね。

・自分自身が「ロールモデル」であることを自覚して生きていくタイミングかも

概要欄「今回のトーク内容」より抜粋

これもまた、刺さった言葉のひとつ。この1年は、自分自身がロールモデル側であるということを自覚するために、あったのかもしれません。おかげで、自分に足りているもの・足りていないもの、大事にしたい価値観が、以前よりもより客観的に見えてきた気がします。

2025年はついに育児と仕事の両立に挑む、実践の年。

予想していたよりも気持ちが前を向いている状態で年末を迎えることができてよかった。皆様も良いお年をお迎えくださいね。

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