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ホントはやりたくねぇと思ってるやり取り

よくあるカップルのやり取りですよ、あれです。あれ。
女同士でもあるな。
学校や会社でもあるわ。

「今日の私、いつもと違うと思わへん?」

「ええええええと、前…髪?前髪切った?」

「ブー!それもあるけど、後ろの毛先を5センチも切ってるやん!分かるやん!」

いや、分かるかいっ!

元々ショートヘアの子が5センチ切ってたらまだしも、ほぼ腰まであるロングの5センチ!
三笘の1ミリぐらい分からんわ!
VARで確認させろ。


こんなパターンもある。
職場の若手男子が突然坊主にしてきた。
もう、周囲のイジりはほぼこのパターンですよ。

「えっ!トチった??」

あ〜定番のやつね〜と見ていると、坊主が私の方を向いて目が合ってしまった。
いやいやいやいや、やめて、見ないで、目をそらして、お願い。

しかし彼はニヤニヤしながら、私をジッと見ている。完全なるイジり待ちの姿勢に入っている。

「ええええええ、しんどいしんどい!気ぃ使う!気ぃ使う!」と心の声をそのまま遠慮なくぶちまけて、いたたまれなくなってその場から逃れた。


そんな私なので、逆に自分のことでも、あんまりいじって欲しくない。

もうね、返すのが面倒で仕方ないのだ。あれ、何をもって正解なの?どなたかご存知?


「あれ?吉森さん、髪切ったね〜」と上司が声をかけてくる。
多分、気付いてあげることが大人のたしなみなんだろう。
コミュニケーションの糸口なのも理解する。

しかしだ。

気の利いた上手い返しを思いつかずに何十年も
「そうなんですよ〜アハハ〜」と同じリアクションをムダに消費し続けている。

いいのか?本当にコレで。
笑いを生むこともない予想通りの返しやぞ。ただの事実確認や。相手が待ってたのはコレなのか?顧客満足度としては、サッパリではなかろうか。


出来ることなら、「髪切ったね〜、今の方が可愛いやん」まで追加して、お世辞のひとつも言ってもらえると、「あ、マジですか。ありがとうございます。」と機嫌も良くなったりするし、返しのバリエーションも増える気がする。

だからと言って、そんな会話を広げる気はさらさらないが。

タモリさんなら「髪切った?」の先に広がる未来を想定出来るのかも知れないが、大して興味もないであろう部下の見た目の変化など、その会話の先には何があるというのか。

それに褒められたら褒められたで、それがイケメン上司だったりすると、変に照れて挙動がおかしくなったりするからこれもまた自分的にキモいでしょ。


高校の時、バカ男子が気を利かせて、キラキラ女子に「おっ!髪切ったやん〜」と始めて、「そうやねん。可愛いやろ?」と彼女は答えた。

しかし、あろうことかバカ男子は「オレは前の方が好きやわー」と言ってキラ女を泣かせてしまい、「何なん、あんた💢」と、友人女子達の鉄壁のチームワークにより、完膚なきまでに叩きのめされて、しばらくの間、クラスの女子から口をきいてもらえないという、メンタルえぐられ系の制裁をくらっていた。


そこまでのリスクをおかして、誰かの見た目の何かに気付いて、言葉で伝えないといけないんだろうか。

本心で可愛いとか、オシャレとか思うのなら伝えれば良いと思う。

しかし、挨拶代わりのソレがあるために、休み明けに、会社で自分のフロアに入るのがちょっぴり憂鬱になったり、気の利いたことを返せないからほっといてーって思う私の方がマイノリティなのかい?


昔からそんな風に思っている私に高齢の母がニヤニヤしながら言った。

「ねぇねぇ、何か気付かへん?」

出た、出た。めんどくさいわー。

「えーーーっと、白髪染めの色を変えた?」「パーマあてた?」とひねりだす。

「ブーーー!靴が新しくなりました♡」

いや、マジで知らんがな!

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