撫でられる覚悟をする猫
猫の可愛い挙動というのは本当にたくさんあるが、その中で一つお話させていただきたい。
猫は、撫でられるとき、撫でられる覚悟を決めた顔をするのだ。
お分かりいただけるだろうか。
あごを撫でようとするとさりげなく撫でやすいように少し顎の下を伸ばす。
寝ているときに撫でても少しずつ撫でやすいように姿勢を変えるので、生理的なことかもしれないがなんともいじらしく可愛い。
頭を撫でる時も、撫でる前に手を止めると目を薄目にして少し頭を上げ、顔が撫でられる前準備に入っている。
なんて可愛い。
機嫌のいいときや餌が欲しい際などは、こちらが手を出すと手に合わせて頭を伸ばしてきて自ら頭を撫でられている状態を作ろうとする。
そして喉をごろごろごろごろと鳴らす。
少し話は変わるが、私は人間の出す音が苦手だ。
咳払い、息、鼻をすする音、全部不快で小学生の頃から作業や勉強の時は音楽を聞いていた。生き物の出す音が苦手なんだと思っていた。
なんとも生意気ながきんちょである。
それが猫のゴロゴロは全く不快ではない。
むしろ延々に聞いていられる。大好き。
例えるなら深夜に1人読書中に聞く雨音のような
森の中で枯葉を踏む音のような
少しノスタルジックな気持ちになるホワイトノイズに近い。
うちの猫たちは頭をものに擦り付けるのが好きで、家で上司と仕事の電話をしているとごろごろ言いながらスマホに擦り寄ってくることもある。
一応止めはするが実際はこの可愛い癒しの音を聞かせて自慢したい気持ちもある。
かなり話が逸れてしまったが、ともかく今日も猫が素晴らしい。
その素晴らしさたる所以は、猫の行動基準は全て自分が楽しいか、心地良いかで決まっているためだと私は思う。
こんなにも単純明快で純粋な行動を自分は出来るだろうか、いや、出来まい。
羨ましい。
人に親切を受けたとき、褒められたとき、撫でられる覚悟を決めた顔ができるような
何なら撫でてー!と自分から頭を擦りつけに行けるような肝の据わった純粋な人間になりたいものです。