「読む」ちから
「最近の若者は読む力がない!」
って何だか老害みたいな台詞ですが、演劇なんてやってると、あちこちで聞きます。
個人的な所感としては、
読める人と読めない人の格差が広がってる。
って感じの方がフィットします。
SNSとかLINEとかで文章に触れる機会は多いのもあって、読む人はトコトン読むんですよね。で、確かに全く読めてないなって人もいます。
Twitterやまとめサイトの普及により、短文しか読めないって人も増えているようです。
観察してると、文章読めない人って幾つか特徴あるな~って思ったので、掘り下げてみようかと思います。
1.わからない言葉を調べない
2.「表面的」な読み方をする
3.「書き手視点」を想像しない
4.基本的な知識が無い
5.面倒くさい
1.わからない言葉を調べない
本を読んでると、わからない言葉が出てくると思います。特に専門書とかだと、わからない言葉のオンパレードだと思います。
わからない言葉を「ニュアンス」で捉えると、実は全然違う言葉でした、みたいな事があります。
そうすると文章の認識が「歯抜け」状態になって、気持ちが悪い状況になると思うのですが、「歯抜け」でも気持ち悪くない人は結構居るようです。
面倒だとは思いますが、本を一冊読む時にわからない言葉を調べるだけで、相当理解が進むと思います。
2.「表面的」な読み方をする
「この水に毒は入ってないよ。」
そう言って老婆はニヤリと微笑んだ。
という文章があったらどう思いますか?
割と不穏な気持ちになると思うのですが。
これを「そうか、毒は入ってないんだな。」「老婆は微笑んだんだな。」と、情報のみで止まってしまったりする読み方をしたりする方も居ます。
文章から状況を立体的に想像して考える、という作業が苦手な人のパターンです。
このパターンの人は戯曲(演劇の台本のこと)を読んでると、台詞がスラスラと流れてしまい、聞き手に意味が入ってこないという現象が起こります。(僕もこれとてもなりがちで)
飽きちゃうんでしょうね。
3.「書き手視点」を想像しない
文章を書くのは人間です。そして、伝えたいことの為に書くことがほとんどです。(日記とかでもない限り)
つまり、「何を言いたいんだろう?」という意識で読むと、多くのことが発見できるということです。
有効なのは、「実際に声に出してみる」事です。
カラオケとか行きますか?何度も歌ってる曲だと、何か嬉しくなったり、泣いちゃったりする事があると思います。
それは、言葉を主体的に出していく事で、作者の感覚を追体験していけるというか、作者の心の中をより深く覗けるのです。
「伝えたいこと」が作者の心の中にある限り、出てきた言葉を道標に心の中を覗くのはまさに、「読む力」なのです。
4.基本的な知識が無い
例えば、「太平洋戦争」と聞いて、どんなイメージが浮かぶでしょうか?
「大東亜戦争」と呼べ!とか「戦争は悪だ!」とか「原爆は怖い」とか色んな気持ちが浮かぶと思います。
でもこれは多かれ少なかれ「日本がアメリカと戦ったんだよ」って事を知らなければなんのこっちゃって感じだと思います。
うちの劇団員で、「太平洋戦争」の話になった時に、話が大分進んだときに、なんか聞いて無かった感じがしたので「戦争って、なんの戦争の話してるかわかる?」と聞いてみると、
「アヘン戦争」
と答えられて、めっちゃまわりに突っ込まれて面白かったです。そもそも彼女は知ってる戦争の単語はそれだけだった可能性あります。(もちろんアヘン戦争が何かってことは全く知りませんでした。)
まず、こちらも、どこでつまずいてるか気付く必要があったのです。
5.面倒くさい
なんだかんだでこれが一番だと思います。
大体ここまで読んでくれた人は「長文を読む事が出来る」人だと思います。
文章を一目見て「長文」だと、もう、それだけで諦めちゃうって人は多いと思います。
あと、「漢字一杯だ」とか
「広告多い」とか、そういうのでもめんどくさいですよね。
コツとしては、「最初の一文だけ読む」事です。
長文と言っても、短文の集まりなので、最初だけ読むのはそんなに難しくないと思います。
飽きたら投げ出せばいいし、なんか気になったら続き読めばいいだけです。
■終わりに
「文章を読まない人」のトラブルの多さって、ネットをやっていると感じる事が多いと思います。
「分かりやすく書けよ」という言説が多く叫ばれ、それに乗っかるように、分かりやすさがチヤホヤされる時代にもなっている気がします。
でも、「読む」事は、実際は結構疲れたりめんどくさかったりするものです。
その疲れたりめんどくさかったりってのを排除して分かりやすさを悪用して、とんでもない話を撒き散らす人達もいるのです。
ある程度の自衛は必要だと思います。
何より、文章を理解したときに得られる心の豊かさは、何にも変えがたいものだったりするのです。
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